自己肯定感が芽生える0歳からの声かけ

フリーアナウンサーで、子育て番組のキャスターを務めたご経験のある天野ひかりさんに、お子さまに”自分で考え行動する力”が育まれ、小学校に入ってからの子育てがぐんと楽になる幼児への声かけについて伺いました。

「禁止」の声かけは少し我慢。ありのままの子どもを認める声かけを

今、社会で求められている”自分で考えて選択する、自立した大人になる”には、自らすべきことを考えて選ぶ能力と、周りの人から認められて自分自身を好きになれる自己肯定感が大切だということはよく言われています。これから迎えるであろう人工知能(A.I)の時代にも、これらの力は必ず必要になってくるでしょう。
そこでこの2つを身につけるための環境を、「声かけ」を通して0歳のときから整えてあげることをおすすめします。

幼児に「自立した大人を育むための」声かけをすると言っても、あまりピンとこないかもしれません。
ましてや0歳の子育て時期は、ほかにもやるべきことが多すぎて、あまり余裕を持てないかもしれません。でも、お子さまが0歳のときから保護者のかたが声かけの工夫をしてみると、どんどん自分で考える力が身につき、小学校に入る頃には見事に花開くようになると思います。

たとえば、保護者のかたは子どものことを思うあまり、「ごはんはこぼさないで食べなさい」「危ないから走り回らないで」など、先回りした禁止の声かけをしがちです。言われたお子さまは、その時は言うとおりに、やってほしくないことをやめるかもしれません。しかし、これはただ単に、「言われたからやめた」ということに過ぎません。

毎日「こぼさずに食べなさい!」と言われ続けると、子どもは食べることそのものを否定されているような気持ちになってしまいます。食事のたびに食べこぼしを片づけるのは骨が折れますが、「今日はよく食べてるね! ママも嬉しいよ!」など、まずは食事ができることそのもののすばらしさを認める声かけをしてみてはどうでしょうか。
毎日食べていること自体を認める言葉かけをしてみて、もし、たまたま食べこぼさなかった日がきたら、その時は思いきり褒めてあげましょう。お子さまの中で「認められた!」という気持ちが芽生えれば、すぐに食べこぼさないで食べてくれるようになりますよ。

ほかのことも同様で、「走っちゃだめ!」「静かにしなさい!」など、禁止の言葉を少し我慢して、「元気でいいね!」「大きな声が出せてすごいね」と認める声かけをしてから、「でも、お店の中は人がたくさんいて危ないから走らないようにしようね」などと、こちらの思いを伝えるようにすることが大切です。

子どもがお友達と仲良くできなくても心配しないで

「うちの子、思いやりがなくて。このままだと人の気持ちがわからない子に育ってしまうのでは……」というお悩みを保護者のかたからよく聞きます。保育園や幼稚園で、お友達におもちゃや遊具を貸してあげられない我が子を見ると、たしかにこんな不安な気持ちになってしまいますよね。でも、ぜんぜん心配しなくて大丈夫です。

子どもの発達段階として、1~2歳では、まずは自分のやりたいことを認められたあとでないと、相手が要求していることを認めることはできません。自分がおもちゃで遊びたいという気持ちを満たしていないのに、お友達に貸してあげるのは、できなくて当然なのです。保護者のかたは、遠慮せずに我が子がやりたいことをそのまま認めてあげてください。3~4歳になるとだんだん「自分もおもちゃで遊びたいけれど、お友達もおもちゃで遊びたいんだな」という気持ちが理解できるようになりますよ。

お子さまの自己肯定感を育むには、「まずは認める」ことがとても大切です。これを繰り返していくうちに、今やることを自分の頭で考えてできるようになり、保護者のかたは、小学校からの子育てがきっと楽になりますよ。

プロフィール

天野 ひかり

天野 ひかり

局アナウンサーを経て、フリーに。NHK『すくすく子育て』キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして、全国で講演や講座、コーディネーターを務めている。NPO法人を立ち上げ、多くの専門家に取材した知識を元に、自己肯定感を育む講座を主宰し、子育ての面白さと大変さに共感を持って活動に臨んでいる。著書『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)等。
NPO法人親子コミュニケーションラボ http://www.oyakom.com/
天野ひかり公式サイト http://www.amanohikari.com/

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