超マイペースでだらしがない姉としっかり者の妹[教えて!親野先生]

教育評論家の親野智可等先生が、保護者からの質問にお答えします。

【質問】
2人姉妹の姉が超マイペースでだらしがないです。片付けが苦手で忘れ物も多く、宿題もお手伝いも何度も言わないとやりません。妹はその反対で、やるべきことがきちんとできるしっかり者なので、よけい気になります。

相談者・北関東ママ さん (小3 女子)

【親野先生のアドバイス】
北関東ママさん、拝読しました。

姉妹でも全然違うのですね。
同じ親から生まれ、同じ環境で育っても、兄弟姉妹で全然違うということはよくあることです。
なぜなら、本人の生まれつきの資質というものが大きいからです。

良くも悪くも、生まれつきの資質というものは圧倒的に大きく、かつ強いものであり、簡単に変えることはできません。

ですから、子どもの資質に沿った育て方をしてあげたほうがうまくいきます。
それは、つまり、良い面を伸ばしながら、困った面には思いきって目をつむることが大切だということです。

もちろん、苦手なことが少しでもやりやすくなるように合理的な工夫をしてあげることは必要です。

片付けが苦手なら、ワンタッチ収納の工夫をしたり片付けタイムを取ったりなどの工夫です。

忘れ物が多いなら、持ち物コーナーをつくる、ホワイトボードや付箋紙を活用するなどの工夫です。

そして、ぜひ、忘れ物がないか毎日見てあげてください。

宿題に取りかかりやすくするための工夫としては、帰宅したらすぐ宿題に使うものをテーブルに出して準備しておく、遊ぶ前に取り敢えず一問だけやって見通しをつけておく、などの工夫です。

やらずにいたり、やり忘れていたりなどのときには、やるように言ってあげてください。
感情的かつ否定的に叱ったりしないで、穏やかな言い方で促してあげましょう。
「同じことを何度言わせるの!」などと言わないで、毎日同じことを何度でも言ってあげてください。

(そうすれば、子どもの言葉も穏やかになって、友達にもそういう言葉遣いができるようになります)

このように、工夫をして欲しいのですが、それでも、実際はなかなか改善しないことも多いと思います。

そういうときは手伝ってあげてください。
あるいは親がやってあげてもいいです。

「手伝ったりやってあげたりしていると、いつまでも自立できない」などと言っておどす人もいますが、決してそんなことはありません。

そんなのは何の根拠もない迷信です。

こういうおどしこそが親を苦しめ、子どもを苦しめ、子育てを必要以上に大変なものにしているのです。

自己肯定感さえ育ててあげれば、いずれできるようになります。
子ども自身が「直さなければ」と本当に心から思ったとき、同時に「自分はできる」と思えれば実際にスイッチが入るのです。

反対に、子どものうちに直そうと思いすぎて叱ってばかりいると、子どもは自己肯定感が持てなくなります。

すると、「直さなければ」と思ったときも、「でも、どうせ自分には無理だ」となってしまって、いまひとつスイッチが入らないのです。

そもそも、子どもである今、生まれつきの資質を直すなどというのは無理なのです。

なぜなら、子どもは「今のうちに直さなければ」と本当には思わないからです。

「直さなければ」と本当に思うのは、もっと成長してから、あるいは大人になってからです。

例えば、何か失敗をして「こんな事では将来もっと困るぞ。今のうちに直さなければ」と思ったときです。

あるいは、本当にやりたいこと、目的、夢が見つかったとき、「これをやり遂げたい。そのためには片付けもしなくては。時間にも厳しくならなくては」と思ったときです。

いずれにしても、自分の将来や人生について、真剣に考えられるようになってからの話です。

ですから、工夫をしてもできないときは、いちいち叱っていないで、手伝ったりやってあげたりしてください。

そうすれば、子どもは感謝しますし、親の愛情も感じることができます。
すると、素直な気持ちになって「自分もやらなきゃ」と少しは思えるようになります。

もう一つお願いしたいのは、絶対に妹と比べて叱らないということです。
「お姉ちゃんのくせに」とか「どっちがお姉ちゃんかわからない」などは禁句です。

これをやってしまうと、姉は自己肯定感が持てなくなるだけでなく、妹のことが嫌いになってしまいます。

それに、短所と長所はコインの裏表でもあります。

親は「超マイペースでだらしがない」という部分を拡大鏡で見て、大問題に思ってしまうものですが、そういう子は、包容力があって優しい癒し系だったりすることが非常によくあるのです。

最後にひとつ。
このご相談の場合、姉のほうは男の子脳の度合いが高く、妹のほうは女の子の脳の度合いが高いということも言えるかも知れません。

「男の子の脳」と「女の子の脳」については、「教えて! 親野先生」の連載でも何度か触れていますので、そちらもご参考にしてください。

お姉ちゃんと違ってだらしがない弟
http://benesse.jp/kyouiku/201401/20140128-1.html

だらしがないお兄ちゃんとしっかり者の妹を比べてしまいます
http://benesse.jp/kyouiku/201010/20101026-2.html

姉と弟とで成績表の「行動のあらわれ」に差が
http://benesse.jp/kyouiku/201303/20130326-1.html

私ができる範囲で、精いっぱい提案させていただきました。
少しでもご参考になれば幸いです。
皆さんに幸多かれとお祈り申し上げます。

(筆者:親野智可等)

プロフィール

親野智可等

親野智可等

教育評論家。23年間の教員生活のなかで、親が子どもに与える影響力の大きさを痛感。その経験をメールマガジンなど、メディアで発表。全国の小学校や、幼稚園・保育園などからの講演に引っ張りだこの日々。

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