今週の特集Special feature

勉強がはかどる! 部屋と体の温め方とは??

寒さも本番。一方、受験生はもとより学年末テストなど、勉強面では総まとめの大事な時期です。お子さまが勉強に集中できるような部屋と体の温め方を知って、快適な環境をつくっていきましょう。

監修/
聖心女子大学 西原直枝先生

もくじ

基本編 勉強がはかどる室内環境とは?

最適な気温と湿度とは

「温度と知的生産性」についての研究は昔からあり、暑すぎたり寒すぎたりするとパフォーマンスが下がることがわかっています。冬であれば着衣量も考慮すると、温度は20~22℃前後、湿度は50%程度が快適な室内の目安といえます。ただ、はっきりした「最適な温度」については研究者によってさまざまな意見があり、まだわかっていません。また、作業に適すると感じる温度には、個人差が大きくあります。

冬に乾燥しやすい地域では、低湿度への注意も必要です。低湿度な環境では粘膜が乾いて、ドライアイや喉の炎症など身体の不調を引き起こしやすくなりますし、ウイルスも低湿度に強いものが多いです。また、静電気による不快も生じます。

一方、加湿器による加湿のし過ぎにも注意が必要です。結露が起こるとカビ・ダニの発生につながってしまうので、やりすぎないようにしましょう。温度が快適だと湿度の高低を感じにくくなるので、湿度計を置いて確認できるようにしておくとよいですね。

「個別調節」で
パフォーマンスUP

オフィスでの温度と知的生産性の関係を調べた実験によると、自分で風速などを調節できる場合では、室内の温熱環境に対する満足度が高くなり、パフォーマンスも高くなった、という結果が出ています。

前述のとおり、作業に適した温度は個人差も大きいので、勉強するお子さま本人が自分で室内の温度調節や、服装調整などを安全に気をつけてできるようにしておくとよいでしょう。自分に合った環境を自身で整えることにより、自己効力感を育むことにもつながり、またパフォーマンスの向上も期待できます。

Q&A 知っておきたい! 室内環境で気を付けること

「頭寒足熱」は本当?

本当です。

足もとが寒くて頭の辺りが暑いと不快が生じ、頭がぼーっとして勉強には不向きです。暖かい空気は上昇するので、冬は「頭寒足熱」と逆の状況になりやすい季節です。できるだけ足もとを温め、熱を逃がさない環境づくりを目指しましょう。

換気のタイミングやコツは?

1時間に1回、斜めに2方向を開けましょう。

外が寒いので換気をしたくなくなりますが、人間がいるだけで、室内の空気質は悪化していきます。換気量が少なく、空気の汚れの指標である二酸化炭素濃度が高くなると知的生産性が下がるという研究データもあるので、パフォーマンスのためにも、健康のためにも、換気を怠らないよう心がけたいですね。

部屋の広さにもよりますが、目安としては1時間に1回、数分ほど、空気の入り口と出口を確保するよう斜めに2方向開けるとよいでしょう。

室内環境の不快ポイントって?

上下温度差、気流に注意しましょう。

室内環境の不快な要素を取り除くことは、パフォーマンスに直結します。全体の寒さだけでなく、冬の室内に特有の不快な要素は、いくつかあります。

まずは上下温度差。足もとが寒くて頭の辺りが暑いという、頭寒足熱の逆パターンです。国際規格のISO-7730では、上下温度差に対する不満足者率を5%未満にするために、室内の上下温度差を3℃以内にすることが推奨されています(床上0.1mと1.1mでの温度差)。

また、気流も不快な要素です。部屋の中では窓面が最も熱損失が大きいですが、窓面で冷えた空気は下へ流れる気流となり(コールドドラフト)、足もとが冷えます。そしてエアコンの気流が体や顔に直接当たることも、不快感を覚える人が多いので、エアコンや家具の配置などにも注意しましょう。

そのほか、床の表面温度が低いこと、窓面などからの放射で身体の片側だけが冷えること(非対称放射)も、局所不快感が起こる要因ですので、気を付けたい点です。

実践編 勉強がはかどる部屋のつくり方

まず断熱・気密性能を上げる

ここまで冬の快適な室内環境の考え方をみてきましたが、実際に行う対策としては、まず住まいの断熱・気密性能を高めることです。低断熱・低気密の家では、いくら空気を温めてもすぐに逃げてしまい、エネルギーの無駄遣いにもなってしまいます。

最も熱が逃げやすいのは窓面なので、単板ガラスの場合は内窓を付けるといった断熱リフォームを行う、リフォームが難しければ断熱シートを貼る、長めで厚手のカーテンを取り付けるなど、窓面の対策を取るとよいでしょう。

暖房器具をうまく使う

暖房器具の使い方も、工夫したいポイントです。暖房器具にもいろいろな種類と特色があり、地域によって主流の器具も異なりますが、「部屋全体をほどよく暖める」かつ「足もとを温める」、そして「体に気流が当たらない」を意識して暖房器具の使い方を考えるとよいでしょう。

たとえば部屋全体にはエアコンやファンヒーターを使いつつ、部屋の上のほうに暖かい空気がたまらないようにサーキュレーターや扇風機などを回すと効率が良く、おすすめです。また、冷えやすい足もとには電気カーペットや湯たんぽ、コールドドラフトが起きやすい窓の下にはパネルヒーターなどを、組み合わせて使用してもよいでしょう。床暖房は、足もとが冷えず上下温度差ができにくいので、快適性の高い暖房器具といえます。

なお寒い地域ですと、主暖房が灯油やガスのストーブやファンヒーターであることが多いですが、このような開放型暖房器具は、不完全燃焼による一酸化炭素の発生の危険があるので、万一に備えて必ず適切な換気を行うようにしてください。

衣服での調節スキルも
身に付ける

暑さ・寒さを感じる要素は、空気温度、放射温度、湿度、気流、着衣量、活動量の6つあり、これらを整えていくことが、快適な環境づくりにつながります。

このうち着衣量は、たとえば試験会場や図書館など、環境側を自分では変えられない場所でも、自分で手軽に調節できる要素です。脱ぎ着しやすい服を重ねる、足もとが冷えやすい場合はひざ掛けやカイロを持ち込むなど、お子さまが調節できるようにしていきましょう。

よく「首・手首・足首」など「首」の付くところを温めるとよい、と言いますが、これは血流の多いところを効率よく温めるとともに、体の周りの暖かい空気が、えり口やそで口、すそなどの服の開口部から外へ逃げないようにする、という意味もあります。また、体のどの部位を冷やすと全身に影響があるかを調べた実験では、首が最も影響がありました。たとえば上腕部を冷やした場合は上腕部しか冷えませんが、首を冷やすと全身も冷えるのです。そのため、マフラーやネックウォーマーを活用するなど、首回りで調節することも覚えておくとよいでしょう。

衣服について、子どもは意外に無頓着だったり、見た目重視だったりしますが、大事な時期に風邪をひくことのないよう、自分でも少しずつ身に付けていってほしい知識です。

まとめ

室内や体の温め方は、まず保護者のかたが整えつつ、お子さまが自分でも調節できるようにしていくことは、お子さまの「生活していく力」にもつながります。理屈がわかると、寒さ対策も面白く感じられませんか? ぜひ親子で工夫しながら、寒い季節を乗り切ってください。

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【監修】
西原直枝(にしはらなおえ)

聖心女子大学現代教養学部教育学科准教授。お茶の水女子大学卒業、同大学大学院人間文化研究科修了。博士(学術)。家庭科教育学、被服衛生学、建築環境学を専門とし、日本学術振興会特別研究員などを経て現職。共著に『快適な温熱環境のしくみと実践』(丸善出版)ほか。

取材・文/荻原幸恵

次の特集は
2024年3月5日公開予定!

どうぞお楽しみに!