「ママ怒るよ!」「怒られるよ!」子どもを脅す叱り方がダメな理由とは?
子どもの心のコーチングについて、著書も数多く出されている菅原裕子さんに、親がよく言ってしまいがちなひと言が子どもにどんな影響を与えるのかうかがいました。「ママ怒るよ!」「怒られるよ!」と子どもを脅す叱り方が子どもに与える影響とは? どのように叱るのがよいのでしょうか。
脅す叱り方が子どもに与える影響とは
何度「ダメ!」と言っても、子どもが言うことをきいてくれないとき、「ママ怒るよ!」とか「怒られるよ!」とつい言ってしまっていまいがち。このような言葉で脅してしまうことは子どもにどんな影響を与えるのでしょうか?
脅して動かすことが癖になると、脅かさないと動かなくなる可能性があります。また、それをやり続けることで、子どもも誰かに何かをしてほしいときは、その相手を脅すようになるかもしれません。なぜならそれが、子どもが身をもって学んでいることだからです。
脅す叱り方では、子ども自身も、「よし! やってみよう!」という前向きな気持ちにはなれません。脅されて何かをする子どもは、怒られることを避けるために、イヤイヤ行動を起こします。できれば子どもの行動は、やる気、ワクワク感、おもしろそうという好奇心の延長にあるのが望ましいですよね。イヤイヤ動くことを覚えないように親も気をつけてあげたいものです。
自分をコントロールするやり方
親は自分をどのようにコントロールすればよいのでしょうか? 子どもがどうこうではなく、親自身が自己観察してみましょう。常にきちんとやらなくてはとか、早くやらなくてはと焦っていませんか? そのため、そうしてくれない子どもに、常にイライラしてしまうのです。子育ての時期は、基準を少し下げることも大事。時間や余裕を作り出す方法を考えましょう。
例えば、朝型の生活に切り替えて、子どもに邪魔されずに家事ができる時間を確保するなど。そして、夫または妻にも無言の期待ではなく、それぞれの役割分担をはっきりさせて、ひとりでがんばらないことです。他に頼れる人が居たらお願いしましょう。まずは、親の日々の生活を整えることです。
また、自分のなかにある「~べき」に気づくことです。「子どもは親の言うことを聞くべき」「おもちゃは遊び終わったら片付けるべき」と思っているので、思い通りにならない子どもに自動的、瞬間的に怒りのスイッチが入ってしまうのです。これらの「~べき」を緩めるよう訓練しましょう。
「言うことを聞いてくれるとありがたいけど、いつもそううまくはいかないね」「片付けてくれるとありがたいけど、そうしないからと言ってダメな子じゃない」という具合に、「~べき」を緩めると、自動的、瞬間的に脅すようなことは減っていきます。
それでも、子どもが言うことを聞かなくてイラッと来るときは深呼吸です。意識して深呼吸を繰り返すことです。2~3回深呼吸を繰り返すうちに、「~べき」が緩んでいきますよ。また、子どもに対して素直に「ママね、今ちょっとイライラしてる」というのもひとつのやり方です。ママのイライラがどこからきているかを冷静に話せるといいですね。
子どもを上手に諭す方法
例えば、「お菓子を買って!」「今日は買いません。おうちにあります。」「買って!」と何度言っても言うことを聞かないとき。こういったことは、事前の準備なしに、その場で対応するのは大変難しいことです。しかし、起こらないように準備をしておけば、起こったときも落ち着いて対応することができます。
まず事前の準備として、空腹の状態で買い物に行かないことです。空腹な状態で買い物に行くと、子どもは空腹を満たそうと駄々をこねます。子どもにしてみれば当然の欲求です。まずは予防です。
そして、買い物の前に、子どもと予防のための会話をしておくといいでしょう。「今夜のハンバーグのお肉とお野菜を買いに行くので、今日はお菓子は買いません。それでいいですか?」子どもも自分がいいと言ったときはそれを覚えていて、なんとか我慢しようとするものです。それでもお店で欲しいと言ったら、「今日は買いません」とはっきりと言うことです。買わないと言ったのに、うるさいからと買ってしまったら、騒げば買ってもらえると子どもが思ってしまいます。
イライラした状態で諭すのは親にとっても難しいことです。落ち着いた状態を保ちながら、静かに威厳をもってきちんと伝えれば、子どもも理解してくれるはずです。