自己肯定感が低い日本の若者 「子ども・若者白書」で‐斎藤剛史‐

内閣府は、2014(平成26)年版「子ども・若者白書」を発表しました。我が国の子どもや若者の状況などを毎年まとめているものですが、今回は特集として国際比較調査で日本の若者の意識を他の国の若者と比較しているのが特徴です。それによると、日本の若者は他国の若者に比べて、自分に対する満足度が著しく低く、自分の将来に明るい希望を持てないでいることがわかりました。

調査は2013(平成25)年11~12月にかけて、日本・韓国・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・スウェーデンの7か国の13~29歳の男女を対象にインターネットをとおして実施し、各国約1,000人程度から回答を得ました。まず、「自分自身に満足している」と回答(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計、以下同じ)したのは、アメリカ86.0%、イギリス83.1%、フランス82.7%、ドイツ80.9%、スウェーデン74.4%、韓国71.5%だったのに対して、日本は45.8%と半数にも達しませんでした。また「自分には長所がある」と回答したのは、アメリカ93.1%、ドイツ92.3%、フランス91.4%、イギリス89.6%、韓国75.0%、スウェーデン73.5%に対して、日本の若者は68.9%とやはり最低でした。さらに、「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む」というのは、フランス86.1%、ドイツ80.5%、イギリス80.1%、アメリカ79.3%、韓国71.2%、スウェーデン66.0%に対して、日本は52.2%となっています。他の国の若者に比べて日本の若者は極端に自己肯定感が低く、自分に長所があると感じる割合も低いようです。

一方、最近1週間のうちで「ゆううつだと感じた」ことがある者は、日本が77.9%でトップ。次いで韓国63.2%、イギリス45.6%、スウェーデン42.1%、アメリカ41.0%、フランス38.6%、ドイツ36.9%でした。韓国を除けば他の国の若者は半数以下なのに対して、日本は8割近くにも上っています。また、「自分の将来に明るい希望を持っている」のは、アメリカ91.1%、スウェーデン90.8%、イギリス89.8%、韓国86.4%、フランス83.3%、ドイツ82.4%に対して、日本は61.6%でした。

なぜ、日本の若者は自己肯定感が低いのでしょうか。同白書は、家庭・学校・職場などの満足感に着目しています。やはり、いずれの満足度も日本が一番低くなっています。これに対して、自己肯定感と周囲への満足度の関係を分析すると、「親から愛されている」と思っている者の50.1%は自分に満足しているのに対して、そうでない者は25.3%にとどまっていました。同様に、学校や職場に満足している者ほど自分に満足している割合が高くなっています。同白書は「家族関係、学校生活、職場生活が充実し、満足している若者ほど、自己肯定感が高い」と指摘したうえで、保護者自身については「自己肯定感を持ちながら子どもと向き合える環境づくり」が、学校については「教師が子どもたちと十分に向き合い指導できるような環境づくり」が重要であると提言しています。家庭や学校を安心して暮らし、学べる場にしていくことが、子どもたちの自己肯定感を高めることにつながっていくようです。


プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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