テスト勉強へのやる気、どうやって引き出す?[やる気を引き出すコーチング]

新しい年となり、あっという間に1か月、受験生の皆さんは、まさに本番真っただ中ですね。受験生をコーチングさせていただいている私も、いっそうワクワクドキドキしながら過ごしているこの頃です。受験生でなくとも、学校によっては、そろそろ、学年末テストが気になり始める時期でしょうか。
学年末テストというのは、本当にやっかいですね。学年で学んだことすべてがテスト範囲だなんて、それだけでもう「そんなにたくさん無理だよ」「どこからやったらいいかわからないよ」と、やる気がなえてしまう圧迫感があります。
そんな「課題が大きすぎて途方にくれてしまうこと」に対するコーチングアプローチの一例を、今回はご紹介したいと思います。



行動するからやる気はわいてくる:「ちょっとやってみる」のススメ

「やらなきゃって思うんですけど、なんか気分がのらなくて動けないんです」
「やる気になったらやるんですけどね」
そんな声もよく聞きますが、本当にそうでしょうか?
【やる気が出る→行動する】
と考えるかたが多いですが、実際には、
【行動する→やる気が出る】
という場合のほうが多いのではないかと思います。

学年末テストの勉強でも、日々の宿題でも、「まず、ここだけちょっとやってみようよ。ここだけでいいよ」と、初めの一歩を踏み出すきっかけを与えてあげると、しだいにやる気が引き出されていくのではないでしょうか。
「試しにちょっとやってみよう!」という軽さが大事です。

長い休みの中で、どこまでどう進めたらいいのかわからなくなるものの一つ、「夏休みの宿題」を早めに終わらせる習慣がついたという小学生のお子さんの例があります。
終業式から帰ってきて、「明日から夏休み」という日に、お母さんが、
「今日、1ページだけやってみようか」
と宿題に一緒に取り組むそうです。ポイントは、
「今日は1ページだけでいいよ。夏休みは明日からなんだから、そんなにたくさんやらなくていいからね」
と伝えるところです。面白いもので、最初はしぶしぶだったお子さんも1ページやれると、「もう1ページぐらいやってもいいかも」とのってきます。最初の一歩ではずみがつくのです。



「やることリスト」の見える化

受験生とのコーチングの中で、私は毎回、こんな質問をしています。
「今週、やろうと思っていることは何?」
「その中で、これだけは絶対やろうと思っていることは?」
「これができたら、1週間の目標は達成!って思えることは?」

質問に答えてもらうのと同時に、目の前の紙に項目をリストアップしてもらうことをすすめています。頭の中にある「英語もやらなきゃ、数学も、あ、社会も……あれもこれも、ああ、こんなにたくさん! もう無理!」というモヤモヤをいったん机の上に全部並べて眺めてみる感じです。リストアップして、見える状態に(見える化)するだけでも、少しすっきりするものです。
さらに質問します。
「英語だったら、特に何をやっておけば安心?」
「単語を覚える、だね。じゃあ、『単語を覚える』っていう項目を作ろう。何ページから何ページまでの単語?」
こんなふうに、細分化していきます。大きなかたまりを小さなかたまりにどんどん砕いていくことを質問によって手伝います。
すると、「それぐらいなら、すぐできそう!」というレベルになるので、あとは、「これだけは絶対」と思うところから取り組んでいきます。


【ちょっとやってみた! → できた! → じゃ、次!】

この前に向かうサイクルが回り始めると、大きな課題であっても行動が起きやすくなります。小さな初めの一歩からぜひ一緒に始めてみてください。

『言葉ひとつで子どもが変わる やる気を引き出す言葉 引き出さない言葉』『言葉ひとつで子どもが変わる やる気を引き出す言葉 引き出さない言葉』
<つげ書房新社/石川尚子(著)/1,575円=税込み>

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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