5年生の今から始める中学準備 「自立」へ向けた4つのサポート

6年生という学年は、最高学年として小学校生活の楽しい思い出をたくさんつくってほしいと願うと同時に、その先の中学校入学後に好スタートをきるために、できることから少しずつ準備していきたい時期でもあります。
「5年生の今から取り組んでおきたい「中学準備」とは?」の記事では、お子さまが中学に入学してスムーズにスタートをきるためには「自立」できていることが大切であり、5年生の後半から「自立」していけるよう練習していくことが必要だとご紹介しました。
そこで今回は、今からできる「自立」のための実践ポイントをご紹介します。

この記事のポイント

高学年から促したい自立ポイントとは?

5年生の後半からお子さまの「自立」を促すために、どのようなことに取り組んでいけばよいでしょうか。
現役の中学校の先生がたにお伺いしたところ、以下のような声をいただきました。

≪現役中学校の先生がアドバイス!「自立」を促すアイデア≫

家庭の中で希望を語り合う

家庭の中で希望を語り合うなどしてお子さまの進路や夢などに関わり、たまには保護者のかたの経験や体験をお子さまに話してください。

何のために勉強するか、目的をもてるように

将来何になりたいかという希望を最初に提示できるお子さまは、「そのためには勉強が必要」と自ら学びに向かえます。ただ勉強させるだけで目的がなければ中学で伸び悩みます。

家族の中で役割をもたせる

家族の一員として、責任をもって取り組む役割があることは大切です。 自分のことは自分でできるよう、ある程度のことは子供に任せてほしいです。

日頃のおしゃべりで話しやすい関係性をつくって

日頃から家庭でおしゃべりを。たまにはおうちのかたからお子さまに自分の悩みを相談してみるのもよいですね。その関わりが、中学で困ったときに助けを求められる親子関係になるはずです。

社会への関心をもてる取り組みを

社会への関心を高める努力は大切です。ニュースや新聞を一緒に見たり話をしたり、図書館に一緒に行ったりしましょう。

これらの声からは、社会へ関心をもたせたり家庭でも自分の役割をもたせたりしながら、小さな社会である家庭・その先の社会の一員としての自分を自覚し、おうちのかたと対話しながらなりたい姿を描いていけるようにすることが大切だとわかります。

こうした声をふまえて、家庭で今からお子さまの「自立」を促していくためには4つのポイントを意識するとよいと、中学校の教師として長年子供たちを見てきた深町先生、三田先生は言います。では具体的にどのようなことでしょうか。

(※お二人のプロフィールは文章の最後でご紹介しています)

家庭でサポートする際に意識したいことは4つ

このように、「自立」を促す4つのサポートとは、学習に向かう姿勢だけではなく、提出物を出す習慣や期限を守る習慣、また、多様な関係性の人と向き合う姿勢など、勉強面に限らず、社会に出ていくうえでも必要になる行動姿勢についても意識したいポイントであることがわかります。

中学生と比べて比較的時間がとりやすく、まだ保護者の言うことに耳を傾けやすい今のうちから、これらのポイントを意識して、少しずつ「自立」への練習をしていきましょう。

高学年から家庭でやっていてよかったことは?

最後に、先輩保護者は、5年生後半からどのようなことに家庭で取り組んでいたでしょうか。うまくいくやり方とは、ひとつではなく、お子さまの性格やお子さまとの関係性などによりさまざまです。
そこで、お子さまが中学生になった先輩保護者が実践したアイデアをご紹介しますので、ぜひご家庭でのサポートの参考にしてください。

≪先輩保護者の「やっててよかった!」お役立ちアイデア≫

●早起き習慣はかなり役立っています。部活動で帰宅が夜8時半になって疲れていても、朝は5時半に自分で起きます。

●体操服など洗濯物を出す、自分の洗濯物をたたんでタンスにしまう、上履きを洗うなどを、自立の第一歩として任せました。

●小学生のうちに家庭学習の習慣をつけておいてよかったです。中学では宿題がとても増えたのですが、それでもなんとか取り組めたので。

●中学生になると、学校からの親への手紙を出さない子も多いそうです。うちは、小学生のうちから、「手紙は親に渡す」というクセをつけておいてよかったです。

●週末に、親子で算数の勉強をしました。算数がしっかり理解できていたので、中学の数学でとまどうことがなかったようです。

●小学生のうちからファイルを買い与えてプリント類を整理させていました。中学では毎日プリントがたくさん配られるので、その経験が役立っています。

●習った学習内容で、わからない部分をなくしておきました。そのおかげで、入学後は中学の勉強に集中できました。

●子供の興味の幅を広げられたらと、屋外での活動やイベントに参加する機会をつくりました。

まとめ & 実践 TIPS

いかがでしたでしょうか。6年生、そしてその先スムーズに中学校生活をスタートさせるためには、ここでご紹介したアイデアを参考にしながら、お子さまが「自立」していけるような取り組みを今から無理なく、着実に行っていくことが大切です。
5年生・6年生は学校でも上級生としてリーダー的役割を任されることで、しっかりがんばってみようと「自立」を促しやすい時期。上手にやる気の波に乗せて、中学に向けて「自立」を促していけるよう、できることから取り組んでいきましょう。

プロフィール

深町芳弘(ふかまち よしひろ)先生

ベネッセ教育総合研究所顧問。東京都公立中学校教諭、東京都区教育委員会指導主事および指導室長、東京都公立中学校校長等を歴任。

プロフィール

三田哲也(みた てつや)先生

元豊島区立千川中学校教諭。約35年間、多くの中学生と関わりながら、一人ひとりに合わせた指導を行ってきたベテラン教諭。

イラスト/てづか あけみ