家族の一員として、子どもと一緒にペットを飼う【第2回】マイペースさが魅力の猫(2)猫の飼い方Q&A

家族の一員として私たちの生活を豊かにしてくれるペット。前回は、猫の性質やペットが家庭に与える影響についてお伺いしました。今回は、Q&A形式で気になる質問に回答します。

Q.猫を飼ったら、アレルギーが発症してしまうのではないか心配です

A.ご家庭で話し合い、段階を踏んで。アレルギー物質を取り除く薬も有効
猫を飼っているお子さんがぜんそくやアレルギー性皮膚炎などのアレルギーになりやすいとする説がある一方で、実は小さいころから犬や猫と接していたほうが大人になってからアレルギーになる確率が少なくなったという報告もたくさん出ています。
また、アレルギーがあるが猫を飼いたいと言う場合もあるでしょう。もちろん本人やご家族の体調が一番重要になってきますが、いきなり家に入れるのではなく、猫のいる家に定期的に遊びに行くことによって自分の体調がどうなるのか……など、猫とどのように関わるとアレルギー症状が出るのか様子を見ながら徐々に段階を踏み、相談しながら決めていくという方法もあるでしょう。
猫アレルギーの犯人は毛だと思われがちですが、これは厳密には違い「Fel d1」という猫の皮膚や唾液(だえき)に含まれるタンパク質が原因です。この「Fel d1」の成分を取り除くスプレーを使ったり、アレルギーが出にくいとされているヘアレスキャットを飼ったりするという手段もあります。

Q.子どもが猫にひっかかれたりしないか心配です

A.猫が子どもに危害を加えることはめったにありません。幼児がいるご家庭は逆に猫側のケアを
これは猫の性格にもよりますが、普通に生活しているなかで、猫が乳幼児や子どもに危害を加えることはありません。猫が嫌がることをしなければ、必要以上におびえる必要はないと思います。
逆に、お子さまが猫をおもちゃにしてしまうことがあるので、この場合はそういったことが起きないように、猫が逃げられる場所や、前回お話しした「3D」の習性を踏まえた環境を準備してあげるとよいでしょう。

Q.​今いる猫に加え、新たに子猫を飼いたいのですが……

A.パーソナルスペースを尊重しつつ、先住猫に気遣いを
猫はパーソナルスペースを大切にする生き物です。多頭飼いをする場合は、2頭くらいまでに留めるのが理想です。それを踏まえたうえで、猫を増やす場合は先住猫がストレスを感じることがあるので、気を付けてあげてください。また、猫同士の相性も重要な問題です。いきなり対面させると、大ゲンカになってしまう場合があるので、少しでもリスクを減らすためには、「匂いの交換」から始めることをおすすめします。



「匂いの交換」の方法
(1)先住猫がいた部屋をAとして、先住猫をこの部屋から出し、新しい猫をAに入れます。

(2)ほかの部屋Bに移動させた先住猫には、新しい猫の体を拭いた布の上にごはんのお皿を乗せてエサをあげます。

(3)キャリーケースに先住猫を入れ、その状態で新しい猫と面会させます。クンクンと匂いを嗅ぎ合いますので、それで大丈夫なようだったら、ケージを開けます。

里親などは、お試しで一週間預かることができる場合もあるので、そういったものもうまく利用してみてください。

Q.子どもが猫を外飼いしているようです。やめさせたほうがよいでしょうか

A.エサやりだけでも動物を大切にする第一歩。地域のルールに従って見守りを
場所を決めて猫にエサだけを与える外飼いは、お子さんが自分のできる範囲で動物を大切にしてあげているということでもあります。ただ、家の周りが野良猫だらけになってしまうなど、ご近所同士のトラブルの原因にもなりかねません。自治体によっては地域猫の飼育にルールを設け、活動を行っているところもあります。お住まいの地域のガイドラインに従って、できる範囲で猫を可愛がってあげてください。また、屋外では、感染症や交通事故の問題も出てきます。猫との接し方に徐々に慣れてきたら、お家の中に入れて飼ってあげるというステップに繋がるといいですね。

可愛らしい姿で癒やしを与えてくれ、動物を大切にする気持ちを育んでくれるペットは私たちの生活を豊かにしてくれる存在です。もの言わず、常に一定の気持ちで人間を受け入れてくれるペットから学ぶことも多いです。子どもは猫を飼いたがっているものの、経済的な問題、環境面での問題、ほかの家族の好き嫌いの問題など、さまざまな理由でペットを飼えない場合もあるかと思います。「死んでしまったら悲しいから飼いたくない」という保護者のかたもいるでしょう。確かに、ペットを失ってしまった時の悲しみは計り知れないものです。しかし、それをもひっくるめて愛してあげるということにペットを飼う意味があるのかもしれません。より多くのかたがペットと楽しく過ごせるとよいですね。


プロフィール


川野浩志

プリモ動物病院 練馬 動物アレルギー医療センター院長。北里大学獣医畜産学部獣医学科卒。山口大学大学院連合獣医学研究科在籍。著書に『はぐれ獣医純情派』(文芸社)、『家庭犬の医学』(オクムラ書店)がある。

子育て・教育Q&A