大学受験をも左右する!? 新高1生が知っておくべき、正しい1学期の過ごし方とは?‐村山和生‐

長かった受験生活を終え、はれて高校生となった新高1生の皆さん。まずはおめでとうございます。しかしいつまでも浮かれてばかりはいられません。実は高1の1学期は、これからの高校生活、はたまた3年後に控える大学受験の成否をも左右しかねない大切な時期。そこで新高1生に知っておいてほしい、1学期の過ごし方の4つのポイントをお伝えしていきます。



1学期のテストの成績は、本当に「高校生としての実力」?
相対順位に踊らされないで

1学期最初のテストや中間考査などでよくあるのが、人生で初めて真ん中より下の順位を経験し、途端に自信をなくしてしまうケースです。「もう勉強はダメだ」「この教科は苦手」などと思い込み、やる気をなくしてしまう人も少なくありません。ただ、落ち着いて考えれば、周りは皆あなたと同じような努力を経て合格してきた人たちなのですから、中学時代よりも校内順位が下がるのは当たり前。クラスや学校内での相対的な位置付けよりも、日々の授業を理解できているか否かのほうがよほど有効なバロメーターになります。授業が理解できてさえいれば、高2・高3と進む中で校内順位も上がっていくはずですから。

一方で、校内順位が高い場合も注意は必要です。高1の1学期のテストでは、中学までの範囲が出題されることも多く、高校受験のためにがんばってきた人ほど、その学力的な「貯金」でこなせてしまうことがあるのです。ですから結果がよくても、あくまで中学時代の「貯金」で食いつないでいるだけだと認識し、実力を過信しすぎないようにしてください。自分はできると調子に乗って日々の授業をおろそかにしていると、2学期に入って突然成績が下がったり、最悪授業についていけず、詰み状態になったりすることもあります。1学期のテストがどんな結果であろうと、必ず謙虚な気持ちで日々の授業にしっかり取り組むようにしてください。



与えられたものをこなすだけではNG!
主体性を身に付けて

「中学時代にしっかり勉強する習慣を身に付けたから、高校の授業ぐらい大丈夫!」という人がよくいます。そんな人は、自分が「勉強時間」に何をやっていたかを振り返ってみてください。学校から与えられた課題をこなすのに精いっぱいで、予習復習にはしっかり時間を割けなかった、なんて人はいませんか? これまではそれでもなんとかなったかもしれませんが、高校に入っても同じような感覚でいると、授業にすらついていけなくなる危険性も。大学入試問題の変化からも見て取れるように、今の高校生に求められているのは単なる「知識の量」ではなく知識を「発展・応用させる力」です。教科書・授業内容の丸暗記ではなく、たとえば他の解法はないか、他の教科につなげられる点はないかなど、いかに発展的に考えられるかが大事になってきます。

とはいえ、いきなり発展だ、応用だといわれても、イメージもわかなければ、やり方もわからないと思います。ですから現時点ではまず、学校の課題さえやっていればいいという考えを捨てる。そんな意識改革から始めてください。そして、課題のありなしにかかわらず、自分から主体的に予習復習し、わからないことはどんどん先生に相談すること。それが発展・応用力を身に付けるための第一歩です。



意外と侮れない「ノートの見直し」復習法

高校に入って多くの人が、授業のスピードの速さを実感していることでしょう。中学時代より量も速さも確実に増していますから、中学のノリで「定期考査ごとに振り返ればいい」「夏休みの講習でざっくり復習しよう」などと悠長に考えていると、いざ振り返ろうとしても、やるべきことの量の多さにがく然とすることにもなりかねません。理想は毎回の授業のたびにこまめに復習することですが、忙しくて時間が取れない!という人は、最低限「ノートの見直し」をしましょう。その日に受けた授業のノートを見直して、書いてあることを理解でき、先生が授業でどんなことを話していたかを思い出せればとりあえずはOK。でも実際には、わからないことのほうが多いと思います。そうしたら、翌日ノートを持って行って先生に質問してみる。それだけで理解度は格段に上がります。復習といわれるとつらく感じるかもしれませんが、最初はそのくらいのペースで大丈夫。そして徐々に本格的に、自分なりに発展・応用につなげていってください。



短時間でも毎日コツコツを意識して
「週末にまとめて」は圧倒的に非効率

1日の理想の勉強時間はよく「学年+1時間」と言われますが、慣れない新生活の中でまとまった2時間を確保するのはけっこう大変。そこでありがちなのが「平日は忙しくてできないから土日にまとめてやる」という失敗パターンです。前述のとおり、高校の授業はスピードが速く量も多いので、あとでまとめてやろうとすると内容をすっかり忘れていることがほとんど。振り出し状態からスタートすることになり、すごく効率が悪いです。ですからおすすめは、5分でも10分でもいいので毎日やること。習慣付けにもなりますし、何より身に付くのも速い。特に言語系の教科では毎日触れることが速く読む力、正確に読む力にも直結します。

毎日続ける一番のコツは、スキマ時間の活用です。通学時の移動時間や、放課後部活が始まるまでのちょっとした空き時間など、少しずつ時間を積み上げることで学習時間を確保するのが最も効率のいいやり方です。そうして、短時間でも毎日コンスタントにやる習慣が身に付いたら、次の目標に学年+1時間の学習時間を掲げてみましょう。なんといっても毎日触れ続けることが、高校の学習では最も重要なのです。

次回は、保護者の方の心構えについてお話しします。


プロフィール


村山和生

ベネッセでは進研模試等を通した高等学校への進路指導支援、大学入試分析、進路説明会講師等を担当。2012年からはベネッセ教育総合研究所・高等教育研究室のシニアコンサルタントとして大学の教学改革支援や入試動向分析、「VIEW21大学版(現:Between)」編集長等を担当。16年からは「ベネッセ i-キャリア」にて大学生向けアセスメント分析や大学IRのための統合データベース開発などを担当。17年からは一般財団法人大学IR総研の調査研究部にて、研究員として高等教育全般の調査・研究と教学改革支援、ならびにIRの推進支援に携わる。
ベネッセコーポレーション帰任後は、学校支援事業の経営企画業務に従事。21年からベネッセ文教総研の主任研究員として、高等教育を中心に「学修成果の可視化」「IR」を主なテーマとして調査、研究、情報発信を続けている。

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