家族の一員として、子どもと一緒にペットを飼う【第3回】人懐っこさが魅力の犬(1)犬の性質

さまざまなペットの中で最も飼育頭数が多い「犬」。今回は、人懐っこくて従順さが魅力の犬の飼い方について特集します。お子さまと一緒に犬を飼おうかと思っているかたはまず、犬の性質を知り、生活環境に合った犬を迎えてあげてください。



ペットの中でも最も心の結びつきの強い「犬」

犬の特徴としてまず挙げられるのは、人懐っこく従順であるということです。私たち人間は、嫌なことがあった時に周りにあたってしまったり、人に対して嫉妬心を抱いたりしてしまうことがあります。しかし、犬というのは一切、そういったことがありません。どんな状況にあっても常に、飼い主さんの帰りを待っているのです。飼い主さんが外から帰ってきた音が聞こえると喜び、遊んでくれるのをずっと待っている……というように、とても従順な動物なのです。その従順な性質から、特に人間との心の結びつきが強いペットとも言えるでしょう。
また、これはどのペットにも言えることですが、いたわってあげたいという優しい気持ちや、病気になってしまった時にはかわいそうだと思う心境、そしていつかは訪れてしまう「死」というもの。ペットはいろいろなことを子どもに教えてくれる最大の教育者と言えるでしょう。



子どもが「犬を飼いたい!」と言ったら

さて、そんな素敵な時間を共有できる犬を迎える前に重要になってくるのが、ご家庭のライフスタイルに合った犬を選ぶことです。たとえば、子どもに「ゴールデンレトリバーが好きだから飼いたい!」と言われても、大きく成長することを考えると、マンションなどで飼うのは難しいかもしれません。
そこで、重要になってくるのは、ご家族が犬を飼うことによって、どんな生活をして、どういう時間を共有したいかというイメージです。それにピッタリな犬のサイズやキャラクター、生活スタイルを選ぶことがとても大切です。住居の広さはもちろん、大型犬と小型犬ではエサを食べる量も違うものです。そういった全体に関わる金銭のことを含めて、生活環境に合った愛犬を迎えましょう。実際に「ワンちゃんが来たらどういう風に過ごしたい?」などと子どもと話し合うのもよいでしょう。
また、自分のライフスタイルに合った犬を飼うことは、世話をしきれなくなって捨てられてしまうようなかわいそうな犬を減らすことにもつながるのです。



しつけをとおして犬とのコミュニケーションを楽しむ

愛犬家のかたの中には、犬と話をしてみたいと思ったことがあるかたが多くいるのではないでしょうか。犬を飼った時には、しつけをとおしてコミュニケーションを育むことが大きな楽しみの一つになります。
たとえば、「お手」を教える時に、「お手をするんだよ」と教えて、お手をした瞬間にごほうびをあげます。できたらほめる、できたらほめるの繰り返しです。ごほうびを通じて、犬に自分がやらせたいと思う行動を取らせるのです。もちろん、何か芸を教えるのも楽しいでしょう。意思疎通ができることによって人間というのはコミュニケーションを楽しみます。言葉ではない方法でペットとコミュニケーションを取るというのは、愛犬家にとっては一番の喜びかと思います。「しゃべりたい」「今、どう思っているんだろう?」と思っている愛犬家のかたは、しつけもコミュニケーションの一つとして考えてみてはどうでしょうか。

次回は、犬についての気になるQ&Aをご紹介します。


プロフィール


川野浩志

プリモ動物病院 練馬 動物アレルギー医療センター院長。北里大学獣医畜産学部獣医学科卒。山口大学大学院連合獣医学研究科在籍。著書に『はぐれ獣医純情派』(文芸社)、『家庭犬の医学』(オクムラ書店)がある。

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