「アンガーマネジメント」で行う 反抗期コミュニケーション術

お子さまの言葉や態度に、イラッとしがちな反抗期。つられて怒るのではなく、伝えたいことをきちんと伝えていくためには、「怒り」をうまくコントロールすることが大切です。そこでおすすめしたいのが「アンガーマネジメント」。自分の怒りと上手に向き合うテクニックです。
今回は、「アンガーマネジメント」をベースにした、反抗期にありがちなケース別コミュニケーション術をご紹介します。先輩保護者の体験談も参考にしてみてくださいね。

※「アンガーマネジメント」の詳しい手法は「『反抗期』に備えて始める オトナの『アンガーマネジメント』」をご覧ください。

反抗期にありがちなケース別
「アンガーマネジメント」流コミュニケーション術

ケース1.乱暴な言葉づかいで反抗されたとき
⇒「あなたは」ではなく、「私は」で気持ちを伝える

 「なんであなたはそんなことを言うの?」と言うと、相手は責められた気持ちになります。「そんなふうに言われると、私は悲しいわ」など、自分が感じたことを具体的な言葉にして表現してみましょう。また、「なんで?」は相手を責める表現なので、禁句にしたほうがよいかもしれません。

使ったアンガーマネジメント式テクニックは...「Iメッセージで伝えたい気持ちを言葉にする」

  相手を追い詰めるのではなく、ただ自分の気持ちを事実として伝えているため、お互いにヒートアップすることなく、話し合うことができます。

ケース2.無視・そっけなくされたとき
⇒成長の証ととらえて、大人の対応を

 「別に」とそっけなく答えたり、話を避けたり、親と一緒に行動するのを嫌がるのは、反抗期にありがちな態度です。そんなときは質問をイエスかノーで答えられるものにするなど、相手が「カチン」とならない工夫をするのがおすすめです。これも成長の証ととらえることで、冷静な対応を心がけていきましょう。

使ったアンガーマネジメント式テクニックは...自分の「~すべき」が当たり前だと思わない

 「~すべき」の基準は人それぞれ違います。自分の「べき」がその通りにならないと怒りが生まれます。また、それを当たり前だと押しつけると子供も反発する気持ちをもつでしょう。「親にはなんでも話すべき」とは子供が思っていないことも。そう意識するだけで冷静になれる場合もあります。

ケース3.暴力をふるう・物を壊すなどしたとき
⇒「暴力はいけない」ときちんと伝えて

 物や人にやつあたりするのは反抗期にありがちな行動なので、多少は大目に見てもいいかもしれませんが、人への暴力や物を壊すなどは「してはいけない行動」です。そのことを毅然とした態度で伝えましょう。

使ったアンガーマネジメント式テクニックは...「怒り」の境界線をはっきりさせる

  「物をこわす、人に暴力をふるうのはいけないことだから怒るよ」と、あらかじめ「怒ること」と「怒らないこと」の境界線を伝えておくのがおすすめです。境界線を伝えておくと、子供はなぜ怒られたのかも納得がいき、親も伝えやすくなります。

 反抗期は自立に向かうひとつの過程に過ぎません。自分の怒りを正しくコントロールする「アンガーマネジメント」を使って、お子さまの自立を上手にサポートしていきましょう。

【番外編】
イラッときたら、こんなコミュニケーションで解消しました!
先輩保護者のサクセス体験談

 同じような体験をした先輩保護者の声の中から、「反抗期でも上手にコミュニケーションがとれた」というサクセス体験談をご紹介します。

気持ちがおさまった頃に話しかけた

  娘が反抗的な態度のときは席を外し、落ち着いた頃を見計らって部屋にドリンクなどを届けると、たいてい打ち解けられます。そうでなくても翌朝にはスムーズな関係に戻っています。
(宮崎県 ITOUTYO)

その場を離れて怒りをクールダウンした

 イライラして反抗的な態度をとられたりしたときは、その場を離れるのがいいですね。でないと、本気でこちらも怒ってしまうので。
(埼玉県 こたろう)

カチンときてもさらりと流した

 口で負けたくないようで、すごく言い返してくるうちの子。私もついカチンときてしまいますが、言い返しても収拾がつかなくなるだけなので、なるべく言い返さずさらりと流すようにしています。
(埼玉県 ケイティ)

言いたいだけ言って仲直りした

 こちらが嫌味を言ったり、少し強い口調になったりしたときは、当然のように反抗されます。そんな子供の態度を見たら、自分が反省するように心がけています。
(神奈川県 toko)

こちらが悪いときには素直に反省した

 言い合いになることが多いのですが、適当に流すのも嫌なので、言いたいことを言い合います。ただし、そのあとにお互いに謝るのがルールです。そうすればまた、何事もなかったように話せます。
(神奈川県 ぺてらるまむ)

落ち着いた状態で注意するようにした

 無反応な態度をどなりつけたこともありましたが、余計に話を聞かなくなるだけなので、最近は時間をおいて平静を取り戻してから再度注意することに。2回に1回は聞くようになりました。
(奈良県 まいぺーすママ)

心配な気持ちを抑えて見守った

 心配のあまり口出ししすぎて、子供が答えてくれなくなった時期があったので、しばらく干渉しないよう心がけてみました。すると、自分から相談してきたり、話をしてくるように。それ以来、本当に大事なことについてはきちんと言うけれど、それ以外は見守るようにしています。
(北海道 イブひな)

気持ちを自分の言葉で伝えた

 ほとぼりがさめてから、顔は合わせないようにして、「お母さん、無視されて悲しかったな」「さっきの言葉傷ついたな」などといじけてみせると、「ごめんね」と言ってくれます。私もヒートアップしすぎたときは、「さっきはきついこと言ってごめんね。嫌いじゃないからね」と謝るようにしています。
(愛知県 ぷちぷち)

まとめ & 実践 TIPS

 イライラしたり、悲しくなったり、反抗期には大人も気持ちが揺れ動くもの。お子さまの反抗期を正しく知り、自分自身の怒りを知ることで、気持ちを上手にコントロールして乗りきっていきましょう。

プロフィール

イラスト/今井久恵