今週の特集
学年が変わり、新鮮な気持ちはキープしつつ新しい生活に慣れてきたこの時期は、これまで嫌いだった勉強も好きに変えていくチャンスです。
実は、勉強が嫌いから好きに変わった子どもたちにはある共通の特徴があり、保護者の方の関わり方も重要なポイントになります。勉強が好きになるためのヒントをご紹介します。
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すでにお子さまはとても前向きに学習に取り組んでいて素晴らしいです。とても勉強が好きである可能性が高いです。その気持ちが失われないように保護者のかたはサポートしていきたいですね。
前向きに勉強に取り組んでいる様子が見られてすばらしいです。勉強することが好き、または、勉強することが苦ではないお子さまではないでしょうか。学習方法に工夫の余地もあるので、効果的なやり方についてお子さまと一緒に考えてみてはいかがでしょうか。
保護者のかたからみると「勉強に前向きに取り組めてないかも?」なんて、気になる時があるかもしれません。ただ、不安にならなくて大丈夫。今は「勉強が好きじゃない」と語るお子さまでも、新しい学年になって、友達や環境の変化で、スイッチが入ることは多いもの。お子さまは、保護者のかたが思う以上に、どんどん成長します。保護者のかたは、「いまは勉強を好きになるチャンスを待っているのかも」と、まずは長期的な視点でとらえてOK。そのうえで、以下で紹介する勉強の工夫や、自己肯定感を育てる工夫をいくつかトライしてみることで、勉強が好きになるチャンスが見つかるかもしれません。
たとえ今は勉強が好きでなくても、子どもは、前向きな気持ちで勉強に取り組み、勉強が好きになれる力を持っています。では、どうすればよいのでしょうか?代表的な4つのポイントと、保護者が支援する際のヒントをご紹介します。
自分に合った勉強方法を工夫することができれば、学習内容への理解度が高まり、意欲が高まり、勉強が好きになるというよい循環が期待できます。学習方法の具体的な工夫は、子どもの特徴や年齢(発達段階)によってさまざまですが、たとえば「遊ぶ時は遊び、勉強するときは集中して勉強している」は比較的どの年代の子どもでも使える方法です。
また、はじめのチェック項目に挙げたような「計画をたてて勉強する図1」「テストで間違えたところはやり直す図2」といったことができると、机に向かう時間がより質の高いものとなり、やがて勉強する時間が楽しく感じられるようになるでしょう。
計画を立てて勉強するといっても、小学生の場合、特に低学年のうちは計画を立てること自体が難しいので、保護者のかたが一緒に立ててあげましょう。高学年になったら少しずつ自分で考える割合を増やして、保護者がアドバイスする形にします。初めのうちは、やることの目標と期限を決めて、そのために何をどれくらい行うのかといった大まかなことを、1週間くらいの期間について考えられるとよいかもしれません。そのうえで、予定から大きく外れていたらフォローするなどの支援をしてあげるとよいですね。
テキストやノートを開いたものの鉛筆がなかなか進まない場合は、そもそも「何が分かっていないのかが分からない」ことが原因になっているかもしれません。保護者が支援できる範囲で、お子さまが取り組んだ問題集やドリルの丸付け状況から、何につまずいているのかを一緒に探してあげるとよいでしょう。
中学・高校生の場合は、勉強の計画を立てる練習として定期テスト前の期間がおススメです。テスト前の2週間程度の学習計画をお子さまがたてて、必要に応じてアドバイスをしてあげましょう。ただ、基本的には保護者のかかわりは最小限にとどめて本人の意思を尊重することが大切です。保護者のかたが決めてやらせるのでは、計画を立てる力が身につかないからです。むしろ、勉強するときに集中できるような環境を整えるなど、間接的なサポートをする程度が良いかもしれません。
お子さまの年齢にかかわらず、自分なりに努力して勉強していることや、がんばりのプロセスを認めてあげることが大切です。テストの点数が保護者の期待とは異なっていても、点数だけを見て叱るのではなく、それまでの努力を評価した上で、次にどうするかを一緒に考えたり、落ち込んでいたら励ましたりしてあげましょう。ベネッセの調査結果図2からも、間違えた個所をしっかり直すよう働きかけることで、弱点克服につながるとともに、勉強好きになる可能性も期待できます。
もし、学習のしかたに課題がありそうであれば、サポート1でご紹介したような方法を試してはいかがでしょうか。
小学生のうちは自分のやり方を客観視できなかったり、大人から見て明らかに非効率的な勉強をしていることがあります。そのような場合は、まずはお子さまが一生懸命机に向かっていること自体を認めてほめた上で、学習のしかたについてヒントを示してあげるとよいでしょう。例えば、ドリルに取り組む場合、容易に正解できる問題を繰り返し解くよりも、自分にとって少し難しい問題に集中して考えるほうが効果的であることを伝える、などです。
中学・高校生の場合は、ふだん勉強をがんばっている様子を認め、励ますことに加えて、部活動などで忙しいなかでもメリハリをつけて勉強できるようにフォローしましょう。規則正しい生活を送るように働きかけたり、勉強の時はスマホやゲームなどの誘惑物を遠ざけるよう声をかけたり、リビングで勉強している場合はテーブルをきれいにしてテレビは消すなど、お子さまが自分から進んで机に向かい、学習に集中しやすくなる環境づくりをサポートしてあげましょう。
東京大学とベネッセの調査結果では、勉強が「嫌いから好き」に変わったお子さまの保護者は、「勉強の意義や大切さを伝える」割合が多いことが分かりました。勉強しないことを一方的に叱ったり、「勉強しなさい」と強制するような働きかけは逆効果です。やる気が起きない場合は、その気持ちに寄り添いつつ、「なぜ勉強する必要があるのか」「勉強するとどのようないいことがあるのか」をいっしょに考えてみてください。保護者自身が学ぶことを楽しんだり、勉強を大切だと思った体験談を話したりするようなことは、勉強する意義を伝えることにつながります。
勉強が「嫌いから好き」になった子どもは、「自分の良いところが何かを言うことができる図3」「難しいことや新しいことにいつも挑戦したい図4」といった自己肯定感が高いことが分かっています。
自分に自信を持てていたり、自分のことを前向きに捉えることができると、勉強に関して壁に当たったり、思った通りの結果が出ない場合でも、「何とかしよう」「何とかなる」と前向きにがんばることができます。その結果、「できた!」「わかった!」などのポジティブな経験を積み重ねていくことで、勉強はがんばれば必ず成果に結びつくことを実感できます。その成功体験が学習意欲を高めて、勉強好きになっていくのです。
学習面については、とりわけ苦手な科目やテストの点数が低いことに目が行ってしまいがちです。まずはできたところ、以前よりもよくなったことを見つけてあげましょう。そのうえで、必要であれば苦手克服のアドバイスをしてあげてはどうでしょうか。子どもの努力を認め、褒めてあげることが子どもの自己肯定感アップにつながります。
勉強が「嫌いから好き」になった子どもは、「夢中になって時間がたつのを忘れる」「親から仕事の楽しさや大変さを聞く」「美術館や博物館に行く」といった経験を多くしていたり、「将来の目標がはっきりしている」「将来なりたい職業につきたいから勉強する」と答える割合が高い傾向が見られます。恐らく、さまざまな経験や刺激から勉強の大切さを感じたり、将来やりたいことやなりたい職業を考えるきっかけができて、目の前の勉強に主体的に取り組めるようになっていくと考えられます。
豊かな体験は、勉強好きになることはもちろん、様々な人とのふれあいや本物との出合いを通して人間性そのものを高めてくれます。お金をかけて遠くに旅行する必要はありません。図書館に行って読んだことのない本を探してみる、地域の行事に参加するといった、身近な体験でよいので、子どもの世界を広げる環境づくりを保護者がサポートしてあげるといいですね。