駄々をこねる子どもの理由や5つの対処法!やってはいけない注意点も

駄々をこねるお子さまとどう関わっていったらよいか、迷うことはありませんか?
特に2歳をすぎ、自我が出てくるようになった頃には、お子さまが駄々をこねたとき、その本当の理由になかなか気づけなかったということもあるのではないでしょうか。
そこで、子どもが駄々をこねる理由と対処法、NG対応について、教育心理学の専門家である松尾直博先生の監修のもと、ご紹介します。

子どもが駄々をこねる2つの理由

自分の気持ちをわかってほしいのにうまくいかないから

お子さまが駄々をこねる理由は、自我が芽生え自分の気持ちを理解してほしいのに、なかなかわかってもらえないためです。語彙力も限られているため、気持ちをうまく表現できず、駄々をこねるしかないこともあるでしょう。
例えば、子どもがあるフルーツを自分の分は食べてしまい、もっと食べたいと思うとします。その思いを言葉にすることが難しい場合は、不機嫌になり駄々をこねるかもしれません。保護者のかたは、その思いをくみ取ることが難しいこともあります。そうすると、子どもはなぜ自分がもっとフルーツを食べたいと思っていることをわかってくれないんだ!と感じてますます駄々をこねることもあります。
体調が悪いときも、子どもは、まだそれをきちんととらえて、保護者のかたに言葉で伝えることが難しいことから、自分でもよくわからずに駄々をこねることもあります。はっきりとした頭痛や腹痛は子どもでもとらえやすいですが、発熱や胃のムカムカなどは体調が悪いのか機嫌が悪いのか、子ども自身もとらえることが難しいため、駄々をこねるという形で表現することもあります。

やりたいことが許されないから

子どもの自我が発達してくると、遊びや探索などでやりたいことがはっきりとしてきます。保護者のかたが子どものその思いを理解できたとしても、それに応えられなかったり、禁じたりすることが必要になることもあります。危ないことはさせられない、保護者のかたには保護者のかたのしなければいけないことがある、子どもに我慢や社会性を身につけてほしいなどの理由によって、子どものやりたいことを許すわけにはいかない場面も出てきます。

例えば、お子さまは保護者のかたに急に甘えたくなることがあります。「抱っこしてほしい!」「隣に座っていてほしい!」など、近くにいてほしいという気持ちを主張してくるでしょう。しかし、食事のしたくなどで保護者のかたが忙しく相手にされないでいると、お子さまの気持ちは満たされないままとなってしまいます。あるいは「一緒に遊んでほしいのに遊んでくれなかった」といったときも気持ちは満たされていません。するとお子さまは駄々をこね始めるでしょう。

また、スーパーなどでほしいものがあるのに買ってもらえないといったときにも、お子さまは自分の気持ちを主張するために駄々をこねることがあるかもしれません。

お子さまが駄々をこねたときの5つの対処法

お子さまが駄々をこね始めると、ついカッとなったり、強い言葉を発してしまうこともあるかもしれません。でも、それでは逆効果になってしまうことも多いものです。お子さまが駄々をこねるのには理由があることを踏まえ、次の5つの対処法を意識していくようにしましょう。

対処法1:気持ちを受け止める

例えば、お子さまがわがままを言ったとき、保護者のかたはイライラする気持ちを抑えて「そうだよね、○○ほしいよね」などと言い、お子さまの気持ちを受け止めることから始めましょう。イライラの原因がわからないときは、「そうかそうか。何かが嫌なんだね」という受け答えでもよいので、気持ち自体を受け止めることが大切です。気持ちを受け止めてもらえたことでお子さまは、自分のことをわかってもらえたと安心感を覚えるものです。そうすれば、気持ちも少しずつ落ち着いていくでしょう。

その上で、これから述べるような対処法を加えるとよいと思います。

対処法2:実現できる提案をして対応する

家に帰らなければならないときに「もっと公園ですべり台をしたい!」など、何かをやりたい気持ちを抑えられず駄々をこねることもあるでしょう。そのようなときは、気持ちを受け止めた上で、実現できる「あと1回やったら帰ろうね」といった声かけができるといいですね。

対処法3:子どもの気持ちを切り替える

駄々をこねている子どもは、自分でもコントロールできないほどヒートアップしているものです。そのため、気持ちを切り替えてあげることも大切。「あ、もうすぐ大好きなアニメの始まる時間だね」など興味がある別のものや好きなものに気を向ける声かけをするなど、気持ちの切り替えの手助けをするのもよいでしょう。

対処法4:スキンシップをとる

お子さまの荒ぶった気持ちを落ち着けるために、抱っこする、背中をさする、手を握るなどやさしいスキンシップをとるとよいでしょう。
ただし、お子さまによっては気持ちが荒ぶっているときにスキンシップを取るとかえって嫌がる場合もあります。また、普段は十分なスキンシップをしていないので、駄々をこねたときだけスキンシップを取ると、わざと駄々をこねることを覚えてしまうこともあるので要注意です。

対処法5:体調を確認する

体調が悪く駄々をこねているケースもあるものです。いつもの生活の様子と比べ機嫌が悪く、激しく怒ったり、泣いたりするなど、様子が違う駄々のこね方をしているときは、体調が悪いまたは悪くなる前触れの場合があります。
熱を測ったり、食欲はいつも通りなのかなど、お子さまに寄り添いながら体調不良かどうかを確認しましょう。

お子さまが駄々をこねているときにやってはいけない3つのこと

お子さまが駄々をこねたときは、はやく気持ちを落ち着かせなければと焦ってしまうこともあるのではないでしょうか。焦るあまり、次のような3つのNG対応をしてしまわないように注意しましょう。

イライラをぶつけて怒る

お子さまが駄々をこね始めると、イライラしてしまうという保護者のかたが多いのではないでしょうか。しかし、その気持ちをそのままぶつけて怒ってしまうのは逆効果です。いわゆる「火に油を注ぐ」状態になってしまうことも多いです。なかなか簡単なことではありませんが、子どもがイライラしている時こそ、大人は冷静で穏やかに対応できることが大切です。

要求を全て受け入れる

駄々をこねる様子に根負けして、子どもの要求を全て受け入れるのも避けましょう。お子さまは「駄々をこねれば自分の要求は通る」と考えるようになってしまいます。正しい方法で、許容できる範囲のことを主張した場合は受け入れてあげるが、誤った方法で、許容できないことを主張した場合は、理由を伝えつつ我慢させたり、可能なことを提案したりするようにしましょう。

保護者の気持ちを優先しすぎる

子どもが駄々をこねて主張していることが、そもそも叶えられないことなのか吟味することも大切です。例えば、次のエピソードについて考えてみてください。
おもちゃを買ってもらえる楽しみな日に「何がほしい?」と聞かれ「車のおもちゃ」と答えた子どもがいます。それを聞いた保護者のかたが「車のおもちゃはたくさん持っているでしょう。ずっと遊べる、ブロックのおもちゃにしなさい。」と言いました。
それでも子どもは「車のおもちゃがいい!」と駄々をこね始めます。保護者のかたは「駄々をこねるなら、買ってあげないよ!」と言って買わずに帰りました。
これを聞いてどのように思いますか?

この子にとっては、ほしい車のおもちゃは、今持っているものと違う種類のものかもしれません。これ以上、車のおもちゃを増やしてはいけない理由はなんでしょうか。また、なぜブロックのおもちゃにしなければならないのでしょうか。ブロックのおもちゃで遊んでほしいのは保護者のほうの願いであり、子どもの願いではありません。子どもとしては、何がほしいか聞かれたので車のおもちゃと答えたのに、それをとがめられるのは納得がいかないでしょう。また、保護者のかたがブロックで遊ばせたいのであれば、最初からほしいものを子どもに聞かずに、保護者の願いや提案を伝えたほうがよいでしょう。

子どもが正しい形で許容できる自己主張をした場合は、それを出来るだけ叶えたほうがよいでしょう。そうすることによって、駄々をこねるのではなく、正しい形で自分の思いを伝えられる力が育ってくるからです。駄々をこねるのは、上手な自己主張の仕方を身に着けているプロセスだととらえて粘り強く関われるといいですね。

ひとりで抱え込まないことも大切

駄々をこねる子どもに対応することは、とてもストレスのたまるものです。保護者のかたもずっと駄々をこねるお子さまに付き合っていくことで辛くなってしまわないよう、ひとりで抱え込まないようにしてください。例えば家族や友だち、先生などに相談する機会を設けるのはよい方法です。

また、子育て支援の相談機関を上手に利用して話を聞いてもらってもよいでしょう。保護者のかたが息抜きをする機会をつくることが大切です。保護者のかたの心に余裕があることで、子どもの気持ちを受け止め、見守ることができやすくなってきます。ひとりで悩むことがないようにしてくださいね。

プロフィール


松尾直博

主な著書『絵でよくわかる こころのなぜ』(学研プラス)『ポジティブ心理学を生かした中学校学級経営 フラーリッシュ理論をベースにして』(明治図書出版・共著)『コアカリキュラムで学ぶ教育心理学』(培風館・共著)『新時代のスクールカウンセラー入門』(時事通信社)など


博士(心理学)。公認心理師。臨床心理士。学校心理士。特別支援教育士スーパーバイザー。専門は、臨床心理学や学校心理学。幼稚園、小中学校でのスクールカウンセラーの経験多数。

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