【子どもと朝食のあり方】子どもにとって朝食はなぜ大切か
「朝食」に関する議論は今もさまざまな場所で白熱しています。朝食をとるべきか、そうでなくてもいいのかということについては諸説ありますが、子どもの成長を考える場合は特に、朝食はとても重要なものです。「子どもが朝食を食べない」「発達や健康に問題がないだろうか」と心配している保護者のみなさまへ、まずはご自身がしっかりと朝食の意義を理解し、子どもに伝えることができるようにしましょう。
朝食が重要な5つの理由
1.体内に不足しているエネルギーの補給のため
朝起きた身体は、エネルギーが大変不足しています。夕食から10時間以上は経過していますし、我々は寝ている間にも少しずつエネルギーを消費しているからです。朝から身体のエンジンをかけ活動を始めるためには、当然ガソリンとなる食べ物が必要になります。もちろん、脳を使うにもエネルギーは必要です。子どもたちは午前中にもたくさん学習しますが、そのための集中力を発揮するにもエネルギーが使われます。昼食まで「エネルギーが空っぽ」のまま過ごさないためにも、朝食は必要です。
2.体内時計のリズムを整えるため
「体内時計」とは、人間の身体の中に備わっている、一日の時間の流れを司る時計のことです。朝目覚め、昼活動し、夜に向かって眠くなる…というしくみは、体内時計があるからこそ毎日正しく繰り返されます。しかし、体内時計は約25時間程度を一日としてカウントしており(個人差あり)、実際の一日である24時間と少しずれています。時差などに適応するために必要なずれなのですが、体内時計に素直に従うと、眠る時間はうしろにずれ、人はどんどん夜型になってしまうのです。しかし、朝食をとることで体内時計はうまくリセットされ、時間のずれが蓄積されないようになっていると言われています。
3.朝食をかんで食べることでセロトニンの分泌が促されるため
「セロトニン」は「幸せホルモン」とも呼ばれる精神を落ち着かせる神経伝達物質で、体内で合成されるものです。セロトニンが不足すると気分が落ち込む、眠気を及ぼす「メラトニン」が作られず不眠になるなど、毎日を元気に過ごすことができなくなります。さらに、極端にセロトニンが不足すれば、うつ病や精神障害などの発病にもつがりうるのです。セロトニンをしっかり分泌させるには、朝の光を浴びることが重要なのですが、加えて「かむ」という行為もセロトニンの分泌を促すものとして知られています。
4.体温を上昇させ、身体や脳を活動的にさせるため
どんな時間でも何かを食べると身体がぽかぽかとあたたまります。寝ているあいだ人の体温は低下しているため、体温を上昇させるためにも朝食が役立ちます。体温が低いと人はエネルギーを節約しようと自然に動きを小さくしてしまいますが、エネルギーが充満すれば身体も脳も活動的になり、登校や勉強に取り組む活力も生まれます。朝一番の「なんだかやる気が出ない」を解決してくれるのです。
5.排便のリズムがつくため
朝食をとることによって腸が刺激され、朝の排便のリズムが定着します。基本的に排便はいつあってもいいのですが、便は寝ている間にたくさん作られるため、朝が最もスムーズに排便しやすいのです。学校ではなかなかゆっくりとトイレに座れない、排便したいタイミングでトイレに行けないなどの不都合があります。朝一番でトイレを済ませておくことで、腹痛の心配もぐっと減ります。
「朝食を食べられない子」ではなく、「食べない子」になってしまったのかも
人は誰もが同じ体質ではありません。ですから、朝食を食べると逆に調子が悪くなる子がいるのも事実です。しかし、多くはいままでの生活習慣からそうなってしまっただけであり、「もともと朝食を食べられない子」ではない可能性をまず考えて欲しいと思います。体質だからと諦める前に、過去を思い出してみてください。幼稚園の頃はしっかり食べていませんでしたか? 学年が上がるにつれ、食べられなくなってしまった原因はありませんか? 食べられないのではなく「食べる時間がない」だけかも…。
朝食は毎日を元気に過ごすためにとても重要なものです。日々の体調不良も朝食抜きが原因となっている可能性もあります。子どもの日中の様子もしっかりチェックし、より元気に、健康的に過ごすためにも、少しずつ朝食の習慣を身につけ、ベストな状態で学校生活が送れるようにしましょう。