質問の仕方で子どもの将来が変わる?[やる気を引き出すコーチング]

コーチ仲間のAさんには、中学2年生、小学4年生、2年生の3人のお子さんがいます。
先日、Aさん親子とご一緒する機会がありました。私たちがお茶を飲みながら、おしゃべりをしているかたわらで、子どもたちも、仲良く楽しそうに遊んでいました。
ところが、下のお子さんたち2人が、おもちゃの取り合いか何かで、少し険悪なムードになりました。「このままけんかが始まるのかな~?どうなるのだろう?」と見守っていると、中学生の息子さんが割って入りました。この時のお兄ちゃんの対応に、私は、思わず、目を見張りました。

「質問」によって解決する

お兄ちゃんは、こう声をかけました。
「A君、どうしたいの?」
「これで遊びたい!」と真ん中のA君。
「僕もこれで遊ぶ!」と末っ子のB君。
「って、B君も言っているけど、どうする?A君」とお兄ちゃん。

もうこれだけで、私の目は3人にくぎ付けになりました。

「俺が先にやるって言ったのに、B君が取ろうとするからもうヤダ!」とイラつくA君に対して、
「じゃあ、どうしたら2人にとって一番いいかな?何か提案は?」

この言葉に、私は、「このお兄ちゃんは本当に中学生なのだろうか?」と一瞬、耳を疑ったほどです。大人でも、このようなコミュニケーションがとれる人はそうそういません。

「わかった!俺が5分やったら交代ね!その後、B君が5分やって交代。交代しながらやる!でいい?」
「うん」

A君から建設的な提案が出たところで、B君も納得したようです。これで、手が出るようなけんかは回避されました。「お兄ちゃん、お見事!」としか言いようがない光景でした。

建設的な質問を投げかける

「Aさん、すごいお子さんたちですね!いつもこうやって自分たちで解決しているのですか?どうやったら、こんな子に育つのですか?」と私が質問すると、Aさんは笑いながら答えてくれました。

「私がいつも子どもたちに質問していることを子どもたちもやっているのだと思います。何か問題が起きると、『どうしたの?』、『どうしたいの?』、『どうすればいいと思う?』と質問して、考えさせるようにするのですけど、それでも、おさまらない時は、『文句だけ言っていても変わらないから、どうしたらいいか提案しない?』って私が言うんです。そうしたら、自然と、子どもたちにも伝染していくみたいで、今もやっていましたね」

ただただ感動しました。確かにそうですよね!出てくる不平不満をはねつけたり、叱ったりしても、不平不満はなくならないし、何の解決にもつながりません。解決に向けて考えるような建設的な質問が、日常的に投げかけられると、「話し合って解決しよう!」という習慣が身につきます。

質問されると人の意識がそこに向かう

質問には、「質問されると人の意識がそこに向かう」という効果があります。「なぜ、仲良くできないの?」と質問されると、「自分は仲良くできない子なんだ」というセルフイメージが強化されてしまいます。「なぜ、言うことが聞けないの?」と質問するのは、「あなたは言うことを聞かない悪い子」と言い聞かせているようなものです。

「どうしたの?」、「どうしたいの?」、「どうすればいいと思う?」と質問していくことで、自然と、「解決策を自分で考える」方向に子どもたちの意識が向かい始めます。自分がやりたいことをやるために、相手と折衝する必要があれば、その方法も考え始めます。

将来、社会に出た時に、このような思考力とコミュニケーション力は、非常に大きな財産となります。子どもの意識が、自己否定感に向かうのか、解決志向のプロセスに向かうのかは、日頃から、どんな質問を投げかけられてきたのかに左右されると言ってもよいでしょう。あらためて、解決志向の「質問」の効果に驚かされた出来事でした。

(筆者:石川尚子)

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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