夏休みの自由研究テーマに! 【自然環境教育】昆虫が好きな食べ物は……?

夏休みはアウトドア体験をする機会も増えますね。さまざまな角度から自然を観察し、自然に触れ、その体験を記録しましょう。「自然」をテーマに4つのアプローチをご紹介します。


アプローチ1
昆虫レストラン

トラップ(わな)を仕掛けて昆虫を集めたら、写真を撮り、虫の名前や生態を調べてまとめます。


進め方


1)トラップを仕掛ける

カブトムシやクワガタムシなどが集まる!
(1)スーパーバナナトラップ

スーパーバナナトラップ古いストッキングを左右に切って2本にし、それぞれに皮をむいたバナナ(よく熟したものがよい)を1本入れる。これをカブトムシなどが来そうなクヌギやコナラの幹に結びつける。次にバナナを石などを使ってつぶし、その上に焼酎をかけ、仕上げに黒酢を少量ふりかける。焼酎はアルコール度数の高いものほど、虫が集まりやすい。


オサムシ、シデムシなどが集まる!
(2)ペットボトルトラップ

ペットボトルトラップペットボトルのキャップとパッケージをはがす。ペットボトルをはさみで半分に切り、下半分に腐りかけた肉や魚(一番のおすすめは豚レバー)を入れる。そこにペットボトルの上半分を逆さまにして差し込み、布ガムテープで固定する。
次に林の中など日陰の湿った地面に、小さなスコップで穴を掘り、ペットボトルトラップを地面と同じ高さになるように埋める。雨が降っているときは屋根をつけるなど工夫する。


2)日没後、トラップにかかった虫を見に行く

トラップに集まった虫は写真に撮る。透明プラスチックの飼育ケースに虫を移すと、撮影しやすくなる(撮影後、飼うつもりがなければ、すぐに逃がしてあげましょう)。
夜中に新たな虫が来る可能性もあるのでトラップはそのままにしておき、できれば翌朝も見に行き、集まった虫を撮影する。



3)トラップを回収する

必ず最後にはトラップを片付けて、元の状態に戻しておくこと。

注意!
○トラップの設置、トラップのチェック&回収は必ず大人が付き添いましょう。
○トラップには、まれにスズメバチやムカデなどの危険な虫が寄ってくることもあります。トラップをチェックするときは、まず大人が確認してから子どもを呼び寄せましょう。
○オサムシやシデムシは、ギュッとつかんだりいじめたりするとくさい臭いを出すものもいるので注意が必要です。気になる場合は、軍手をつけてそっと持ちましょう。


スズメバチは鶏のから揚げが好き!?
カブトムシやクワガタが集まる木には、スズメバチも来ることがあります。スズメバチは黒いものに攻撃をしてくるので、黒い衣類は避けましょう。そして大人は甘い香りのする香水をつけないこと。また、スズメバチは鶏のから揚げの匂いに寄ってくる習性があるので、お弁当を持ち歩く場合、鶏から揚げはNGです。


4)集まった虫を記録する

(1)白模造紙などの大きな紙に、トラップを仕掛けた環境(木や地面)を描き、そこに集まった虫の写真を貼る。
(2)写真のそばに、図鑑で調べた虫の名前を書く。
(3)余白にどんなえさに寄ってきたか、どんな環境にいたか、などを書く。


解説


昆虫好きの子どもにおすすめ。虫の生態に注目しよう!

昆虫はトラップにある食物の匂いに引き寄せられて、集まってきます。どんな匂いが好きなのかなど、親子で話題にしながらトラップづくりをしましょう。単なる昆虫採集で終わらせることなく、虫の生息する環境や好む食物などを調べながら、虫の生態にも関心を向けさせたいものですね。
また、センチコガネやシデムシ、オサムシなどは動物の死骸、動物のフンなどを食べる虫です。これらの虫は森をきれいに掃除してくれる「森の掃除屋さん」とも呼ばれています。自然環境を守るには、こうした虫たちの存在も欠かせないことを子どもに伝えましょう。


スーパーバナナトラップに集まる虫の例
カブトムシ ノコギリクワガタ コクワガタ カナブン
チョウ(サトキマダラヒカゲ、キタテハ、ルリタテハなど。場所によってはオオムラサキも) など
ノコギリクワガタ
ノコギリクワガタ

ルリタテハ
ルリタテハ


ペットボトルトラップに集まる虫の例
センチコガネ アオオサムシ オオヒラタシデムシ など
センチコガネ
センチコガネ

オオヒラタシデムシ
オオヒラタシデムシ

プロフィール


佐々木 洋

(財)日本自然保護協会自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などを経て、長年にわたり環境教育・自然解説活動を展開。日本では数少ないプロのナチュラリスト(自然案内人)として、国内外の各地をフィールドに幅広く活躍中。著書に「野遊びハンドブック」(光文社)など。

子育て・教育Q&A