入試改革の影響は? どうサポートすればよい? 新高1生の保護者が、今知っておくべきこと‐村山和生‐

長かった高校受験が一段落かと思えば、3年後にはあっという間に大学受験。特に、ここ最近は入試改革の話題が相次いでいることで、我が子には一体どんな影響があるのかと、不安を抱いている保護者も多いのではないでしょうか? そこで今回は、お子さま本人の心構えをお話しした前回に続き、新高1生の保護者に向けて、今議論されている入試改革の概要を改めて解説するとともに、自立の時を迎えつつあるお子さまとのかかわり方についてもお伝えしていきます。



入試改革の時期は早くても5~6年後
新高1生には直接関係しないので安心を

お子さまが高校受験に向けてがんばってきたこの1年は、大学での学び方や大学受験の入試方式の改革が大いに議論された年でもありました。なかでも注目されているのが、センター試験からの移行が検討されている「達成度テスト」(仮称)。それに付随して、高2からの複数回受験など、入試の在り方そのものにも議論が及んでいます。
とはいえ、実際の導入はまだまだ先の話。新高1生に直接的に関係するものではありません。達成度テストについても、導入は早くても5~6年後といわれています。つまり影響の可能性があるのは、新中3・中2生以下です。



子どもたちに求められている「これからの社会を生き抜く力」は
保護者が不安になるような特殊な力ではない

入試改革議論の大きな問題。それは「教科書・授業では身に付かないような、まったく新しい別の力を身に付けなければ、これからの社会では生きていけない」と少なからぬ人に誤解されていることです。でも実際には「確実な基礎学力は必要」が、どの議論でも共通見解となっています。つまり、教科書・授業をしっかり身に付けるのは大前提なのです。そのうえで、なぜ今入試改革の議論がされているかというと、「本質的な高大接続」実現のためです。大学入学後のより充実した学びのために、入試でも教科書・授業の「丸暗記」ではなく、発展・応用力を問うということ。またそれを通して、高校段階から主体的に学ぶようになってほしい、ということでもあります。このことは、ここ数年のセンター試験の出題傾向の変化にも見て取れます。いずれにせよ、「高校の授業では身に付けられない特殊な能力」が求められているわけではないので、安心してください。



二人三脚から、伴走へ
主体性を身に付けさせるためにも、かかわり方を変えるべき

中学時代に比べて、授業スピードが格段に上がり、内容もかなり深くなるのが高校です。そんな高校の学習で最も大事なのが、高校生本人が自分なりの学習ペースを身に付けること。「言われるからやる」から脱却して、主体的に学ぶ意識を持たなくてはなりません。そのために保護者ができるのは、いわゆる「3点固定」のお手伝いをすることくらい。起床時間、食事の時間、就寝時間のリズムを整えて、ペースをつかみやすくしてあげるのです。また、受験経験がある保護者の場合、つい勉強を教えてあげたくなるものですが、絶対に手は出さないこと。高校受験までは二人三脚でがんばってこられたと思いますが、今後はお子さまのよきペースメーカーとして、伴走するイメージに切り替えてください。



保護者の我慢が大事 主体性の育み方

大学改革の中でも「主体的な学び」は大事なキーワードになっています。逆に言えば、それができていない学生が多いからこそ、大学を変えようとしているわけです。つまり高校時代から主体的な学びのための訓練ができていれば、大学入学後、あるいは社会に出てからより活躍できるということ。

では、主体性を身に付けさせるにはどうしたらいいか? 一番いいのは、高校生本人が自分なりの失敗や体験を通じてその必要性に気付いていくことです。恐らく多くの高1生が、「思ったより授業が難しい」「思ったより点数が取れない」「うまく勉強が進まない」など、生活面も含めこれからさまざまな壁に当たるはずです。その時に保護者は、お膳立てして助けてあげたい気持ちをぐっとこらえ、しばらくは見守るようにしてください。お子さまが自分なりに苦しみ、自分なりに答えを見つけていくことが、主体性の芽になるからです。本人が必要性に気付かない限り、主体性は身に付きません。手をかけないことも一つの支援になるのが、高校生という段階です。ただ、何か月過ぎても出口が見えない状況であったり、高校生活そのものに苦しんだりしている場合は別。相談者として学校とも連携を取りながら手助けしてあげてください。


プロフィール


村山和生

ベネッセでは進研模試等を通した高等学校への進路指導支援、大学入試分析、進路説明会講師等を担当。2012年からはベネッセ教育総合研究所・高等教育研究室のシニアコンサルタントとして大学の教学改革支援や入試動向分析、「VIEW21大学版(現:Between)」編集長等を担当。16年からは「ベネッセ i-キャリア」にて大学生向けアセスメント分析や大学IRのための統合データベース開発などを担当。17年からは一般財団法人大学IR総研の調査研究部にて、研究員として高等教育全般の調査・研究と教学改革支援、ならびにIRの推進支援に携わる。
ベネッセコーポレーション帰任後は、学校支援事業の経営企画業務に従事。21年からベネッセ文教総研の主任研究員として、高等教育を中心に「学修成果の可視化」「IR」を主なテーマとして調査、研究、情報発信を続けている。

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