帰宅後ダラダラする我が子とつい親子ゲンカに…どう接するべき?/小学生保護者のお悩み解決隊#3

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学校から帰ってきてもいつまでもダラダラしているお子さまに、イライラが募ってしまうこともあるのではないでしょうか。ダメだとわかっていつつも、つい「いつから宿題するの?」と口出しして、親子ゲンカに発展することもあるかもしれません。
そこで、小学生のダラダラへのお悩み体験談を、SNSで人気のマンガ家・さざなみさんがマンガ化。そして、子どものコーチングに詳しいNPO法人「ハートフルコミュニケーション」代表理事の菅原裕子先生にアドバイスをいただきました。

この記事のポイント

帰宅後、いつまでもダラダラ!?

気になるお子さまのダラダラタイム……。「子どもも疲れているんだな」と気付いたという体験談でした。
ついお子さまに注意したくなる時も多いと思います。どう声をかけていいものか悩んでしまうこともあるかもしれません。
お子さまのやる気をそがないために、どのような声かけができるといいのでしょうか?

子どものダラダラ、どうすれば切り上げられるようになる?

教えてくれるのは……企業の人材育成と子どものコーチングの両者に豊富な経験をお持ちのNPO法人「ハートフルコミュニケーション」代表理事の菅原裕子先生です。

Q.ダラダラしている子どもに、どう声をかければいい?いつも親子ゲンカに発展してしまいます……

A.お子さまに声をかける時に「どうしてやらないの?」と理由を問いつめたり、「いつになったらやるの?」と急かしたりしていませんか。これは逆効果になる可能性大。「ダラダラタイム」は人間の脳の特性から考えても必要なものです。まずはこの前提をおさえておきましょう。

学校で1日を過ごして帰宅したお子さまは、体も心も疲れています。特に脳内は情報でパンパン。ちょっと一息ついてストレスを解放させる「ダラダラタイム」を持つことで、脳のごちゃごちゃを整理し、次の行動に向かえるようになるのです。

疲れた脳が休むことを求めている時に「なんでやらないの?」と言われても、お子さまも戸惑いや反発を覚えてしまいます。保護者のかたも、仕事や家事で疲れ切って休んでいる時に「なんでご飯作らないの?」と言われたら、同じように感じますよね。他者から見ると「何もせずにダラダラしている」と思えるかもしれませんが、「脳を整理する時間を過ごしているんだな」「人間ってそういうものだよね」という前提に立つようにしましょう。

声をかけるのであれば、お子さまの様子をよく見ておきましょう。疲れている様子や、イライラしていることに気付いたら「今日はどうしたの? 疲れてる?」「何かあった?」と、状態を読み取って言葉にしてみてください。「だってさ……」と会話の糸口になるかもしれません。

とはいえ、普段から会話が少ない親子だと「別に」とシャットダウンされてしまうこともあるでしょう。そうならないようにするためには、普段からお子さまの話を聞くことが大切です。話を聞くときには「話を否定しないこと」「途中でさえぎらないこと」がポイント。お子さまが話をしたくなるような雰囲気作りを心がけたいですね。

また、低学年であれ、中学年以降であれダラダラ時間をあらかじめスケジュールに組み込んでしまうのもおすすめです。「ちょっとお茶とお菓子でもしない?」とダラダラに誘って、雑談をするのもいいですね。子どもって不思議なもので、ダラダラに誘うと「いや、宿題があるからちょっとだけね」と言ったりしますよ(笑)。

Q.親子ゲンカに発展してしまった時には、どのように解決すればいい?

A.小学校低学年と中学年以降でそれぞれ対応法を紹介します。
まず、小学校低学年は保護者のかたが怒りの感情を引きずらなければ、多くの場合、子どもの機嫌は自然に直ります。ケンカの重苦しい空気を変えるために、ケンカのあとに「なーんて、本当にうるさくしちゃってごめんね」とユーモアを持って茶化してみるのもいいでしょう。

保護者のかたが気持ちを切り替えるポイントは、自分を客観視することです。保護者自身がストレスや疲れをためていたり、自分自身にも多くのことを課したりしていると、余裕がなくなってしまいます。
反対に、保護者がストレスをためておらず心身ともに元気であれば、ダラダラしている子どもを見ても「だよね。疲れるよね。私も仕事のあとって疲れ切って動きたくないし」と肯定的に受け止めやすくなるでしょう。そうすれば「いつまでダラダラしてるの?」と責めるような声かけでなく、「ゆっくりお休み中のところごめんね〜」とユーモラスに声をかけられるかもしれません。
忙しい毎日で、休むことに罪悪感を持ってしまうかたもいらっしゃるかと思いますが、ぜひ保護者のかた自身も、休息を取ったり自分を甘やかしたりしてほしいと思います。

次に中学年以上のお子さまの場合は、思春期に入る子もいるため、気持ちの切り替えが難しくなります。お子さまも親子ゲンカの雰囲気を引きずりがちにもなるでしょう。自我が芽生える時期でもあるので、あれこれ口を出すより、そういうものだと理解して見守ることも大切です。

「あなたの好きな唐揚げできたよ」など、お子さまの好物を作ってさりげなくフォローするのもいいですね。保護者がわだかまりを持っていない様子が伝わることで、お子さまの心のわだかまりも少しずつ少なくなっていくかもしれません。

Q.宿題や提出物忘れは、どのように注意すればいい?

A.ダラダラタイムは「1日の疲れをとる必要時間」ととらえられたとしても、宿題や提出物忘れがあると、つい注意の言葉が強くなることもあるでしょう。

しかし、強い口調の注意はケンカのモト。保護者のかたはケンカをしかけたつもりはなくても、子どもは責められているように感じて反発してしまいます。

宿題忘れや提出忘れにイラッとした場合は、注意ではなく失敗しないための作戦を一緒に考えるようにしてはいかがでしょうか。「どうしたら忘れないと思う?」と前向きな会話ができれば、お子さまも責められたと思わず落ち着いて考えていくことができるはずです。そうすれば、親子ゲンカに発展しにくいですし、同じような失敗を繰り返す可能性も減らせます。「忘れ物には、注意ではなく作戦会議」と意識してみてください。

まとめ & 実践 TIPS

大人と子どもの両方の能力開発をされてきた経験をもとにアドバイスをお聞きしました。「ダラダラタイム」は、疲れた脳を整理するために体が求める時間という事実にハッとしたかたもいらっしゃるかもしれません。お子さまの状態や気持ちに寄り添った声かけでサポートしていけるといいですね。

\これまでのマンガはこちら/

連絡帳に連絡事項が書いてない?!/小学生保護者のお悩み解決隊#1
子ども同士で遊ぶ約束をしたが…待ち合わせできなかった!注意点とルールは/小学生保護者のお悩み解決隊#2

プロフィール

菅原裕子

監修:

菅原裕子 すがはらゆうこ

NPO法人 ハートフルコミュニケーション 代表理事

人材開発コンサルタントとして、企業の人材育成の仕事に携わる。1995年、企業の人育てと自分自身の子育てという2つの「能力開発」の現場での体験をもとに、子どもが自分らしく生きることを援助したい大人のためのプログラム-ハートフルコミュニケーション-を開発。2006年にNPO法人ハートフルコミュニケーションを設立。『子どもの心のコーチング』『10代の子どもの心のコーチング』『子どもの「やる気」のコーチング』(以上、PHP文庫)など、著書多数。

NPO法人ハートフルコミュニケーション
http://www.heartful-com.org/

プロフィール

さざなみ

マンガ:

さざなみ

子供の個性や成長と真剣に向き合う育児エッセイが共感を呼びSNSで話題となる。『「どんなときでも味方だよ」って伝えたい!』書籍化。
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