速報! 平成26年度都立高校入試を振り返る【前編】-浅野剛-

平成25年度の推薦入試制度改善に続いて、平成26年度から学力検査問題のグループ作成が始まった都立高校入試。今年、受験生は最終的にどんな選択をし、どんな結果を得たのでしょうか。今年度の入試動向を振り返りながら、来年度以降の見通しについて解説します。


全体を振り返って

今回は、大学進学対策の取り組みという観点から、東京都教育委員会の指定による以下の4つのカテゴリーに分けて総括していきます。

●進学指導重点校(7校):国公立大・難関私立大への進学指導に組織的に取り組んでいる高校
 日比谷・青山・戸山・西・八王子東・立川・国立

●進学指導特別推進校(6校):進学指導重点校に次ぎ、難関大への進学希望も実現させる進学指導に取り組んでいる高校
 小山台・国際・駒場・新宿・町田・国分寺

●進学指導推進校(13校):進学指導に力を入れている高校
 三田・豊多摩・北園・竹早・江北・江戸川・小松川・城東・墨田川・日野台・小金井北・
 武蔵野北・調布北

●併設型中高一貫教育校(5校):6年間、一貫した教育課程や学習環境の下で学ぶことができる中高一貫教育校のうち、高校でも募集を行う「併設型」の高校
 大泉・富士・白鴎・両国・武蔵

進学指導重点校全体では、昨年度に比べて推薦の応募が6%増、一般は最終応募者数、受験者数共に、昨年度より約1%の増となりました。進学指導特別推進校全体の最終応募者数、受験者数はわずかに減っていますが、それでも実質倍率は1.83と、極めて高くなっています。全体として、進学実績が好調な高校には多くの受験生が集まる傾向が出ています。

なお、倍率は受験生にとって最も気になる数字だと思いますが、定員の増減に大きく左右されます。必ずしも「倍率=人気のバロメーター」ではないことも頭に置いておくべきでしょう。



進学指導重点校

注目は、戸山高校。特に女子の志望者が、昨年度に比べて志望予定調査(12月調査、1月上旬公表)の段階から増えています。戸山高校は2004年度に、都立高校として初めてSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受け、さらに2018年度までの指定が決定。その教育活動の成果はもちろんのこと、1クラス分の定員増も追い風になったと考えられます。
同じく定員1クラス増の国立高校は、一般入試で女子の受験者が減となりました。昨年の実質倍率は男女ともに1.8倍を超える高倍率であったため、今年は少し落ち着いたといえます。
立川高校は、難関国立大学の進学実績増などを背景に、男女共に志望者が増え、特に男子の実質倍率は1.72倍と非常に高くなりました。
日比谷高校は、志望予定調査の段階では男子の志望者数が昨年度より増えていましたが、最終応募、受験者数が男女共に減り、特に女子の受験率が下がっています。都立高校一般入試の2月24日までに国立・私立高校に進学を決めた生徒が、例年より多かったと考えられます。
ちなみに、今年も国立大学附属は堅調で、お茶の水女子大附属高校は受験者が増えています。豊島岡女子高校などの進学校も受験者が増えており、国公立大学への志望の強さが、高校入試にもなんらかの影響を与えているのかもしれません。
青山高校西高校はほぼ昨年並み。八王子東高校は女子の受験者が少し増えています。



進学指導特別推進校

小山台高校は、男子の受験者数が増えています。小山台高校の実質倍率は、(平成24年度)男子1.74倍/女子1.95倍→(同25年度)男子1.33倍/女子1.46倍→(同26年度)男子1.66倍/女子1.64倍と、前年の反動で上下する傾向を見せています。
駒場高校は、今年度は定員が1クラス分減となり、一般入試では受験者も減ったものの、男女共2倍前後の高倍率となりました。駒場高校は、ここ数年高倍率が続いています。
新宿高校も、毎年高倍率が続いています。今年は受験者数が減って、少し落ち着いたように見えますが、それでも実質倍率は2倍近くになっています。好調な進学実績、習熟度別授業などきめ細やかな指導の充実に加え、圧倒的な立地のよさから、今後も高倍率は続くと考えられます。
国際高校は、昨年度よりは落ち着いたものの、一般入試の実質倍率は2.6倍の高倍率となりました。来年度は「国際バカロレアのコース」の新設もあり、ますます注目を集めそうです。
昨年高倍率だった町田高校は、今年は女子の受験者が少し減り、落ち着きを見せています。国分寺高校は、推薦入試の枠を30%から20%に変更しましたが、推薦の応募者数は変わりませんでした。一方で、一般入試の受験者は少し減り、枠が増えたこともあって、実質倍率は1.62倍と落ち着いています。



後編は、進学指導推進校・併設型中高一貫教育校の入試動向と、今後の展望について解説します。


プロフィール


浅野剛

元大手進学塾高校入試担当部長、入試情報統括を歴任。30年以上にわたって受験指導を行い、多数の生徒を志望校に合格させてきた高校受験のエキスパート。現在は、中学生・保護者向けオンラインセミナーの講演をはじめ、中学校での進路講演なども担当。

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