今週の特集
勉強が難しくなったり、行事が続くなかでお友だちとの関係がうまくいかなかったり…。
お子さまの悩みが増えやすい2学期。
こうした困難に負けない力の土台となる「自己肯定感」は、実はご家庭内で育てることができます。
自己肯定感をグングン伸ばし、保護者のかたも毎日笑顔になれる声のかけ方・接し方とは?
これまで4000人以上の子どもたちを直接指導してきた石田勝紀先生に聞きました。
お子さまに何か伝えたいけれど、どう伝えればよいか迷う時の声かけ案をいくつかご紹介します。
約束の時間になっても
宿題をしない時は?
宿題をする時間を
一緒に見直そうか?
約束を守らないお子さまが悪いのではなく、スケジュールがお子さまと合っていなかったと伝えます。「学校から帰ってすぐよりも夕食後のほうがいい?」などと、勉強するのにベストな時間帯を子どもと相談して決め直しましょう。
ゲームをなかなか
やめない時は?
もうじきごはんだけど、
ゲームはいつ終わる?
「やめなさい」と強制するのではなく、お子さま自身にやめる時間(タイミング)を決めさせます。怒らず平常心で尋ねるのがポイント。その時間になってもゲームをやめない場合は、「いつ終わる?」と問い詰めるのではなく、くり返し尋ねます。
友達とうまくいっていない
ことを気にしている時は?
何かあった?
お子さまが話したそうにしていたら「何かあった?」と尋ねてみます。言いたくなさそうなら、何も聞かず雑談をしましょう。それだけでお子さまの心は軽くなります。雑談の流れで悩みを打ち明けてくれたら、アドバイスはせず聞き役に回りましょう。
子どもを認める言葉を
かけることから始めよう
声かけ例を見て「叱らなくていいの?」と驚いたかたもいるのではないでしょうか? ですが、もしもご自身が日々パートナーや上司にダメ出しをされていたら、自分の短所ばかりに目がいってしまうことが想像できると思います。
自己肯定感とは、「長所も短所も含めて、自分は価値のある人間だと感じる心」のこと。周囲からありのままの自分を認められ、「期待されている」「必要とされる」「頼りにされている」と思えることで満たされていきます。
自己肯定感が満たされると子どもがグンと成長する!
失敗を恐れず
難しい問題にもチャレンジ!
物事をポジティブにとらえ、ニガテがあってもめげません。成長意欲が出るので、どんなことにも前向きに取り組めるようになります。
自分の得意分野を
見つけて才能を開花
メンタルが強くなっていくと、トライ&エラーをくり返して自分の得意分野を見つける可能性が高くなっていきます。
周囲にやさしくできて
友達関係も良好に
自分の短所を認められるということは、他者に対しても寛容であるということ。協調性が育まれ、友達に恵まれます。
お子さまの自己肯定感を伸ばすために心がけたい接し方をご紹介します。1日1回ネガティブな言葉を使わない、というだけでも構いません。お子さまがどのように変化するか気にかけながら、少しずつ試してみてください。
ネガティブな声かけの代わりに、お子さまが自発的に行動したくなるような関わり方がおすすめです。いくつかテクニックがあるのでご紹介します。
「ちょっと先」の
情報を伝える
朝起こす時は「朝ごはんができているよ」、学校の準備が遅い時は「もうすぐ友達が迎えに来るよ」、中高生のお子さまで就寝時間が遅いときは「明日は6時に起きるんだっけ?」など、生活習慣を促す場合に効果的です。できるだけお子さまにとって気持ちのよい見通しを伝えましょう。
できていないことは
責めずにそのまま「認める」
ニガテがあったりテストの結果に落ち込んでいたりした場合は、責めずに「そっか、難しかったんだね」と事実を受け止めるだけでOK。「まちがっているところを直せば次はできるようになるから、失敗はお得なんだよ」と伝えると、お子さまの心が上向きになることもあります。
子どもに選んでもらう
ゲームやスマホをやめるタイミングは「いつ終わる?」と尋ねてお子さまに決めさせます。もしも家でルールを決めているのに守らない場合は、「あなたらしくないね」とひと言だけピシャリと言いましょう。
「らしくない」は「本来のあなたの姿はわかっているよ」という受容の意味合いがあります。自分らしい振る舞いを子どもに考えさせる言葉で、ガミガミ叱るよりも心に響きます。
ポジティブな声かけをすると、子どもは自分のプラス面に目が向きおのずとマイナスな気持ちが消えていきます。お子さまの行動を認めたい時は、「いいね」「さすがだね」「すごいね」といったフレーズで軽く明るく伝えましょう。たとえるならSNSの「いいね」ボタンを押すテンションが近いと思います。
ほめている気持ちをさりげなく伝えられる言葉なので、ささいなことにも使えます。何か係を任された時、部活をがんばっている時早起きした時、友達と仲良く遊んでいる時などに言ってあげましょう。
勉強には失敗やまちがいがつきもので、うっかりするとお子さまに対してネガティブな言葉を言ってしまいがちです。勉強以外の場面でたっぷり使ってください。
感謝の言葉を伝えることで、お子さまは「誰かの役に立った」と感じ、自分が必要な人間であることを認めていきます。あえて頼みごとをして、お礼を言うシチュエーションをつくるのも方法です。
不安や恐怖、あせりといったネガティブな感情を鎮めてくれるマジックワード。大人でも「大丈夫」と言われると心が軽くなりませんか。
私は子どもが「こんな難しい問題できないよ」と言ったら、「大丈夫、大丈夫」と軽い感じで何度も言います。楽観的な言い方をすると、子どもも「できるかも?」といい意味で勘違いし、取り組むようになります。
うまくいかなかったり何かに失敗したりした時も「大丈夫」と伝えることで、チャレンジ精神や楽観的な視点を与えることができます。
叱ったぶん、笑顔で接する
子どもにダメ出しをしてしまうことはどうしてもあります。そんな時は、次から笑顔でポジティブな言葉をたくさん使えばOKです。叱ったぶん、お子さまのいいところを見つけて認めれば、お子さまの自己肯定感は再び満たされていきます。
保護者のかたの心を癒やす
お子さまを寛容に受け止めるには、保護者のかた自身の心の余裕が大切です。「人・場所・本・食べ物・音楽・香り」は特に効果があります。イラっとしたら好きなものにふれるだけでも心がほっとするので、ぜひ試してみてくださいね。
私は勉強会などで、お子さまの自己肯定感を満たすためには、保護者のかたが毎日をハッピーに過ごすことが大切だと、よくお話ししています。不安な時はお子さまの短所が見えやすくなるし、反対に気持ちが上がっていれば、よいところにたくさん気付くものです。
「いいね」「さすがだね」「すごいね」といったポジティブな言葉はご自身にも有効です。思いついた時に、「今日の自分はいいね、さすが!」とご自身の自己肯定感を高める声かけを試してみてください。遠回りに思えるかもしれませんが、保護者のかたの心の持ちようでお子さまの自己肯定感は変わってきます。