所変われば育て方も変わる?発見!世界の子育て【第2回】離乳食イロイロ(2)~世界の離乳食

楽しいことも、悩みや気がかりも多い「子育て」「教育」。このコーナーでは、日本とはちょっと違う、ほかの国の子育て事情をご紹介します。いろいろな方法や考え方を知ることで、子育てに対しての気持ちが少し楽になったり、自分に合った方法にアレンジしたり……。
日本の、そしてご自身の子育て・教育を見つめ直してみませんか。
3回目の今回は、前回に引き続き、離乳食がテーマ。世界の離乳食を取り上げます。

数年前の話になりますが、仕事で韓国の小学校を訪れたときのこと。ちょうどお昼の時間になり、校長先生のご配慮で給食をいただいたことがありました。5~6品のおかずとごはんだったのですが……どのおかずも辛い! そう、すべてキムチ味です。校長先生に、「小学1年生のお子さんでも、これくらいの辛さのおかず、食べきれますか?」と伺ったら、「はい、韓国では2歳くらいからキムチを食べさせ始めます。徐々に辛さに慣れさせていくんですよ」とのこと。ちなみに、あとで韓国人の通訳のかたに伺ったところ、それでも辛い物が苦手な子どもさんもけっこういるそうですが。

しかし、「そうか、日本ではキムチみたいな刺激の強い食べ物はだいぶ大きくなってから、とアドバイスする育児本が多かった気がするけど、大人の食事が違えば子どもの食事や離乳食も違うし、それでも元気に成長するのよね」と、妙に納得。

そんなことを思い出しつつ、では、ほかの国の子どもの食事ってどうなっているの?と思い、世界の離乳食についてちょっと調べてみました*。たくさんの国が紹介されていましたが、スペースの関係で特徴的な国をいくつかご紹介します。

■メキシコ
 スープやトルティーヤ、アボカド、豆、パパイヤなどの果物。
 果物にチリパウダーやライムの絞り汁を振りかけたりもするそうです。

■イタリア
 ニンジンやズッキーニなどの野菜のピューレやスープに、オリーブオイルとパルメザンチーズを振りかけるそうです。

■ペルー
 パッションフルーツが一般的。繊維やリン・鉄・カリウムなどの必須ミネラルが豊富だそうです。

■ハワイ
 「ポイ」という、タロイモを発酵させペーストにしたもの。低アレルギーだそうです。

それぞれの国の気候に合った食材を、それぞれの国の食文化らしく調理していているんですね。日本は、お米のおかゆ(欧米などはオートミールなど麦のおかゆが主流のようですが)、少し進むとシラスなどの小魚や納豆が重宝されていますが、これも改めてほかの国と比べると日本らしい食材の選び方ですね。

ただ、今は物流が発達して世界中のさまざまな国の食材が新鮮な状態で手に入る時代。大人もいろいろな国・文化の食事を楽しむように、離乳食や幼児食にもほかの国の食材や調理方法を取り入れて変化をつけても楽しいかもしれませんね。

赤ちゃんの食事が中心になってしまいましたが、幼児期以降の食事について、昨年度1年間私が住んでいたイギリスでは、学校給食の改善が話題になっています。あるカリスマシェフが学校給食の改善を訴えて活動し始めたことが発端になったようですが、学校内で野菜を育て収穫して食べるという教育活動を行う学校も出てきました。アメリカでもオバマ大統領夫人のミシェルさんが、やはり学校給食改善を訴えている様子がニュースで伝えられたのは記憶に新しいですね。

離乳食について考えながら、食事には大人たちが子どもたちに家庭やその土地の文化、健康に生きていくための知恵を伝えるという側面もあるんだなー、と改めて感じました。家庭での食事も、日本の季節感をうまく取り入れたりしながら、がんばりすぎない程度に(ここがポイント!)子どもにいろいろなことを伝える場にしていけるとよいですね。

次回は、ママ友の作り方、付き合い方について取り上げます。

<引用・参照>
Mother & Baby (Bauer Consumer Media Ltd.)
「Babies’First Foods Around The World」(Sarah Gibbons, 2014)


プロフィール



大学卒業後、約25年間、(株)ベネッセコーポレーションに勤務。ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)で子育て・教育に関する調査研究等を担当し、2012(平成24)年12月退職。現在は夫、娘と3人でロンドン在住。

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