「不適格教員」の免職、4月から可能に

満足に授業ができない、子どもと人間関係が築けない、など教師としての能力や適性に欠ける、いわゆる「問題教員」(不適格教員)に対する新しい人事管理制度が、今年4月から公立学校に導入されることになりました。指導力が不足している不適格教員を学校から切り離して「指導改善研修」を受けさせ、研修後も指導力が改善されない場合は免職にすることができるというのが、新しい制度の柱です。

実は現在でも、2002(平成14)年に地方教育行政組織法という法律の改正により、「指導力不足教員」を教職以外への職種に配置転換することが可能になっています。文部科学省の調べによると、すべての都道府県教育委員会が指導力不足教員の認定制度を導入しており、全国で450人(2007(平成19)年4月現在)が指導力不足教員と認定されています。
しかし、制度の導入や運用は人事を行う教育委員会に任されているため、対応にばらつきもありました。

これに対し、「不適格教員は教壇に立たせない」とした昨年1月の教育再生会議第一次報告を受けて、同6月に教育公務員特例法が改正されました。新制度の大きな特徴は、不適格教員に「指導改善研修」を実施することを都道府県教委などに義務づけたこと、さらに、「指導改善研修」を受けても改善されない教員を免職できるようになったことです。

今年4月からの制度の実施に向けて文科省は昨年末、不適格教員の定義や制度の運用方法などについてのガイドライン策定に向けた中間報告をまとめました。それによると、不適格教員を「専門的知識、技術等が不足しているため、学習指導を適切に行うことができない」「児童等の心を理解する能力や意欲に欠け、学級経営や生徒指導を適切に行うことができない」などと定義しています。
校長などから報告を受け、医師や弁護士など専門家の意見を聞いたうえで、不適格教員を認定、教育センターなどで1年間の「指導改善研修」を実施し、研修を最長で2年間受けても改善されない場合は免職にできる、というものです。

また、文科省の中間報告では、保護者などから教員の指導力について要望が出された場合、学校や教委は状況確認など適切な情報収集に努めることとされているほか、教委には不適格教員を把握する責任があるとされている点も注目されます。

ただ、不適格教員の免職を可能にする新制度については、これを支持する声が多い一方で、教員が保護者や管理職に対して必要以上に萎縮してしまい学校教育全体から見れば逆効果になるのではと懸念する意見もあります。
また、教育関係者の間では、「校長の方針に反対するような教員が不適格教員として排除されることにつながる」などと反発する声も少なくないようです。不適格教員の排除は重要な課題ですが、それで学校現場が混乱することのないよう、慎重な運用が必要でしょう。

<参考>
指導力不足教員の認定システム
都道府県における指導力不足教員の制度と認定(2007年4月現在)

プロフィール


斎藤剛史

1958年茨城県生まれ。法政大学法学部卒。日本教育新聞社に入社、教育行政取材班チーフ、「週刊教育資料」編集部長などを経て、1998年よりフリー。現在、「内外教育」(時事通信社)、「月刊高校教育」(学事出版)など教育雑誌を中心に取材・執筆活動中。

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