働き盛りのパパたちへ ~子育て参加のアドバイス~【後編】短時間でも大丈夫!

前編に引き続き、育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏に、忙しいパパが、よりよく子育てに参加するための意識の持ち方やハウツーをアドバイスしていただきました。



働き盛りだからこそ、家族との時間は「量より質」にしよう

家族との時間を持つために、仕事をもっと効率化しようと考えていませんか? この意識こそが、潜在的に「仕事を優先させている」ことに気付いてください。なぜ、「家族」のことなのに「仕事」に意識を向けるのでしょう?
それよりも、今既に持っている「家族の時間」の<質>を高めることに意識を向けましょう。そうすれば、「短時間でできることはなんだろう」「もっとこうしたらいいんじゃないか」など、いろいろな考えや工夫ができるようになります。

一方、仕事が忙しく、子育て参加がおざなりになりそうなときは、はっきりと「申し訳ないけれど、今は仕事に集中させてほしい」と、自分の意志として宣言すべきです。「上司(部下)がポンコツで……」など人のせいにするのは単なる言い訳に聞こえてしまい、夫婦関係をかえって悪化させてしまいます。



「自分が輝ける」ことから始めよう

今まであまり子育てに参加してこなかった……という認識があるパパは、まずはご自分が得意なことから始めるといいでしょう。釣りや野球やキャンプなど、自分が輝けることをお子さんと一緒にするのです。これは息子のほうがやりやすいかもしれないですね。



娘とはデートに出かけよう

娘に対しては、「デート感覚」を持ちたいものです。父娘でカフェにケーキを食べに行ったり、カチューシャを選んであげたりと、映画『プリティ・ウーマン』ごっこをするのです。ジェントルマン(パパ)とのデートで、レディーとして扱われた娘は、男性を見る目が肥え、大人になっても変な男にひっかかることはないでしょう(笑)。



想像力で「イタメン」から卒業しよう

「週の半分は子どもをお風呂に入れている。だから自分はイクメンだ」と自負されるパパがいます。しかしよく聞くと、自分が先にお風呂でゆっくりしたあと、ママが連れてきた裸の赤ちゃんを湯船にちょっとつけて、またママに返す……程度のことだったりするのです。
おむつや服の着脱、タオルや飲み物の用意などを含めた全入浴プロセスを「1」とすると、湯船につける部分は「0.2」くらいでしょう。これを週に4回したとしても、「0.8」にしかなりません。一週間の合計「7」のうち、たった「0.8」です! これで「自分はイクメン」と言えてしまうパパは、残念ながら「イタ(痛)メン」です。
ママだって、入浴に限らず、「お世話系」子育て(前編参照)のすべてを、忙しいパパにやってほしいわけではないでしょう。ただ、パパがどの部分をやっているのか、パパ自身にわかっていてほしいはず。パパは全体像を把握し、「自分がいないときは、ママが全部ひとりでやっているんだ」と想像しましょう。そして、「ごめんね。0.8だけど、一生懸命やるから許してね」の一言を。



思春期・反抗期はママとの時間を増やそう

子どもが思春期・反抗期を迎えると、保護者の出る幕は少なくなっていくものです。むしろ、「いかに手を離していくか」がポイントと言えるでしょう。それでもママによっては、子どもを放っておけません。小さかったころと同じようにお世話しようとします。そして、子どもに反発され、傷つき、いろいろなことに行き詰まっていきます。
パパは、ママが子離れできない(したくない)ようであれば、子どもから引き離す役割を担ってください。子どもにママの意識が集中しないように、あなたがママの相手をするのです。一緒にビデオを見るだけでもいいので、夫婦で時間と空間を共有するところから始めて、自然と少しずつ会話を増やしていってみませんか。



変化を恐れず、子どもの「奥行き」をつくろう

子どもが小さいころは、ママがパパを子育てに引っ張り込む時期ですが、思春期以降はパパがママを子育てから引き離す時期になります。このように、時期によってパパとママの立ち位置は変化していくものです。
また、パパとママとでは、子育ての仕方や子育て観が違って当然です。意見の食い違いや矛盾した発言がいろいろとある中で育った子どもは、その違いがあるからこそ、個性に幅や奥行きが出るのです。
立ち位置や見る角度が変わると、家族がより立体的に見えてきます。夫婦はその変化や違いを恐れず、前編でご紹介した「上手な夫婦げんか」をしてもいいから、情報を交換・共有しましょう。これができていれば、もうそれで十分です。ほかに何も望まなくてよいと思いますよ。


プロフィール


おおたとしまさ

教育ジャーナリスト。1973年、東京生まれ。リクルートから独立後、数々の育児・教育誌の編集に携わる。学校や塾、保護者の現状に詳しく、各種メディアへの寄稿、コメント掲載、出演も多数。中高の教員免許を持ち、小学校教員や心理カウンセラーの経験もある。著書80冊以上。

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