今週の特集
小・中・高校で進むデジタル学習。親世代には馴染みのない学習方法ですが、実は、サポート次第で子どもが自分で学ぶ力を伸ばし、やる気もぐんとアップする学び方なのです。「うちの子どこまでついていけているか心配」「デジタルが苦手で正直ハードルが高い……」というかたも必読の、成功の法則をお届けします!
苦手を見つけやすい&計画的に取り組める
これまでのテストの点や課題の進み具合などをデータとしてまとめて見られるから、子どもが自分で苦手な単元や遅れに気づきやすくなります。
書き直しなどの小さなストレスを軽減する
タブレットの文字の書き直しは消しゴムで消すよりずっと楽。作文の下書きや試しの計算などが気軽にできるのでモチベーションがキープしやすくなります。
動画やサンプルでイメージしやすい
興味をもちやすく、理解しやすい動画の解説、評価の高いレポートやまとめ方のサンプルが学びをサポート。取り組みのハードルが下がります。
大人になっても使えるデジタル対応力がつく
知りたいことをどんどん深掘りしていけるから、主体的な学び方や解決方法が身につきます。検索力や情報処理能力も自然に高まります。
自分で考えることをサボってしまうかも
感想文や参考問題など、丸写しをしても一見できたように見えてしまう危険が。情報を学習を進めるための材料のひとつとして扱えるかが重要です。
時間を忘れて使ってしまう
学習や興味を深める使い方だとしても、長時間の使用は心配。切り替える力も大切なので、適切な使用時間や使い方を話し合う必要があるでしょう。
落とさず、濡らさず、
忘れず充電!
タブレットなどの正しい取り扱いを習慣にすることで、スムーズに学習が始められます。乱暴に扱ったり濡らしたりしないこと、忘れずに充電して持っていくことなど、子どもは意外と意識していないので家庭で声をかけて。
また、宿題や課題の進め方、提出方法などを保護者も把握して、子どもが困っていたらサポートを。年齢が上がると干渉されるのを嫌がることもあるので、「どんなことをやっているの?」「興味があるから教えて?」と、会話のきっかけとしてたずねてみて。
興味が広がる、深まる、
学びのきかっけに
インターネットの利点を活かすなら、子ども自身が得意なことや興味をもったことで積極的に活用を。関心が向いたタイミングで学ぶことで、子どもの世界はどんどん広がり、「わかることが嬉しい」「学ぶことが楽しい」という学習の根底に必要な気持ちを育てます。
その日の勉強の最後に15分だけ好きな問題を解いたり、調べたりする時間をつくるような工夫もいいですね。インターネットを利用すれば、散歩の途中に目にしたものをスマートフォンの図鑑アプリや画像検索サービスなどでその場で調べるといったことも手軽にできます。
データを使って
本物の学びの力をつける
塾がしてくれるような苦手のチェックや学習のスケジューリングは、本来は自分でできるようになるのが理想。デジタル学習は、課題の評価やテスト結果などをまとまったデータで見られるので、うまく使えば、取り組む課題の設定→実行→達成度のチェック→次の課題設定と、子どもが自分で学習を進めていけるように。
動画やオンライン教材も、授業の確認や学年をさかのぼった復習が可能で、相性のよいものが見つかれば自分で必要なものを選んで学んでいけるようになります。保護者の方も一緒によいものを探したり、内容を確認したりしながら子ども自身に計画的に学習する経験を積ませ、本物の学びの力を育てていきましょう。
デジタル学習も取り入れながら自分に合った学習スタイルができていれば、ふだんの学習やテスト対策は塾へ行かなくても対応できる子が多いでしょう。ただし、対面で指導してもらう方が理解しやすい子もいます。また、受験にはさらに細かいスケジュール管理や情報収集、受験対策用の勉強が必要です。子どものタイプ、意欲、家庭の状況など、さまざまな要素が影響するので、塾を併用する方がよい場合もあります。ご家庭ごとに、じっくり検討してください。
これからの社会で
必要なスキルと直結
「GIGAスクール構想」で、生徒1人1台の学習用端末や通信ネットワークの整備は全国の小・中・高等学校でほぼ完了しています。一方で、学校ごとの活用状況には差があり、先生の研修や支援員の増員などが課題になっています。
2024年度からのデジタル教科書の導入などで、学校でのデジタル学習はこれからますます進みそう。さらに子どもたちが社会に出るころには、今よりもデジタルスキルやAIを活用する力などが求められるようになっているでしょう。
- ※GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「すべての児童・生徒にグローバルで革新的な扉を」という意味。2021年度に本格的にスタート。
家庭での理解とサポートが
子どもの学びを支える
デジタル化が進む中で、学校の授業でもパソコンやタブレットは必要不可欠な存在になっています。もし、保護者がデジタルに不慣れなために遠ざけてしまうと、子どもの学習効率が低下する恐れがあります。保護者自身がデジタル学習のメリットを理解しておくことが大切です。
デジタル学習では特に、使い方がわからないときに「すぐに人に聞ける力」が必要です。新しいことに挑戦するのは不安ですから、安心して質問できる関係をつくっておきましょう。大人でもわからないことはありますが、そのとき調べたり、別の誰かにたずねたりして一緒に解決し、慣れていく姿勢を見せることも子どもには良い影響があるはずです。
アナログな学習が
不要になるわけではない
デジタル学習が進んでも、実体験は重要ですし、図鑑や本、辞書などにも、作り込まれた情報や新しい知識に出合えるよさがあります。また、学習計画や達成度は紙で見た方が把握しやすい子や、達成感を感じやすい子もいます。紙の方が家族も進み具合を気にかけてほめたり励ましたりしやすいですね。学びのためのいろいろな選択肢を知り、デジタルもアナログもうまく使えるように、サポートしていけるといいですね。
誘惑の多いインターネット。使いすぎや間違った使い方を防ぐには?
年齢に応じたフィルターをかけ、使う時間や場所も決めておきましょう
例えば学習用の端末とプライベートで使うものを分けておくなどは良い方法でしょう。また、学習でも休憩を入れる、趣味の動画なら試聴時間も決める、自室にスマートフォンやタブレットを持ち込まないといったルールも考えて。一方的に押し付けるのではなく、なぜルールが必要なのかを言葉で伝え、子どもの意見を聞きながら話し合ってみてください。
嘘を広めてしまったり大きなトラブルに巻き込まれたりしそうで心配……
ふだんの会話の中で情報の選び方、使い方を考えさせて
インターネットの情報の中には嘘や人を傷つける情報もあり、それを自分の作文にそのまま使ったり、誰かに伝えたりすることには大きなリスクがともないます。ニュースでSNSや個人情報、著作権などの問題が取り上げられていたら、「どう思う?」と語りかけ、話題にして一緒に考えていくといいですね。
これからの社会で求められることを考えれば、学校教育の中でデジタル端末に慣れたりインターネットの情報にふれたりしていくのは良い経験です。デジタル学習はまだ過渡期なので、デジタルが苦手なかたも、身近なかたも、お子さまの学校の状況に注目して、一緒に学びを進めていけるといいですね!