電子マネー「目に見えないお金」との付き合い方【後編】

電子マネーは、近年急速に進化しています。現金を使うことを覚えつつある子どもたちが、電子マネーという「見えないお金」とどのように付き合っていけばよいのか、前回に引き続きファイナンシャル・プランナーの宮里惠子先生に教えていただきます。



子どもたちへ与える影響

かつては、駅の券売機で、コンビニやスーパーで、子どもは大人が現金で物を買う場面を見ることができました。私たち大人は、そんな環境から得た経験をもとに、現金で物を買うことを覚え、物の価値やお金の大切さを学んだと思います。でも最近は、電子マネーの広がりによって、大人が現金を扱わなくなっています。さらに、子どもたち自身が電子マネーを利用することで、現金を扱う機会は失われていく一方です。現代の子どもたちは、現金を使うことを覚えると同時に、電子マネーという「目に見えないお金」に接しています。このような環境は、子どもたちの金銭感覚を養ううえで悪影響を与えている可能性が高いと考えられます。実際に、電子マネーを使って気軽にジュースなどをおごりあう子どもたちが増えているのですが、これはお金の使い方が大雑把になっている傾向の表れなのかもしれません。



上手に付き合うために

見えないお金について子どもに理解してもらうには、電子マネーがお金と同じ価値のものであることを意識させることが大切です。面倒でも、こまめに履歴を印字して、物を購入したりサービスを利用したりするにはお金が必要だということ、目に見えなくても「現金」が発生していることを理解させるようにしてください。最近は、専用のアプリを使って利用履歴や残高を確認できるものもありますので、それらを利用するのもよいでしょう。子どもと一緒の時は、なるべく現金を使って「お金を見せる」こともおすすめします。
また、「使用目的を限定する」「限度額を設ける」「定期的に印字を提出させる」などの約束を設けたり、日常会話の中で何を買ったのかを聞いたりして、お金の使い方を把握することも大事です。ほかにも、使い方やトラブルの事例など最新情報を得ることも大切です。保護者より子どものほうが電子マネー事情に詳しい場合もあると思います。子どもに新しい情報を教えてもらったり、逆に大人の社会で起きたトラブルを話したりするなどのコミュニケーションを取りながら、一緒に付き合い方を考えるのもよいと思います。

今後は、お小遣いを電子マネーにチャージして渡すことが当たり前の時代になるのかもしれません。もっと先の未来は、さらに進化したキャッシュレス時代が到来することでしょう。そうなった時に困らないよう、子どもが電子マネーと上手に付き合えるように、保護者のかたも意識を高めていただきたいと思います。


プロフィール


宮里惠子

ファイナンシャル・プランナー、消費生活アドバイザー。生命保険をはじめ、教育費関連や住宅ローンについて雑誌・新聞・Webで執筆。地域に根をはるFPを目指して、横浜市北部エリアで活動している。若い世代に対する消費者教育の必要性を強く感じている。

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