3 すべての人に健康と福祉を 3 すべての人に健康と福祉を 6 安全な水とトイレを世界中に 6 安全な水とトイレを世界中に 17 パートナーシップで目標を達成しよう 17 パートナーシップで目標を達成しよう

正しい知識を得ることが
感染症対策の
第一歩!
予防には【SDGs】でも
推奨されている
衛生管理が大切

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、その予防や対策に関心が高まっています。そこでこの機会にぜひ知っておいてほしいのが、SDGs(持続可能な開発目標)でも目標の一つに掲げられている衛生管理の大切さです。世界でグローバル化が急速に進む中、世界的な感染症の流行を防止するには、どのような対策が必要なのでしょうか?

そもそも感染症は何が原因となって、どのように感染するのでしょうか。感染症の基礎を知って、感染症の予防や対策について考えてみましょう。

感染症とは?
感染源や感染経路を知ろう!

感染症とは? 感染源や感染経路を知ろう! 感染症とは? 感染源や感染経路を知ろう!

感染症にかからないようにするには、まず正しい知識を得ることが第一歩です。ここでは、そもそも感染症とはどういうものなのかをご紹介します。

■感染症とは?

ウイルスや細菌などの微生物が人の体内に侵入して増殖し、発熱・下痢・せきなどの症状を引き起こすことを、感染症と言います。一度症状が出るとなかなか治りにくかったり、重篤な症状が出たり、場合によっては死に至ることもあるため、予防や対策が重要です。

感染症を引き起こす原因となる微生物には、ウイルス・細菌・カビなどがあり、病原体と呼ばれます。微生物以外にも、蟯虫(ぎょうちゅう)や回虫などの寄生虫が原因となる、寄生虫症も感染症の一つです。

感染して発熱や下痢の症状が出る場合と、まったく症状が出ない場合があります。感染しているのに症状が出ない人が、知らないうちにキャリア(保菌者)として病原体を運び、感染を広めてしまうことがあり、その対策が課題となっています。

■対策を立てるために、感染源や感染経路を正しく知ろう

感染症の予防や対策を考えるために、まずは、感染源や感染経路を知ることが大切です。病原体となる目に見えない微生物や寄生虫が、どこからどのように侵入するのかを知りましょう。

感染源となるもの

感染源となるものには、感染した人や動物の排泄(はいせつ)物、吐いたもの、血液や体液などがあります。そのほかに、感染した人や動物が触れたものや食品なども感染源になることもあります。基本的には、こうした感染源を隔離するか、洗ったり消毒したりすることが、最も有効な対策になります。

感染症を予防するためには、感染経路を断つ工夫をすることも重要です。日常生活で気をつけたい主な感染経路には、接触感染・飛沫(ひまつ)感染・空気感染が挙げられます。

主な感染経路

  • 接触感染

    接触感染とは、病原体が付着した手・ドアノブ・便座・スイッチなどの表面に触れることで、病原体が移っていく感染のことです。病原体が付着した食品・物・汚物・手指などを介して、主に口から病原体が体内に侵入します。

    [接触感染で起こる感染症の主な例]

    ノロウイルス・ロタウイルス・腸管出血性大腸菌(O157)・サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌などによる感染性胃腸炎

    また、HIV感染によるエイズやクラミジアなどは、性行為の際に血液や体液、粘膜を通して感染するため、接触感染の一例と言えます。

    さらに、病原体をもつ動物を介して感染する感染症もあります。たとえば、狂犬病は病原体をもつ動物に噛まれることで感染します。また、トキソプラズマは、病原体を持つ動物の体やふんに触れることによって感染します。昆虫が媒介する感染症としては、蚊・ノミ・ダニに刺されることによって感染するマラリアや日本脳炎などが代表的な例です。

  • 飛沫感染

    飛沫とは、せき・くしゃみ・会話をするときに口から飛び散る細かい水分のことです。飛沫感染とは、病原体を含む飛沫を吸い込むことで感染することを言います。飛沫は水分を含んでいるため比較的重く、すぐ地面や床に落ちてしまいます。届く範囲は1~2m程度とされているため、マスクを着用したり、感染源から離れたりすることが有効な対策になります。

    [飛沫感染で起こる感染症の主な例]

    風邪・インフルエンザ・おたふく風邪・風疹など

  • 空気感染

    せきやくしゃみによって散った飛沫に含まれる水分が蒸発した、直径0.005mm以下の粒子を飛沫核と言います。飛沫核は水分が蒸発している分、飛沫よりも軽く、空気中に浮いて長い時間漂い、広がりやすくなります。空気中に漂う病原体に汚染された飛沫核を吸い込むことで感染するのが空気感染です。そのため、換気の悪い場所では、患者から離れていても感染してしまうことがあります。

    [空気感染で起こる感染症の主な例]

    麻疹ウイルス・結核菌・ノロウイルスなど

感染症は世界の問題。
【SDGs】で
開発途上国への支援が
必要とされている理由

■SDGsで取り上げられる健康と衛生管理について

世界には、健康診断や予防接種、病気やケガの治療といった基礎的な医療サービスが受けられない人が、世界中に約36億人もいると言われています。これは、世界人口の約半分にあたる数です。

また、5歳未満で亡くなってしまう子どもは、世界で1年間に約560万人もいます。亡くなった子どものうち約3分の1は、肺炎・下痢・マラリアで命を落としているそうです。

こうした状況は、医療が受けられないことと同時に、きれいな飲み水や衛生的に使えるトイレが普及していないことも原因になっています。開発が進んでいない地域では、水やトイレはもちろん、衛生的な産院や病院もありません。このため、感染症で命を落とす人も多いのです。

こうした状況から、SDGsの「目標3.すべての人に健康と福祉を」では医療サービスの充実や感染症の根絶を、「目標6.安全な水とトイレを世界中に」では衛生的な環境の整備を、課題として挙げています。

■新型コロナウイルスの対策には、国際的な協力が必要

新型コロナウイルスの感染拡大防止には、手洗いやマスクの着用が有効といわれています。しかし世界にはマスクどころか、手を洗うためのきれいな水すら満足にない地域があるのです。医療サービスや衛生環境が整っていない地域で感染が拡大すれば、たくさんの人が何もできずに亡くなってしまいます。もともと悪い経済状況もさらに悪化してしまうでしょう。

コロナショックで危機に瀕している低所得国を支えるために、先進国が支援をする動きが広がっています。日本政府も、IMFの大災害抑制・救済基金(CCRT)や貧困削減・成長トラスト(PRGT)を通して資金援助を行いました。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちは、経済のグローバル化が進み、世界中をモノや人が行き交う現代社会では、感染症の流行があっという間に世界中に広がってしまうことを体験しました。

低所得国への国際的な協力を続けることが、コロナショックの収束に向けての第一歩となるでしょう。

新型コロナウイルス
以外にも
対策が必要!
身近な感染症と対策

新型コロナウイルス以外にも対策が必要! 身近な感染症と対策 新型コロナウイルス以外にも対策が必要! 身近な感染症と対策

新型コロナウイルスに注目が集まっていますが、日常生活において予防を心がけたい身近な感染症はなくなったわけではありません。さまざまな感染症のリスクを最小限に抑えるためには、日ごろから衛生管理を徹底し、免疫力が下がらないように食事や睡眠にも気をつけることが大切です。

[身近な感染症の例]

インフルエンザ、麻疹(ましん/はしか)、風しん、手足口病、アデノウイルス、リンゴ病、溶連菌感染症、おたふく風邪、腸管出血性大腸菌感染症(o157)、ノロウイルス、ロタウイルス

■日頃からできる感染症対策

細菌やウイルスの感染対策

新型コロナウイルスの感染拡大防止のためにも、手洗いやマスクの着用、部屋の換気が推奨されています。日ごろから以下のようなことに気をつけましょう。

  • 手洗い、うがいを習慣にしましょう。調理や食事の前、トイレのあと、おむつを替えたあとなどは必ず手を洗ってください
  • ウイルスは気温が低く、乾燥した状態で繁殖しやすくなると言われています。部屋の温度や湿度を調整しましょう
  • ウイルスが部屋の中にとどまらないように、十分な換気をしましょう
  • 予防接種は有効な感染症対策になります。医師に相談したうえで適切に接種を受けてください
  • ウイルスは咳やくしゃみによって広がります。感染症を広めないよう、症状があるときはマスクを着けましょう
  • ウイルスを除去するアルコールや除菌剤を用意しておき、家の中で家族がよく触るところを消毒しましょう

食中毒の予防

ノロウイルスや腸管出血性大腸菌感染症(o157)といった食中毒を予防するためには、食品や調理のさいの衛生管理が大切です。

  • 調理の前や生の肉や魚を触ったあとには、必ず手を洗いましょう
  • 食品は新鮮なものを選び、できるだけ早く冷蔵庫に入れます
  • 生ものは避け、十分に加熱すること
  • 生の肉や魚を触った箸を食べるときに使わないようにしましょう
  • 調理したものはできるだけ早く食べたほうが食中毒のリスクを下げられます

■新型コロナウイルス感染症を予防するためにできること

新型コロナウイルスは新たに発生したウイルスであり、ワクチンや治療薬がまだ開発されていないため、感染の拡大を防止するためには、一人ひとりが予防を心がけることがより重要になります。

日ごろから心がけたい対策は、基本的にはほかの感染症と同じです。未知のウイルスだからと言って、過剰に反応することがないよう気をつけましょう。

  • 手洗いうがいを習慣にしましょう。
  • 咳やくしゃみ、大きな声を出す、2m以下の距離で会話するといった場面では、マスクをしましょう。
  • 換気の悪いところ(密閉)、多くの人が集まるところ(密集)、手が届く距離での会話や作業(密接)の3密をさけましょう。部屋の換気を十分にする、人が多く集まる場所には出かけない、ソーシャルディスタンスを心がけるといったことを徹底します。

2020年6月ころからは、ずっとマスクを着けていることによって熱中症のリスクが上がるとして、注意が促されています。気温や湿度が高いとき、人が近くにいない屋外などではマスクを外すなど工夫をしましょう。

新型コロナウイルス感染症とその対策について、日々調査や研究がされています。最新の情報を見逃さないように、厚生労働省をはじめとする省庁や政府、自治体の発信している情報をよく確認することも大切です。

厚生労働省のホームページに、詳しい感染予防の対策や、最新の情報、「発熱やせきがある」「身近な人が感染したことがわかった」という場合の相談先などがまとめられています。心配なことがあるときはもちろん、正しい知識を得るためにも、一度目を通すことをおすすめします。

新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

新型コロナウイルス感染症の流行によって、感染症の予防や対策に注目が集まっています。新型コロナウイルス感染症に限らず、感染症の予防には、一人ひとりが正しい知識を知り、日ごろの対策を徹底することが大切です。

新型コロナウイルス感染症の流行により、医療体制がひっ迫する状況が世界各地で見られました。医療体制がひっ迫するということは、病院のベッド数が足りなくなったり、医療従事者の負担がとても重くなったりして、治療が必要な人が診療を受けられないという状況を生みます。

一人ひとりが予防を心がけることは、自分の健康を守るためというだけでなく、感染症の大規模な流行を防ぎ、必要なときに必要な治療を受けられる医療体制を守ることにもつながります。新型コロナウイルス感染症の対策はもちろん、この機会に、まずは身近な感染症から調べてみましょう。

身近な感染症から視線を広げて、世界で撲滅が目指されているHIVウイルス感染によるエイズやマラリア、結核、狂犬病などの感染症について、さらには世界の健康と福祉や衛生の問題について調べてみるのもおすすめです。

【この記事に関連する目標】

※他の目標とも関連していますが代表的なものをあげています。

[参照元]

感染症とは何?|これからの衛生管理 | 大幸薬品株式会社

https://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/infection/disease.html

感染症ってなに?|感染対策コンシェルジュ|丸石製薬株式会社

https://www.m-ipc.jp/what/

SDGs|目標3 すべての人に健康と福祉を|満たされるべき基本的人権

https://sdgs-support.or.jp/journal/goal03/

SDGs|目標6 安全な水とトイレを世界中に|年間180万人の子どもが死亡

https://sdgs-support.or.jp/journal/goal_06/

日本、IMFの大災害抑制・救済基金と貧困削減・成長トラストへの拠出を拡大|国際通貨基金

https://www.imf.org/ja/News/Articles/2020/04/30/pr20197-japan-boosts-contributions-imf-catastrophe-relief-fund-poverty-reduction-growth-trust

日頃からできる衛生管理|これからの衛生管理 | 大幸薬品株式会社

https://www.seirogan.co.jp/fun/infection-control/infection/prevention.html

How to 感染対策|感染対策コンシェルジュ|丸石製薬株式会社

https://www.m-ipc.jp/column/232