5 ジェンダー平等を実現しよう 5 ジェンダー平等を実現しよう 8 働きがいも経済成長も 8 働きがいも経済成長も 10 人や国の不平等をなくそう 10 人や国の不平等をなくそう

働き方改革の目的と
その取り組みとは?
SDGs(持続可能な開発目標)
を実現する
社会へと
変わる一歩に

2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の17ある目標のうちの一つに、「働きがいも経済成長も」という目標があります。この目標では労働と雇用に関する世界のさまざまな課題が示されていますが、日本における取り組みで最も注目されているのが「働き方改革」です。働き方改革とは何のために、どのように推進されているのでしょうか。持続可能な社会を実現するために欠かせない、働き方改革について詳しくご紹介します。

働き方改革で、
SDGs
(持続可能な開発目標)を
推進する社会へ変わる

■持続可能な開発に、なぜ働き方改革が必要か

世界には開発途上国を中心に、そもそも働き口がなかったり、不当に安い賃金で重労働をさせられたりする人がまだ大勢います。

世界中のすべての人が安定した暮らしを送ることができるようにするためには、産業を発展させて雇用を増やし、意欲的に働くことができるように労働環境を整える必要があります。安定して働くことができれば生産性も上がり、産業の発展にもつながるため、SDGsが目指す持続可能な開発を実現するためには、雇用と労働の課題の解決が欠かせません。

一方で、先進国にも雇用と労働に関するさまざまな問題が残っています。日本では、男女の所得の格差や長時間労働、正規・非正規雇用の待遇の差などが問題視されてきました。また、働き手となる年齢にあたる人の人口が減っていることや、労働生産性を示す数値が低下していること、多様な働き方へのニーズが高まっていることなどが課題となっていて、労働に関する法律の整備と企業の取り組みが必要とされています。

日本の労働環境を大きく見直すため、政府主導で始められたのが「働き方改革」です。

■背景には人材不足や労働生産性の低さがある

「働き方改革」が行われることになった背景には、近年の日本社会の変化による働き手となる年齢にあたる人の人口減少が進んでいて、人材不足が深刻になっていることが挙げられます。

少子高齢化により日本の人口は減り続けています。同じように、生産年齢人口も減り続けているのです。生産年齢人口とは、働き手になる年齢にあたる15歳~64歳の人の人口を指します。2010年の生産年齢人口は約8,000万人でしたが、2050年には約5,000万人まで減ると予測されています。

現在の企業の雇用形態では、育児や介護のために離職せざるを得ない人も多く、人材を確保するために多様な働き方ができる雇用が求められています。また、世界的に見ても、日本の長時間就労者の割合が多いことも大きな問題になっています。長時間労働によって心身の健康を損なうだけでなく、過労死に至る例も後を絶ちません。

さらに、日本の労働生産性の低さも改善が必要です。労働生産性とは労働者1人あたり、あるいは1時間あたりに生み出す成果を示した指標です。労働生産性が高いほど、国の経済成長率によい影響があるとされています。日本の労働生産性は2000年以降、主要先進7ヵ国中最も低い水準のまま推移しています。働き手となる年齢にあたる世代の人口が減り続けている中、いかに労働生産性を上げていくかということも、これからの日本の経済の大きな課題となっています。

2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、日本人と企業が「働き方」を再度見直すきっかけにもなっています。その一例が、感染防止のため広がったテレワークという新しい働き方です。今までは毎日、決まった時間に出社して会社で仕事をするのが当たり前でしたが、パソコンなどのデジタル機器とインターネットを使うことで、在宅での仕事が可能になったのがテレワークです。
コロナショックと呼ばれる状況の中、広まりを見せているテレワークという新しい働き方は、地球温暖化によって今までにない災害が頻発している状況の対応にも役立つと注目されています。災害によって電車などの通勤手段が使えなくなったときでも、テレワークができる環境が整っていれば、出社しなくても仕事ができますね。さらに、現在、多くの会社が都市部に集中していますが、テレワークを拡大することで通勤の負担を減らすことも期待できます。こうした状況の中、テレワークをはじめとした柔軟な働き方にシフトする企業も増えています。この流れは、今後もますます広まっていくと考えられています。

働き方改革とは?
その目的や具体的な
取り組みについて

働き方改革とは? その目的や具体的な取り組みについて 働き方改革とは? その目的や具体的な取り組みについて

これまでの日本の社会の雇用では、子育てや介護と仕事との両立には難しさがありましたし、定年を迎えれば仕事を辞める人がほとんどでした。

「働き方改革」の大きな目的は、子育てをしながら働きたい人、介護と仕事を両立したい人、定年を迎えても働きたいシニア世代といった、それぞれの事情に合わせて、多様で柔軟な働き方を選べるようにすることです。

そのため、時短勤務やフレックス制で勤務時間を選べるようにしたり、パソコンやインターネットを使って在宅でも働けるテレワークを選べるようにしたりする取り組みが進められています。

また、さらなる女性の登用の促進や、シニア世代や障害者の雇用促進のための法律の整備が進められ、企業の取り組みも広がっています。社員の兼業・副業を認める制度や、高度な専門知識があり一定以上の収入を得ている人を労働時間ではなく成果で評価する高度プロフェッショナル制度なども、働き方関連法で注目されているポイントです。

働き手の人口が減少する中、これまで以上に生産性を向上させることが求められています。そのため、より柔軟な働き方を充実させていくことが必要です。さらに、業務の効率を見直すことはもちろん、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)をはじめとする新しい技術を仕事の効率化に活用することも期待されています。

大企業だけでなく国内雇用の7割を占める中小企業も、働き方改革への積極的な取り組みが求められています。働き方改革を着実に行うことで、「魅力的な職場づくり」につながります。年齢や性別を問わず「働きたい」と思える職場になれば、人材の確保に役立ちます。意欲的に働く従業員が増えれば、業績が上がり収入増につながるというサイクルを生み出すことができるため、働き手と企業の双方にメリットがある取り組みとなります。

こうした働き方改革の考え方は、内閣が進めている「一億総活躍社会」のプランにも通じるものです。一億とは日本の総人口のことですね。このプランでは「女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる」社会を実現するとしています。子育て支援や介護に関する社会保障を強化することで、少子高齢化にも歯止めをかけるとしていることも、このプランの特徴です。

日本中のすべての人がいきいきと働く機会を得るために、今、働き方改革が必要とされているのです。

働き方改革を推進する
政府の動きと
中小企業の取り組み

働き方改革を推進する政府の動きと中小企業の取り組み 働き方改革を推進する政府の動きと中小企業の取り組み

働き方改革を進めるために、政府主導で労働と雇用に関する複数の法律の整備が進められています。これを、働き方改革関連法と言います。

働き方改革に関連する法案のもととなる「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、2015年4月に国会に提出され、議論が重ねられて、2018年6月に働き方改革関連法が成立しました。労働基準法、労働契約法などの8つの法律が対象となっていて、2019年4月から順次施行されています。

働き方改革関連法には、「長時間労働の是正」「正規、非正規の格差の是正」「柔軟な働き方の実現」の3つのポイントがあります。

この3つの柱にもとづいて、時間外労働の上限が設けられたり、有給休暇の確実な取得が企業に義務付けられたり、正社員と非正規社員の間に給与などの待遇に不合理な差を設けることが禁止されたりといったことが、法律によって定められることになりました。フレックスタイム制を拡充するなど、柔軟な働き方を促進するための法整備にも力が入れられています。

また、中小企業の間でも働き方改革に積極的に取り組めるよう、業務改善助成金、時間外労働等改善助成金などの助成金も設けられています。2016年からは厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象が広がっており、今後もより多くの人が手厚い保障を受けられることが期待されています。

働き方改革のもとになっている考え方は、SDGsが強調している「誰一人取り残さない」というテーマにもつながります。世界中の人が豊かに暮らし続けることができる持続可能な社会は、すべての人がいきいきと働くことができる社会があってこそ、実現できるのではないでしょうか。

学生の方々は、今から働き方と言われてもイメージしにくいかもしれません。しかし、みなさんは将来の日本を支えていく人材でもあるため、働き方について今から考えることは有意義なことです。

今、大学生の就職活動においてインターンシップをするのが当たり前になりつつあります。インターンシップとは、学生が一定期間、実際の職場で働く体験をする制度のことです。大学進学を考えている高校生が、インターンシップに参加する例も出てきています。インターンシップは働く現場の感覚を直に感じられる貴重な経験になります。中学生でも授業の一環として職業体験をする機会が増えています。このような体験を通して、中高生のうちから働き方について考えることは、自分自身の人生においても有意義なことになるはずです。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

[参照元]

労働生産性の国際比較2019 | 調査研究・提言活動 | 公益財団法人日本生産性本部

https://www.jpc-net.jp/research/detail/002731.html

労働生産性の国際推移| 公益財団法人日本生産性本部

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/R2attached3.pdf

一億総活躍社会の実現|首相官邸

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/index.html

働き方改革. ~一億総活躍社会の実現に向けて~|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf

助成金のご案内 | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/subsidy.html

平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)| 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/2810tekiyoukakudai.html