「いい子症候群」とは?どんなお子さまに当てはまるの?

「いい子症候群」という言葉を聞いたとき、みなさんはどのようなお子さまを想像しますか?
「いい子」とありますから、「やさしくて思いやりのある子?」と思うかたもいるでしょう。また、「症候群」という言葉から「大丈夫かな?」と少し心配な気持ちになるかたもいるかもしれません。
では、「いい子症候群」とはどのようなお子さまのことなのでしょうか。15年以上保育業務に携わってきた保育士がご説明します。

「いい子症候群」とは?

「いい子症候群」とは、保護者のかたが思い描くような「いい子」でいようとするお子さまのことです。
お子さまはいい子でいようとして、自分の気持ちを抑えてしまうことがあります。
また、「パパやママに喜んでほしい、認めてもらいたい」といった気持ちから保護者のかたの言う通りにしか行動できず、自分の意思をもてなくなってしまうこともあるでしょう。
「いい子症候群」のお子さまはこれらの積み重ねによって、トラブルの回避方法がわからないまま成長してしまったり、コミュニケーション力が低下してしまったりする可能性があります。
また、「いい子症候群」のお子さまは保護者のかたと一緒にいるときに「言うことを聞くいい子」でい続けようとするあまり、保護者のかたの目の届かない場所ではたまったストレスをよくない方法で発散しようとすることもあります。例えば家の外ではいじめる側になってしまったり、幼稚園や学校などの先生の言うことを聞こうとしなくなったりといったことが行動として現れる場合もあるようです。

「いい子症候群」かも? チェックしたいポイント3つ

以下では「いい子症候群」になるかもしれない、あるいはなっているかもしれないことを確認できるチェックポイントをご紹介します。
もしお子さまに当てはまる言動があったら、保護者のかた自身の言動に気をつけていく必要があるかもしれません。ただし当てはまることがあるからといって、育児に自信をなくす必要はありません。このチェックはよい方向へ進んでいくためのものと考えてください。チェックしたことをきっかけに、保護者のかたがお子さまの兆候や保護者のかた自身の言動について気づけることが重要です。

◆【ポイント1】保護者のかたの指示がないと不安なお子さま
何か選択をしなければならない場面で、お子さまが保護者のかたの顔色を見るようなことはありませんか?
「何を選んでいいのかわからない」と思っていたり「“こうしたい”という希望はあるけれど、それを言うと叱られてしまうかもしれないからパパやママに選択してほしい」と思っていたりする場合があるかもしれません。また、保護者のかたの指示で行動を決められてきたお子さまは自分で考えることなく、言動が受け身になりがちです。

◆【ポイント2】感情表現が乏しい、自己主張することが苦手なお子さま
欲しいものを主張して駄々をこねることがない、泣いてぐずることがないなど、お子さまが子どもらしい感情を素直に表現しなかったということはありませんか?
実際に欲しいものがないという場合もありますが、「本当の気持ちを言ったらパパやママの意思に反してしまう」と考え、素直な気持ちを口に出せなくなっているかもしれません。

◆【ポイント3】反抗期がなかったお子さま
保護者のかたが困ることがないほど、お子さまに反抗期がなかったということはありませんか?
保護者のかたからすると手のかからないとてもいい子に感じるかもしれませんが、反抗するということは自分の意思をもち成長していくということです。従ってそれがなかったということは、自分の意思をがまんして過ごしていたという抑圧された感情をもっているかもしれません。
また抑圧された感情は、「自分の気持ちは言っても無駄だから言わない」など、「人に認めてもらえない」という気持ちを増幅させます。そのため、そういった気持ちをもったまま失敗を経験すると深く落ち込んでしまい、前向きになるのが難しくなってしまうことがあるでしょう。

お子さまが「いい子症候群」になってしまう理由

例えばお子さまがどんなところでも走り回ってしまうというとき、お子さまにどのように声をかけていますか?
思わず「いい子にしなさい」「言うことを聞きなさい!」などと強めに何度も言ったり、ときには強い口調で「なんでいい子にできないの?」「なんで言ったことができないの?」と怒ってしまうなど、保護者のかたの気持ちを押しつけようとしてしまうことがあるかもしれません。
同世代のお子さまと一緒に過ごす場面ではどうでしょう。自分のお子さまだけができないことがあったとき、「なんでうちの子だけできないの」という残念な気持ちを顔に出してしまうということはありませんか? また、お子さまが小さかった頃、ひとりで上手に洋服を脱げたときや靴を履けたときなど、できるようになって当たり前と思い、ほめなかった経験はないでしょうか。

このように、ルールを重要視し過ぎて保護者のかたの理想を押しつけてしまうことが多く、お子さまの気持ちを理解しないことがあると、お子さまは「いい子症候群」になりがちです。また、お子さまをほめない、お子さまが関心のあることに興味をもてない、お子さまよりも保護者のかた自身の気持ちを優先に考えてしまうことが多いなど、お子さまの気持ちを無視した行動をとってしまうことがある場合にも、お子さまを「いい子症候群」にしてしまいがちです。

お子さまの気持ちを尊重しよう!

保護者のかたはつい、大人の目線でものを見たり考えたりしたりしてしまうかと思います。とはいえ、お子さまが「いい子症候群」にならないようにするためには、保護者のかたがお子さまと同じ目線に立ち、お子さまの気持ちを理解して向き合っていくということが重要です。
お子さまはひとりの独立した個人であることを理解しましょう。何がしたいのか、どんな気持ちなのかなど、お子さまの本音を確認することが大切です。
そしてお子さまがどんなことを言っても、きちんと受け止めてあげましょう。これはお子さまの言いなりになることとは違います。どんな気持ちで何を思ったのかを理解してあげることが重要です。その気持ちを理解したうえで、さらに社会的ルールを踏まえた気持ちなど、成長した気持ちが必要だと感じたときは、そのことを説明し、理由を伝えてあげてください。
また選択しなければならないことがある場面では「子どもだから」という理由で保護者のかたが決めるのではなく、お子さまが自分で選択する機会をきちんと与えてあげるようにしましょう。その積み重ねは成長とともに「自分は認めてもらった」という自信や責任感へとつながるはずです。

このように、「いい子症候群」は保護者のかたがお子さまの気持ちを尊重し理解することで回避できると言えます。お子さまが生まれたとき「おなかが空いた」「お尻が気持ち悪い」「眠い」と泣くのは、意思表示をしている証拠です。
それから成長するにつれて、さらに自分自身の意思を言葉や行動で表現するようになります。そうして自分の意思を表現していくことで、他人とのコミュニケーションの仕方を覚えたり、自分の発言に責任をもったり、行動に自信をもったりしていくのです。
保護者のかたも、お子さまはそうやって大人になっていくのだと考え、できるだけ考えを尊重し見守ってあげましょう。

プロフィール

監修:市川由美子

保育士として15年以上にわたり、福祉施設、託児所、保育園などさまざまな場面での保育業務に携わる。
食育実践プランナー資格も有している。

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