脳科学者が教える 賢い脳に育てる子育てヒント

『MOVE はじめてのずかん みぢかないきもの』の監修を務められた脳科学者の瀧靖之先生は、お子さまが図鑑でなにかに興味をもったら、リアルな体験に結びつけると、知的好奇心が伸びるといいます。今回は、将来にわたって好きなものを追求し、賢い脳に育てるために今できることについて伺いました。

映像も好奇心のきっかけになる

図鑑や本の世界と、リアルな体験を結びつける架け橋として、映像を活用するのもおすすめです。図鑑に興味がないお子さまの場合も、映像だったら楽しく見られることが多いですし、興味がもてれば図鑑に戻って知識と結びつけることもできます。また、繰り返し見ることで、好きな物ごとをずっと覚えていられるようにもなります。
また、子どもの興味対象は無限大ですから、図鑑や映像の世界にとどまるのではなく、もっと広くいろいろなことを知るきっかけにもなります。

たとえば、パプアニューギニアという国名が出てきたときに、「パプアニューギニアってどこだろう? 知りたい!」と思えば地理や国旗につなげることもできるのです。このように、映像や図鑑の知識だけで完結しないのが、お子さまの好奇心の面白いところでもあります。

 

「これ、知ってる!」という土壌をつくっておくと、勉強が楽しくなる

図鑑や本、映像をとおして小さい頃に知ったことは、いざ勉強として登場したときも、抵抗なく頭に入るようになっています。
たとえば幼児期に水星や金星など星の名前を知っておくと、中学校の理科で出てきたときに「これは勉強だ、つまらないな」面白くないけど、試験のために覚えなきゃ」という抵抗感が和らぎ、「この言葉は聞いたことあるけど、こういうことだったのか」と、すんなり受け入れられるようになるのです。
ですから、最初に、幅広くいろいろなことを頭に入れておいてあげるとすごく大事なんです。図鑑や映像で見る世界にとどまらず、テレビでニュースを流しておくのもいいですね。

ニュースでは、「国会議事堂」や「総理・総裁」など、のちのち社会科で勉強することが出てきたり、天気予報では、「低気圧」「高気圧」「寒冷前線」など、理科で勉強する言葉もたくさん登場します。世の中のことをもっと知りたい、勉強したいという好奇心が芽生えます。すると、勉強で出てくることは、世の中で実際に起こっていることなんだということがわかります。
こうした知識や体験というのは、テストのためにあるのではなく、世の中を知るためにあるんだということを実感できれば、子どもの好奇心は必ず伸びます。そして、世界を知るということが、ゆくゆくは自分が何をやりたいのかを考える一歩にもなるでしょう。
少し大げさな話になってしまいましたが、図鑑という身近なアイテムを通して、世の中の奥深さを知れるきっかけができればと思います。

講演などでは、よくゲームやスマホに没頭するお子さまを心配する保護者のかたから、質問を受けるという瀧先生。そんな問い対し、先生は「ゲームやスマホに触れる前に、世の中にはもっと面白いものがあるということを実感できるといいかもしれませんね。ある一定期間はゲームやスマホに没頭したとしても、自然の方が奥深い、面白いと思えれば、いずれはリアルな体験に興味をもつようになるのではないでしょうか」と答えるそうです。
こうした世の中の広がりを知るきっかけになる身近なツールとして、親子で図鑑を活用してみてはいかがでしょうか。

プロフィール

瀧靖之

医師。医学博士。
東北大学大学院医学系研究科博士課程卒業。東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長・加齢医学研究所 教授。
東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに16万人にのぼる。「脳の発達と加齢に関する脳画像研究」「睡眠と海馬の関係に関する研究」「肥満と脳萎縮の関係に関する研究」など多くの論文を発表。学術誌はじめ新聞・テレビなど、マスコミでも数多く取り上げられ注目を集めている。『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)は10万部を超えるベストセラーに。一児の父でもある。

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