「昔のように…」 実施日数・時間の拡大を望む声アリ 夏休みのプール開放

ギラギラと照りつける太陽の下、立っているだけでダラダラと汗が流れる夏。今年の夏は猛暑ともいわれているなかで、夏休み中の子どもの健康を心配している保護者も多いのではないでしょうか。そんな時の救世主となるのが、夏休みのプール開放。暑くて家の外に出たがらない子どもも、プールとなれば喜んで行く場合がほとんどのようです。 そこで、今時の夏休みのプール開放について、伺ってみました。

約9割の子どもが楽しんでいるプール開放 「もっとやってほしい」の声

まず、夏休みに学校でプール開放が実施されるかどうかを伺ったところ、実施されると答えた保護者が7割強。3割弱は実施されませんが、その理由としては「監視員の確保ができなくなった」「保護者の当番が負担だから」など、実施に際してのサポート体制が整わないという回答が散見されます。2013(平成25)年に実施した同様のアンケート調査と比較すると、今回の15(同27)年の調査では、実施されない学校が微増となっています。

今後も、サポート体制を理由に実施が難しくなってくる学校が増えてくるのかもしれません。ただ、見方を変えれば、実施している学校の割合がそこまで変わっていないと捉えることもできます。これは地域や学校で努力や工夫をしているからなのでしょう。

では、プール開放が実施できている学校では、何日くらい開放されているのでしょうか。伺ってみたところ、「1~5日」が約3割、「6~10日」も約3割と多く、夏休み期間の長さに対して比較的少ない実施日数になっているようです。

また、1日1回あたりの時間についても伺ってみたところ、「1時間以上2時間未満」に声が集中しました。これには、「子どもが物足りなさそうだから実施日数を増やしてほしい」「1回の時間が短すぎる」という声が多く寄せられました。ちょうどよい日数・時間だという声はほとんど見られず、多くの保護者は「自分が子どものころのように、ほぼ毎日プール開放をしてほしい」という気持ちが強いようです。

プール開放の日数・時間をもっと増やしてほしいという保護者の声が多いのは、やはり子どものことを思う気持ちが強いからなのかもしれません。子どもがプール開放を楽しんでいるかどうかを伺ったところ、「とても楽しんでいた」と「まあ楽しんでいた」という回答を合わせると、実に約9割もの子どもがプール開放を楽しんでいるということがわかりました。

子どもが楽しんでいる理由としては、「友達と会えてうれしい」「暑いので水に入れるのが気持ちよい」「自由に遊べるのが楽しい」などが多く、保護者としては「泳ぐ指導をしてもらえる」「無料」「よい運動になる」などのメリットも感じているため、積極的にプール開放に参加させてあげたいと思うのは当然のことのように思えます。

プール当番は「とても大変」が約4割 やはり負担は減ってほしい!

プール開放をもっと行ってほしいと思う保護者が多いものの、保護者の負担が大きいとなれば考えもの。現状はどうなっているのでしょうか。

保護者の「プール当番」について伺ってみたところ、「ある」と答えたのは4割弱で、約6割の保護者はプール当番が「ない」ということがわかりました。意外にもプール当番をする保護者は少ないようです。当番が「ある」場合の人選は、「立候補制」「PTA委員による」「全員の持ち回り」「特定の学年の保護者が担当する」「子ども会ごと」……など、学校によってまちまちのようで、「ない」という場合は、教員・ボランティア・アルバイトなどで賄われているようです。

また、当番となっても、夏休み中に1回だけ行ったという保護者が約8割にも上り、負担はそんなに大きくないのでは……というような気にもなります。ただ、これは負担に感じる保護者が多いため、当番をなくしたり、回数を減らしたりする措置が行われた結果なのかもしれません。

プール当番に対する保護者の負担感を伺ってみたところ、今回の2015(平成27)年の調査では「とても大変」が40.3%という結果で、13(同25)年の調査の「とても大変」が30.2%だったことと比べると、負担が大きいと思う保護者が増加傾向にあることがわかります。理由として多かったのが「暑すぎる」という回答。子どもは水の中にいるのでよいのですが、保護者はひさしがないので直射日光を浴びながら立ち続けねばならず、気分が悪くなってしまうという声が聞こえてきました。

「年々平均気温が高くなっているのだから、子どもの熱中症だけでなく、保護者の健康も配慮してほしい……!」これが本音なのではないでしょうか。また、「仕事を休まなければいけない」という回答も多く、共働き世帯などでは予定の調整が難しいため、負担と感じるようです。時代の変化が見てとれます。

夏休みなのだから子どもが楽しいことをめいっぱいさせてあげたい、しかも無料で体づくりができる……ということから、もっとプール開放を行ってほしいと思う保護者。一方で、プール当番は気が重いからちょっと……と、ネガティブになってしまうこともあるようです。先生にかかる負担や、プール事故のことなども踏まえると、実施日数・時間が減少しているのも仕方ないという声も見られます。

ただ、さまざまな思いがあるなかで、プール当番になれば「元気に遊ぶ子どもたちの笑顔が見られてうれしくなる」「普段見られない、我が子の泳ぎの進度が見える」「普段交流のない保護者と話すことができる」などのメリットもあるようです。

【アンケートについて】
■調査地域:全国
■調査対象:小学生をお持ちの保護者のかた
■調査期間:2015年9月2日~2015年9日8日
■調査手法:ベネッセ 教育情報サイト オンラインアンケート
■有効回答数:290名
※百分比(%)は小数点第2位を四捨五入して表示した。四捨五入の結果、各々の項目の数値の和が100%とならない場合があります。

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