どうなっているの? 5年生の「英語」 ~家庭での英語学習サポートのポイント~

2020年度から、5・6年生では英語も成績評価がつく「教科」となりました。小学校では、英語を「使える力」を育むために、「話す」「聞く」を中心とした授業※が行われています。おうちのかたとしては、わが子が楽しみながら授業に向かえるようサポートしていきたいところですよね。その際におさえておくとよい、英語学習のポイントや家庭でできる工夫についてお伝えします。
※小学校での英語の授業については「どうなっているの? 5年生の『英語』 ~親世代とは大きく違う 今の英語の授業~」でご紹介しています。合わせてご覧ください。

英語を「使える力」、どう伸ばす? 英語学習のギモン・ゴカイ解消Q&A

英語を「使える力」を育む、小学校での英語。家庭ではどのようにサポートしていけばいいのでしょうか? 学び方の異なる親世代にありがちなギモンやゴカイを、Q&Aで解消していきましょう。先輩ファミリーからのアドバイスも合わせてご紹介します。

Q1 英語を「使える力」はどうすれば身につきますか?
A1 英語をたくさん聞いて、「耳からインプット」を。
まずは英語をたくさん聞くことで、英語を「耳からインプット」していきましょう。英語でいろいろな場面の話をたくさん聞いて、同じ単語や文に何度もふれていると、「この英語はこんなときに使える」などということに気づきます。この気づきは、「実際に使ってみる」という「アウトプット」につながります。このように「インプット」と「アウトプット」を何度も往復するなかで、英語を「使える力」が自然に身についていきます。

先輩ファミリーのアドバイス

  • 映画でも歌でもよいので、英語が耳から入ってくる環境をつくるとよいですよ。「英語=わからない」という固定観念をもつこともなくなるようです。 (神奈川県 もこ)
  • 日頃から外国の文化に興味をもたせるようハリウッド映画のDVDをみたり、洋楽を聴かせたりしていました。外国のアニメやドラマのDVDや配信動画の副音声を流したりもしています。 (徳島県 ゆうだ)

Q2 英単語や熟語は、やっぱり暗記が必要ですよね?
A2 覚えることより、実際に使うことで自然に身につけることを心がけていきましょう。
ただやみくもに暗記するだけでは「知っていても使えない」ということになりかねません。例えば、買い物のときに「この食べ物の名前は?」と考えるなど、身近な場面の中で、表現とセットでくり返し単語にふれることで、自然に身につけていくのがおすすめです。単語を身につけると、自分の言いたいことを相手に伝えられるようになります。それが実感できれば、「単語をもっと覚えたい」という意欲も育まれていきますよ。

先輩ファミリーのアドバイス

  • 暮らしのなかで、英語は思ったより身近にあります。身のまわりのものを遊びで英語で言ってみたり、わからないものは親も一緒に調べてみたりして、堅苦しくなく単語や熟語に接していくのがいいかなぁと思います。 (大阪府 ななまるこ)
  • 毎日少しずつ、単語だけでも聞いたりするとよいと思います。<Challenge English>は、少しずつコツコツと取り組めるので、本当にピッタリでした。 (三重県 まりも)

Q3 英会話教室に行かせたほうがよいのでしょうか?
A3 焦って通わせなくても大丈夫。大切なのは、「英語を話したい!」気持ちを育むことです。
どこで学ぶにせよ、大切なのは、指導するうえで「英語を使いたい」と思わせる場面づくりがきちんと考えられているかどうかです。最近では、テレビやビデオ、インターネットなどで、ご家庭でも英語にふれる機会をつくることができるようになりました。英会話教室にこだわることなく、お子さまに合った学習法を一緒に考えてみることをおすすめします。

先輩ファミリーのアドバイス

  • 英会話教室でなくても、英語にふれる機会をつくると自分から興味をもつようです。うちでは、テレビの英語番組を見せたり、英語の本についていたDVDを流したりしているうちに、「英語を使いたい」という意欲がわいた様子です。 (神奈川県 S・S)
  • 発音と耳を鍛えるためにも、ネイティブから英語のシャワーを浴びるのは大事。といっても、高価な英語教材を与えたり、英語スクールに通ったりしなくても、「チャレンジ」の教材などで、いつでも手軽に英語に親しむことができます。 (東京都 なべっち)

Q4 これからの英語学習に大事なポイントは何ですか?
A4 「正しく」を意識しすぎないで。まちがえても、なんとか会話をつなげようとする前向きな姿勢が大事です。
英語学習では、「全部聞き取ろう」「正しい文法で話そう」とかまえるより、聞き取れた部分から話の内容を推測しようとしたり、相手からの質問に単語ひとつやジェスチャーででも反応しようとする姿勢がとても大切です。このように英語でコミュニケーションしようとする姿勢こそが、英語を「使える力」を伸ばす土台になっていきます。

先輩ファミリーのアドバイス

  • 知識や技能よりも、関心や意欲が大事。少々文法やスペルが違っていても指摘せずに、英語を使ったことをほめて、まずは英語嫌いにならないようにするのがいいと思います。 (北海道 N・R)
  • 学校の授業も「どんどん話していこう!」というスタイルなので、あらかじめ「まちがえてもいいんだよ。とにかく恥ずかしがらずにどんどん参加していこう!」とアドバイスしておくといいと思います。 (千葉県 よもぎもち)

家庭でサポートする際の、 心がまえ&サポートアイデア

ここまででお伝えしたように、今どきの英語学習は、「正しく」英語を使うことより、身近な場面で英語でコミュニケーションしようとする姿勢を育むことを大切にしています。ご家庭でサポートをする際にも、このような違いをふまえたうえで関わっていけるとよいですね。そのための心がまえと、楽しく英語の力を育むためのアイデアをご紹介します。

英語を「使える力」を育むには、「英語でコミュニケーションしたい!」という気持ちを育んでいくことが大切です。ご家庭でも、お子さまと楽しみながら英語に親しんでいきましょう。

プロフィール

【お話】

太田 洋(おおた ひろし)先生

東京家政大学人文学部教授。専門は英語教育学。国公立中学校教諭などを歴任し、文部科学省検定教科書「Here We Go!」(光村図書)の著者なども務める。「小学校英語 はじめの一歩」(共著/大修館書店)など著書多数。

イラスト:玉田紀子