自立に向けて変化が大きい4年生。 子育ての「困った!」に専門家がアドバイス!
自立に向けて、さまざまな変化が始まる4年生。おうちのかたがとまどう場面もしばしばあるかもしれませんね。
先輩保護者の「これまでとは違う子供の変化に困った!」というエピソードについて、専門家の浅川先生が具体的なアドバイスを行います。毎日の子育てのヒントにしてみてください。
「4年生になって困った!」エピソード ~考え方や行動編~
【困った!】
わが家では友達とのオンラインゲームの時間を「45分」と決めているのですが、友達はもっと長時間OKの家庭が多く、よく子供と口論になります。「よそはよそ、うちはうち!」と話し、今のところはなんとか守ってくれていますが、今後乗りきっていけるかどうか不安です。(神奈川県 よもみん)
【浅川先生のアドバイス】
わが家のきまりをつくり、しっかり守ることが大切です。「45分」と約束していることはとても良いと思います。ただ、口論になるようでしたら、きまりを見直すことも視野に入れてはいかがでしょうか? 「何分に増やしたいのか」「その理由は何か」「メリットとデメリットをちゃんと想像できるか」を、お子さまと一緒に話し合ってみてはどうでしょう。
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【困った!】
自我が強くなったのか、「チャレンジ」の取り組み状況を確認しようとすると、「まるつけまで自分でしたから確認しなくていい!」と言い、親が見るのを嫌がることが増えました。ある程度は確認したいのですが、干渉を嫌がる子供に、どのように声かけをしたらよいのか、困っています。(新潟県 Rちゃんママ)
【浅川先生のアドバイス】
過去には、「子供が寝たあとにこっそり親がまるつけの確認をしたこと」が原因で、すっかり勉強嫌いになってしまったケースもあります。自我の成長は自己主張と失敗の連続の中で徐々に育まれます。ですから、ここは、手出しをぐっと我慢して、数か月、様子を見てはいかがでしょうか。失敗が続いたら「ほら、やっぱり!」などと責めるのではなく「どうしてかな?」と理由を一緒に考えるのがコツです。
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【困った!】
秘密が増え、「自分にとって都合の良い情報」だけを伝えてくることが増えました。子供の話すことだけをうのみにせず、担任の先生やご近所のお母さんから情報を教えてもらうようにしています。子供の前では、「お母さんは全面的にあなたを信じている! 味方だよ!」というオーラを出し続けるようにしているのですが……。(京都府 なおきちび)
【浅川先生のアドバイス】
秘密にしたいことが出てくるのは、この時期の特徴。心配はいりません。ただ、都合の良いことばかりおうちのかたに言う子供の中には「親の心配する顔を見たくない」「親に叱られたくない」と顔色をうかがっているケースもあります。「良いことも悪いことも、ひっくるめてあなたが大事」というメッセージを伝えたいものですね。「失敗や過ちがあるから、人は大きくなれるんだ」「都合の悪いことこそ、お宝」くらいの気持ちで、子育てしたい時期です。
「4年生になって困った!」エピソード ~友達関係編~
【困った!】
友達関係が変わり、近所の子よりも、気の合う子と遊ぶようになって行動範囲も広がりました。親の見えない所でけがやトラブルに巻き込まれないか心配で、毎日遊びに行く前に、どこへ誰と行くのかを確認し、夕食時に、どんなことがあったのかを聞いています。(神奈川県 MY-2)
【浅川先生のアドバイス】
気の合う友達がいるということは実にすてきなこと。でも行動範囲が広がって心配も増えますね。1つのアイデアですが、地域の地図をリビングなどに貼って、自宅や友達の家を書き込んでおき、「今日はどこに行くのか?」をシールや画びょうなどで示してから出かけてもらう、というやり方があります。遊び感覚で取り組めるうえに、帰ってきてから夕食時の話題にもしやすいですし、通った道を説明してもらうのにも便利です。あらかじめ、危険箇所や避難場所などを確認することにも使えます。
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【困った!】
友達と子供だけで映画に行きたいと言い出しました。自立はさせたいけれど、子供だけでは心配なので困りました。しかたがないので、保護者は子供たちから離れた席で映画を鑑賞し、チケットや飲み物の購入、入場などは、全て子供たちにやらせることにしました。(富山県 あさがお)
【浅川先生のアドバイス】
まずは「小学生はまだ『子供』なのだから、映画館などの娯楽施設には『大人(保護者)』と入るべき」という社会常識をしっかりと教える必要があります。そのため「まだ子供だけではダメ」ということはきぜんと伝えましょう。ただし、子供たちの安全を見守りながら、館内ではある程度自由を認めるのは、芽生え始めた自立心を育てるうえでも良い経験になるので、今回の対応は上手なやり方だったと思います。
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【困った!】
友達の意見にすぐ左右されて、自分の意見がブレてしまうようです。アドバイスをしてみたものの、その後、特に変わった様子もなく、どのようにサポートすればよいのかわかりません。(広島県 よが)
【浅川先生のアドバイス】
4年生になったとはいえ、客観的に物事を見たり考えたりする力はまだ発達途上です。友達の意見に左右されるのはこの時期なら当然のことと、まずはおおらかにとらえましょう。意見を同じくすることで、友達と仲間意識を保ちたい場合もあります。「変わった様子もない」ならば、「自分の意見もちゃんと大切にするんだよ」とアドバイスしつつ、静観するのもありです。
「4年生になって困った!」エピソード ~家族関係編~
【困った!】
「話がしたい!」と言ってくれる息子と一緒にお風呂に入っていたのですが、私に対しては体を隠すようになってきました。徐々に頻度を減らし始めたのですが、まだまだ「一緒に入りたい!」と言ってきます。どうやったら傷つけず、かつ息子に恥ずかしい思いもさせずに「お風呂は別々にしよう」と伝えられるか、悩んでいます。(東京都 ひなさん)
【浅川先生のアドバイス】
そろそろお母さんと息子さんが一緒にお風呂に入るのは卒業して、「お話は居間でする」時期ですね。一人で入るのを寂しがるようなら、「4年生は一人でできることが増える、すごいとき。やってみよう!」と励ますと、自信にもつながります。発達段階的には同性どうしの話も必要になってくる時期なので、状況に応じて「お風呂は兄弟やお父さんと」にシフトするのもよいかもしれません。
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【困った!】
親の言うことより、先生の言うことのほうを信頼していると感じることが増えました。例えば勉強も、親が教える解き方が少しでも先生のやり方と違うと不信感をあらわにします。「これもまちがいじゃないから、両方覚えておいていいんだよ」と言ってもなかなか納得してくれません。(東京都 ミツイ)
【浅川先生のアドバイス】
先生を信頼して、しっかり学校で学んでいるのですから、ここは喜んでおうちのかたが少しずつ手をひくチャンスかもしれません。おうちのかたのやり方に反発する思春期前期に突入したと思えば、それは心が成長している証拠なのですから、心配する必要はありません。「お母さん、お父さんの時代はこういうふうに教わったものだけど、新しい時代だね。しっかり先生の言うことを聞いて覚えてきて、お母さんたちにも教えてね」と言ってみるのはいかがでしょうか。
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【困った!】
娘のパパに対する態度が冷たくなりました。話しかけられても返事をしなかったり、無愛想だったり。どうしてそういう態度をとるのか、理由もハッキリとは答えてくれません。そこでとにかく私が娘の前でパパと楽しそうにおしゃべりをして、娘も加わりたくなるような雰囲気づくりを心がけています。(静岡県 さらり)
【浅川先生のアドバイス】
理由ははっきり説明できないけれど、この頃から父親がうっとうしくなる子供は確かにいます。異性への興味・関心の裏返しかもしれません。お父さんには気の毒ですが、あまり気にせず「そんな時期もあるさ」くらいの気持ちで過ごしましょう。お母さんは無理せず、普段どおり接していけばよいと思います。いつかきっとお父さん拒否は解消するものですから。
まとめ & 実践 TIPS
変化の大きい4年生は、子育てでもいろいろな悩みが出てくる時期です。今回お伝えしたのはあくまでアドバイスの一例ですが、何かのヒントになったら幸いです。
正解のない子育てに、ときにはどうしたらよいのかわからなくなることもあるかもしれませんが、「おうちのかたもお子さまと一緒に成長する」くらいの心構えで、肩の力を抜きながら、周りを頼りながらお子さまの自立のサポートをしてあげてください。
また、「保護者通信4年生 春号」では、浅川先生監修の「4年生からは『目をかける』子育て」をご紹介しています。こちらもぜひあわせてお読みください。