子どもの気になる性格にどう対応すべき?【前編】負の感情にも付き合おう

幼稚園や保育園での集団生活がスタートすると、怒りっぽい・内気・マイペースなどお子さまの性格が気になる保護者のかたも多いようです。今回は、お子さまの性格とどう付き合うべきか、発達心理学がご専門の白百合女子大学の秦野悦子先生に教えていただきました。



保護者の関わりが子どもの性格に影響を強く与える

お子さまの性格が形成されていく過程には、さまざまな要因が影響します。お子さまが本来持っている気質に加えて、人との関わりや環境からも影響を受けています。特に幼児期や児童期に大きな影響を与えるのは、保護者の関わりです。この時期のお子さまは、生活そのものが保護者に依存する部分が大きいからです。

たとえば、子どもにあれこれと口うるさく指示・命令してばかりいると、一見、保護者の言うことをよく聞く「よい子」にはなりますが、自分から何かをしようという自発性に乏しい性格になっていきます。また、子どもを大切に思うあまり、叱るべきときに叱らないで甘やかしてばかりいると、自分は何でも許される特別な存在だという万能感を抱きやすく、集団生活が始まってから仲間とのコミュニケーションで苦労することが多くなっていきます。



お子さまの負の感情に向き合えない保護者が増えている

近年、特に保護者の関わりのなかで気になっているのは、お子さまの負の感情に向き合うことを避けてしまうことです。たとえば、スーパーなどでお子さまが騒いでしまうとき、お子さまの気持ちに寄り添うのではなく、「何度言ったらわかるの」「何でそんなことするの」とお子さまを一方的に叱ったり、原因を問い詰めたりしてしまうのです。

きっと、保護者のかたはその場の騒ぎを収めたいという思いから、そうした行動をしてしまうのだと思いますが、お子さまも自分の気持ちをうまく伝えられないため騒いでいる可能性が大きいです。保護者の立場で結果や状況だけを見るだけではなく、「どうしてそういうことをするのかな」とその裏側にある気持ちを考えてあげることが大切です。お子さまの気持ちに共感してあげて、もし保護者のアドバイスがあれば命令ではなく提案してあげるとよいでしょう。このように負の感情にも向き合ううちに、性格がだんだんわかってくるはずです。性格がわかれば、次に困ったシーンが起こったときも、対応策が浮かぶはずです。また、怒りや悲しみなどの気持ちを保護者とお子さまが伝え合う経験を積むことで、お子さまが集団生活に入ったときに自分の気持ちを伝えることができるようになるはずです。



親子のよい関係づくりを

もう一つ気になるのは、近年、一つのことに熱心な保護者が増えているということです。「オムツをとると決めたら、トイレトレーニングだけ」「文字を教えはじめたら、ドリルを使って徹底的に特訓」といった一点集中の省エネタイプのかたが増えているように感じます。ただ、お子さまの発達を考えた際に、幼児期には何か一つの力を伸ばしていけばよいという訳ではなく、心と体、相互に影響しあって発達していきます。全体的な目配りをしてほしいと考えています。

それは、特別難しいことではありません。保護者が「今、親子関係がよい状態」と思えることが、子どもの発達にとって重要です。「よい状態」というのは漠然としていますが、「寝る前に大好きと言ってくれた」「さりげなく体調を気遣ってくれた」といったささいなシーンで感じられることかもしれません。そうしたシーンを増やせるように、どうすればよいのかなと考えてほしいと思います。

次回は、具体的に気になる性格にどう対応すべきかお伺いします。


プロフィール


秦野悦子

白百合女子大学教授。専門は発達心理学(言語発達、障害児のコンサルテーション、子育て支援)。臨床発達心理士。わかふじ幼稚園副園長。主な著書に『心と体が育つ親子遊び』『最新しつけ大百科』(以上ベネッセコーポレーション、編著)などがある。

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