家族の一員として、子どもと一緒にペットを飼う【第1回】マイペースさが魅力の猫(1)猫の性質

今や、ペットとして飼われている犬と猫の数は15歳未満の子どもの数よりも多いと言われています。今回は、マイペースな性格が魅力の猫の飼い方について特集します。これから猫を飼おうかと悩んでいるかたはまずは猫の性質を知り、家族の一員として迎える準備としてみてはいかがでしょうか。



まずは猫の特徴を知ろう!

猫の性質は犬との違いで理解するとわかりやすいです。犬が、縦と横の「2D」=平面を行ったり来たりして生活しているのに対して、猫は、これに高さが加わった「3D」の世界で生活しています。なので、猫を飼う際は、キャットタワーや外を眺められるような高い場所、上下のスペースがある空間を用意してあげるとよいでしょう。
猫というのは基本的に、エサをあげてトイレの掃除をしてやれば、自分で生活する動物です。毛玉にならないようにブラッシングをしてあげる必要はありますが、犬とは違い、散歩をしなくてもよいため、時間的制約が多いかたでも比較的飼いやすいペットだと思います。
また、猫を飼う時に、室内で飼うのか、外で飼うのか、あるいは家の中と外を自由に行き来してもよいというスタンスを取るのか、それは飼い主さんの考え方によって違うかと思いますが、外に出す場合はエイズや白血病などの病気や、交通事故、怪我などの可能性が高まってしまうことも、考慮しておく必要があります。



猫はパーソナルスペースを大切にする生き物

猫は縄張り意識が強く、パーソナルスペースを非常に大切にする生き物です。なので、それが侵されることを非常に嫌がります。時々、かまおうと思ったら逃げられてしまった……という相談を受けることがあります。お子さまなどは、それでショックを受けてしまったり、つまらなく感じたりしてしまうかもしれませんが、それは否定されたわけではなく、そういう性質だからです。ただ、猫がマイペースで勝手な性格だからといって、寂しがり屋でないわけではありません。猫を飼っているかたはわかると思いますが、放っておくと側にすり寄って来たりするなど、とても感情豊かな生き物です。そういった気持ちをわかってあげて、大切にしてあげてほしいですね。



猫のお世話と遊び方

猫との楽しみ方はいろいろあります。なでたり、お腹を触ったりすることが多いと思いますが、あれはなでている人間が気持ちいいだけで、実は猫のほうは気持ちいいと思っていないことも多いのです(笑)。ブラッシングもよいのですが、やりすぎるとそのうち嫌がり、怒ってしまいます。猫はなでまわしたりするよりも、レーザーポインターや猫じゃらしで遊ぶ、紙をくしゃくしゃにして投げる、など遊びながらストレスを発散してあげることがおすすめです。
また、猫を飼い始めたら、ぜひお子さまと一緒にお世話をしてあげてください。お子さまの年齢によっては、「朝晩必ずあなたがお水を替えて、ごはんをあげてね」などと伝え、お世話ができたかを確認するための「チェックシート」を作り、きちんと管理をするということを教えてもよいでしょう。「お水が汚れてきているから替えようね」など、ペットをとおして共通の会話が増え、家族の結びつきがより強まる効果もあります。



飼いたい時が飼い時! ペットショップ以外の選択肢も

猫を飼おうと決めたら、「アメリカンショートヘアを飼いたい!」「短足のマンチカンがかわいい!」など、どんな猫を飼うのか思いを巡らせる楽しみもあるかと思います。もちろん、ペットショップで猫を探すのも一つの手段ですが、猫の里親探しをしているNPOや行政、または動物病院などから猫を譲り受ける手段もあります。かわいそうな運命をたどるかもしれない猫が、素敵な飼い主さんと出会い、ペットと飼い主さんのお互いが楽しく豊かな時間を過ごすことができればいいですね。これから猫を飼う予定のかたは、入手先についていろいろな手段を検討してみてください。

次回は、気になる猫についてのQ&Aをご紹介します。


プロフィール


川野浩志

プリモ動物病院 練馬 動物アレルギー医療センター院長。北里大学獣医畜産学部獣医学科卒。山口大学大学院連合獣医学研究科在籍。著書に『はぐれ獣医純情派』(文芸社)、『家庭犬の医学』(オクムラ書店)がある。

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