子どもが自発的に勉強に向かう対話[やる気を引き出すコーチング]

先日もまた、親子でコーチング講座に参加された方がいらっしゃいました。今回は、小学校5年生の女の子とお母さん。
小学生がいても、私はもうまったく遠慮はしません。大人向けの内容をそのままやります。今回は、大人にとっても、少し難しいお題を投げかけました。「あなたはどんな○○でありたいですか?」。

○○のところは、各々が置かれている立場や役割を自由にあてはめてもらいます。例えば、学校の先生であれば、「どんな教員でありたいですか?」、保護者の立場であれば、「どんな親でありたいですか?」といった問いになります。
このテーマは非常に重要なテーマだと、私は常々思っています。例えば、「私は子どもの可能性を信じて自発性を引き出す親でありたい」というあり方に自分自身が立てたら、子どもが多少ぐずぐずしていても、必要以上に手や口を出さずに、子どもが自分で考え、行動するのを見守ることができるようになるからです。

■子どもは子どもなりに自分で考えられる

さて、小学生にとって、このお題はどうなのでしょう?
「○○にどんな言葉を入れますか?イメージ湧きますか?」と質問すると、最初は、「う~ん?」と困ったような顔をしていました。ところが、実際に、考える時間をとって、書く、話す、コーチングを受けるといった演習を繰り返していると、「どんな大人になっていたいか?」と自分なりにテーマを置き換え、最後は、イキイキと自分の言葉で語っていました。「そうだ!小学生だからといって、決して侮ってはいけない」と、また強く確信しました。

講座終了後、この子は、「どうなりたいかを話したら、もっと勉強もがんばろう!と思いました。すごく楽しかったです。また来たいです!」と言って帰っていきました。連れてきたお母さんもびっくりしていました。

■「どんな大人になりたいの?」という質問

こちらは、高校1年生の息子さんを持つお母さんの事例です。コーチング講座で体験したことを、うちでも試してみようと思ったそうです。

「どんな大人になりたいの?」と、まず質問してみました。
「人に影響を与えることができる人」という答えがお子さんから返ってきました。
さらに、質問で具体化していきました。
「どんな形で?」
「自分の技術で」
「どんな分野の?」
「医療」
「へぇ!すごい!そのためにはどうしたらいいの?」
「医学部か医療分野の工学部に入る」
「すごい!人を助けるためのチケットを手に入れるんだね」

こんな対話ができたことも、お母さんにとっては大きな喜びでしたが、翌日、さらに嬉しいことが起きました。お子さんが、「電車の中でも勉強するからiPad持っていくね」と言って登校していったそうです。

目先の宿題をいつやるかとか、テストで何点をとるかとか、もちろん、大切なテーマですが、その前提として、「将来、どんな大人になりたいのか?」について、子どもが自分で考え、自分の言葉で語れることはとても重要だと感じます。

小学生でも中高生でも、質問を投げかけ、考える時間を持てば、何かしら考えを思いつくものです。考えがないと見えるとしたら、それは、考えてアウトプット(話したり、書いたり)する機会がこれまで十分になかっただけだと思ってください。子どもは自分で考える力を持っています。それを信じてほしいと思います。

大人だって同じではないでしょうか。
よほど、日頃から意識を向けて考えていなければ、「あなたはどんな親でありたいですか?」と問われて、すぐに言語化するのは非常に難しいことです。
意識を向け、自分の言葉で語っているうちに、しだいに、自分の内側で答えが見つかっていきます。自分で見つけた答えは、人から与えられたものよりずっと強力な動機づけになります。

ご家庭で、「どんな大人になりたいと思っているの?」という対話を折々になさってみてはいかがでしょうか?しだいに、お子さんのスイッチも入っていくでしょう。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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