ふくらむ夢と親心 子どもの「将来の夢」
アンケート期間:2013/09/25~2013/10/01 回答者数:1304名
アンケート対象:小学生のお子さまをお持ちの保護者
※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合がある
多くの子どもたちは、あんな仕事やこんなに仕事に就きたい! と将来の夢を持っているのではないでしょうか。一方で、いまの社会には、「安定した仕事に就き安定した生活を送る」ということに対する不安感が漂っています。ニュースや大人たちの話などから、子どもたちも漠然と、そういった世の中の傾向を感じ取っているかもしれません。今回は、お子さまの将来の夢について伺ってみました。
夢を持っているお子さまは約半数……でも夢は意外と具体的!?
保護者のかたに、お子さまは将来なりたい職業が決まっているかを伺ったところ、どの学年でも半数以上が「決まっている」という結果になりました。ただ、わずかですが、学年が上がるごとに夢を持っているお子さまの割合が低下する傾向にあるようです。やはり、世の中の様子が見えてくるにつれて、夢が描きにくくなるお子さまも出てくるのかもしれません。
【図1 お子さまは、「将来なりたい職業」が決まっているようですか?】
保護者のかたに、お子さまがどんな夢を持ち、どんな職業に就きたいのか伺いました。すると、そこにはさまざまな夢があふれていました。以下ではTOP20をご紹介しますが、少数意見を含めると100種以上の職業・夢が挙がってきました。中には、「テーマパークのキャスト」「ブロック玩具のクリエイター」「ラジコンカーの操縦士」といった、なかなか区分しにくいピンポイントな夢も。
TOP20に挙げられている項目でも、たとえば「学者・研究者」では「古生物学者」「シャチの研究家」「JAXA(宇宙航空研究開発機構)の研究者」など、また、「料理人」では「すし職人」「ピザ職人」「ハンバーグ屋」、はたまた「料理研究家」まで、具体的なものが多数見られました。子どもたちは、思いのほか将来のイメージを詳細に描いているようです。
ただ、中には「サラリーマン」「アルバイト」といった意見もちらほら……。「サラリーマン」「アルバイト」といってもその職種はさまざまです。子どもには、「自動車メーカーで働く!」といったように、具体的な「夢」を持ってもらいたいものです。
【図2 お子さまが「なりたい職業」は何ですか?】
「夢」もわかるけれど……子どもの未来を案ずる親心
では、保護者のかたはお子さまの将来の夢について、どのように考えているのでしょうか。
まず、将来の夢についてお子さまと話をしたことがあるか伺ったところ、約71%があると回答、また約64%が具体的な職業を知っている、という結果になりました。多くの保護者が、将来の夢についてお子さまとコミュニケーションをとっているようです。
では、お子さまの考える将来の夢についてはどう考えているのか。アンケートの結果では、お子さまがなりたい職業について「とてもよい/まあよい」と回答した保護者が91.3%と、9割を超えたの対して、保護者が就いてほしいと考える職業と一致している、と回答した保護者の割合は3割程度(30.1%)でした。具体的な職業についてとなると、お子さまの夢を尊重したいと思う半面、保護者のかたは現実的な考えを持たざるを得ないようです。お子さまがなりたい職業について肯定的な保護者のかたでも「なりたいものがあるということはそれに向かってがんばるということだと思う」「今はまだ、何になりたいか、いろいろ言っているだけなので、どの夢も応援してやりたい」といった声が多く聞かれ、お子さまがなりたい職業そのものというよりも、夢を持つことに肯定的、という保護者が多いようです。中には「かなわない夢だけれども、夢を持つことは大切だから」という声も。
「夢は大きく、でも現実面も考えないと……」という親心が感じられます。
では、保護者のかたはお子さまにどのような職業に就いてほしいと考えているのでしょうか。こちらもTOP20をご紹介します。回答の中には特定の職業を挙げない回答がかなり見られたのですが、その意見の内容から大きく3つの傾向があり、そちらもランキングに入れてみました。第1位の「子どもがやりたい仕事」、第8位の「資格や技術など手に職を付けられる仕事」、第12位の「安定した仕事」が当てはまります。「公務員」「サラリーマン」といった回答も上位にきており、保護者としてはとにかく「安定した仕事に就き安定した生活を送ってほしい」という親心にあふれていることが読み取れます。
【図3 お子さまにはどのような職業に就いてほしいですか?】
「夢」の実現に向けて……保護者は学歴重視の傾向
次に、夢の実現に向けて、お子さまや保護者は準備を始めているのか、伺ってみました。お子さまが「なりたい職業」のために何か始めている、という回答は約23%。スポーツや芸術などの習い事が多いようです。一方、保護者が、お子さまに「就いてほしい職業」のためにどのようなことを始めさせているか伺ったところ、学習塾がトップとなりました。お子さまの安定した未来のためには「学歴」も重要という考えがあるからでしょうか。
【図4 お子さまは、「なりたい職業」のために、どのようなことを始めていますか?】
【図5 お子さまに「就いてほしい職業」のために、どのようなことを始めさせていますか?】
また、お子さまにいつ頃までに将来の目標を決めてほしいと考えているか伺ったところ、高校卒業が約4割を占めましたが、中学校卒業も約3割と、高い割合となっています。義務教育が終わり、進路・進学に今までよりも選択肢が広がるタイミングで、将来への道筋をある程度固めてほしい、という気持ちもあるのでしょう。図5のような結果も含めて考えると、お子さまには難関校へ進学することを決めてほしい、という保護者が多いと推測できます。
【図6 お子さまには、いつ頃までに将来の目標(夢・職業)を決めてほしいとお考えですか?】
「将来の夢」といっても、その「将来」はいずれ訪れるもの。
夢をふくらませる子どもに対し、保護者としては、可能な限り現実的な「安定した仕事に就き安定した生活を送れる将来」をめざしてほしい、という願いを持ってしまうのも親心ゆえでしょう。
ただ、子どもたちは思ったよりも具体的に、将来の夢を描いているようです。また、それが生きる活力になることも、保護者のかたはよくおわかりだと思います。
小学生のお子さまにとって、「夢」も立派な「将来の選択肢のうちの1つ」。
夢についてお子さまと語り合う場を設け、夢を現実にしていく方法を共に探っていく、まだ夢を見つけられていないお子さまには、いろいろな経験をさせてあげて夢を探っていく、そういったコミュニケーションも重要ではないでしょうか。