センター試験直前! 昨年の失敗に学ぶ、難しい問題に振り回されないための心構えとは? -村山和生-

センター試験本番まであと10日を切りました。今年は制度そのものには大きな変更がほとんどありませんが、昨年の難易度アップ(平均点が大幅に低下)の影響や、現行の教育課程としては最後の入試年度(次年度から理科・数学は新課程での入試)で、受験生全体に不安感が広がっています。そこで昨年の反省を踏まえ、問題の難易度に振り回されず、これまでの成果を確実に点数につなげるために、受験直前の心構えをお伝えしていきます。



問題傾向が変わっても、
問われている力の本質は変わらない

数学と国語で苦戦した人が多かった昨年のセンター試験。先輩の様子を見聞きしたり、過去問を解いたりする中で、今年も難しかったらどうしようと不安に駆られている人も多いことでしょう。
ただ実際には問題が難しくなったというよりも、見慣れない問題形式、触れたことのない素材文が出たことが苦戦の理由です。
今年は新課程に切り替わる直前の年。今までの傾向からも、また昨年既にそうだったように、新課程で問われるような新しい傾向の問題が、出題される可能性はあります。過去の傾向から外れた問題が出ることがあるという点は、今のうちから認識しておきましょう。
とはいえ、変化するのは聞かれ方であり、問われている力の本質はこれまでとそれほど変わりません。まずは今まで自分がやってきた学習で応用できるかどうかを冷静に考え、どうしても対処できないようなら、自分だけでなく皆できないのだと考えるようにしてください。



「新しいことには手を付けない」が鉄則!

新傾向の問題が出る可能性はどの教科にもありますが、だからといってこの時期に新しい参考書に手を出したり、やったことのない問題集に手を付けたりするのは、定着せずに不安が増すばかり。絶対に避けてください。今から新しいことをやっても、まず点数としては反映できません。今までやってきた学習を、確実に漏れなく点数化していくことに焦点を絞り、今までやってきた過去問をもう一度解いたり、学校で受けた模擬試験や定期考査を見直したりする時期に充ててください。過去に解けた問題でも、時間がたつと意外と解けなくなっていたりすることもあります。新しいことに手を出して「点数化できないあやふやな知識を増やす」より、これまでやってきたことの反復演習で「あやふやな知識を点数化する」ほうが、高得点獲得に直結します。



ペース配分の再確認を

昨年は、国語の現代文に新傾向の問題が出たことで、そこで時間をとられ、そのあとの古文や漢文に手が回らなかった受験生が多くいました。ですからこの時期皆さんに改めてお願いしたいのが、「一問当たりに割ける時間」「自分なりのペース配分」を確認することです。そして、「○分取り組んで解けなければこの問題はあきらめる」という判断基準を明確にしてください。また、最後に必ず5分程度見直しの時間を設けるのも忘れずに。ごく当たり前のことではありますが、マークを正しい欄に付けているか、自己採点のもとになる自分の解答を問題冊子にメモしているかなどを、最終確認する時間は必要です。解答欄が一個ずつずれていて全滅になるような事例は、少なくないのですから。



もし手応えがなくても、勝手な判断で諦めないで

受験生の苦戦が目立った昨年。初日の国語がうまくいかずショックを受け、2日目まで集中力が続かなかった人。2日間無事に受け続けられても、自己採点でショックを受け、国公立への出願自体を控えたり、入試難易度の低い大学へ志望校を変更したりする人も少なくありませんでした。
仮に今年もセンターが難しくなるとしましょう。でもそれはあなただけでなく、受験生全体に当てはまる条件です。ですから当日もし手応えがなくても、必ずしっかりと自己採点をし、全国集計の結果を待ってください。それまでは、勝手に自分の志望校を変えたり、不安になったりしないでください。実際に自分ができたかどうかは、あくまで相対的な位置付けのことなのです。

難易度はふたを開けてみなければわかりませんし、平均点も全国集計が出るまではわかりません。不安に駆られて大事なチャンスを逃してしまわないよう、客観的な知識と判断基準を持ち、安心して受験に臨んでください。

次回は、「前日までに知っておきたい10のこと」についてお話しいたします。


プロフィール


村山和生

ベネッセでは進研模試等を通した高等学校への進路指導支援、大学入試分析、進路説明会講師等を担当。2012年からはベネッセ教育総合研究所・高等教育研究室のシニアコンサルタントとして大学の教学改革支援や入試動向分析、「VIEW21大学版(現:Between)」編集長等を担当。16年からは「ベネッセ i-キャリア」にて大学生向けアセスメント分析や大学IRのための統合データベース開発などを担当。17年からは一般財団法人大学IR総研の調査研究部にて、研究員として高等教育全般の調査・研究と教学改革支援、ならびにIRの推進支援に携わる。
ベネッセコーポレーション帰任後は、学校支援事業の経営企画業務に従事。21年からベネッセ文教総研の主任研究員として、高等教育を中心に「学修成果の可視化」「IR」を主なテーマとして調査、研究、情報発信を続けている。

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