読書感想文の本の
選び方
1本を選ぶ
本選びを子ども一人に
任せない
ポイント1
読書感想文は本選びで決まる
長期休みの読書感想文で悩んでいる親子は少なくありません。でも、これからご紹介するコツさえ知っていれば、楽しく、スムーズに、そして内容の濃い、いきいきとした作文を誰でも書けるようになります。読書感想文で最も大事な作業は、最初のステップ、「本選び」。ここさえしっかりと押さえられれば、半分は終わったようなものです。
ポイント2
ポイントは子ども一人に
本選びを任せないこと
本選びには保護者も参加するのがポイントです。子どもは情報収集能力が大人ほど高くはないので、自分に適した本を選ぶことが難しいからです。子どもが興味関心を持って読める本を選ぶことが、よい読書感想文への近道。押し付けるのではなく、あくまでも紹介・推薦するという姿勢で本選びを手伝いましょう。
こんな本を選ぼう!
選び方1
感動より面白い本を
あまり読書が好きではない子どもに、読み応えのある感動的な本をすすめても受け入れてもらえません。それよりも単純に面白く、最後まで無理なく読める本を探しましょう。
選び方2
伝記やノンフィクションもおすすめ
お子さんが興味のあるジャンルは何ですか? 動植物や科学、学校のことが描かれている本やノンフィクション、最近の著名人の伝記などもおすすめです。無理に小説や物語である必要はありません。興味のあることでなら、楽しく読み進めることができるでしょう。
選び方3
熱中していること・物に関する本
サッカーに夢中な子はサッカーの本を題材に読書感想文を書くと、自分自身の体験にもとづき書くことができます。熱中しているものであれば、本人も書きやすく、気持ちのこもった読み応えのある文章になります。
選び方4
同じような体験あり!
ペットとお別れをした体験がある場合は、命について考える本を読めば、自分の言葉で、文章が書けるはずです。友達と楽しく過ごす日々を送ったというのも、立派な体験。「体験がない……」という場合は、キャンプやスポーツ、地域の活動に参加して、実際に体験するのもよいでしょう。
2本を選ぶ
親野先生がおすすめする
読書感想文向きの本
ポイント
読みたい本を読もう
お子さんはどのように本を選んでいますか? 「学校の推薦図書」から無理に選んだり、「保護者が買い与えた本」をいやいや読んだりしていませんか? これが読書、ひいては読書感想文に苦手意識を持ってしまう原因の一つなのです。
熱中していることや、好きな人、好きな物の本を読みましょう。大事なのは、夢中になって好奇心を抱いて読める本を選ぶこと。昆虫の本でも、スポーツ選手の本でも、科学の本でも、興味があればよいのです。
読書感想文の
書きやすい
オススメの本を
紹介します!
教育評論家
親野 智可等先生
低学年
『ごきげんなすてご』
作:いとうひろし
徳間書店
妹や弟が生まれると、保護者の関心がそちらに移ってしまい、子どもは寂しい思いをすることがよくあります。この本は、そういう経験のある子におすすめです。同じ経験のある子は、自分の体験を振り返りながら感想文が書けると思います。
中学年
『メガネをかけたら』
作:くすのき しげのり
絵:たるいし まこ
小学館
子どもは、初めてメガネをかけるとき、「似合わないのではないか?」「友達に何か言われるのではないか?」などの不安でいっぱいです。この本には、初めてメガネをかけることになった子の気持ちがよく表れています。同じ経験のある子は、共感しながら読めると思います。
高学年
『くちぶえ番長』
作:重松清
新潮社
弱虫の男の子「つよし」は、転校生の女の子「マコト」から優しさと勇気を学びます。そして友情が芽生え、恋心も……。子どもはいろいろ経験しながら、そして悩みながら、少しずつ成長していくのです。いろいろ考え始める高学年の子どもたちに、おすすめの一冊です。
中学生
『ともだちのしるしだよ』
作:カードラ・モハメッド
絵:ダーグ・チャーカ
訳:小林葵
岩崎書店
思春期の中学生は、友達関係でよく悩みます。この本は、アフガニスタンから逃げてきた難民のキャンプで、2人の女の子が友情を育む物語。日本の子どもたちには、想像もつかないほど過酷な生活を送る2人の姿をとおして、友達というものの本質を考え直すきっかけになるはずです。
3本を選ぶ
ジャンル・一覧から選ぶ
選び方1
ジャンルから選ぶ
選び方2
課題図書から選ぶ
「読書感想文全国コンクール課題図書」というと難しい印象を持っている子どもが多いと思います。でも、読書感想文の本を選ぶ際、実はこれほどよいリストはありません。なぜなら、子どもが興味を持てる内容のものを、学年に応じた難易度や、きちんとした選定基準にもとづき、選んでいるからです。無理に課題図書から選ぶ必要はありませんが、興味のある本があれば、手に取ってみることをおすすめします。
選び方3
図書館で選ぶ
学校の図書館はよい本の宝庫
学校図書館の本棚には、図書館の先生が選んだ「生徒に読ませたい本」「小中学生が読んでおくべき本」が置いてあります。子どもによい本を読ませたいと思って並べられているわけですから、必然的に良書と言われる名作たちが所狭しと集められています。本選びに困ったときは担当の先生に、好きなことや、学年、得意不得意などを伝え、選んでもらうこともできるでしょう。せっかく図書館があるのですからこの機会に利用してみてはいかがでしょうか。
選び方4
書店を選ぶ
制約がないので、
本選びの幅が広がります
書店に並んでいる本は、売れている本や新しく出た本。学校図書館と違い、年齢や環境のさまざまな人たちが本を買いに来るので、置いてある本は多種多様。ちょっと背伸びをして難しい本に挑戦してみてもよいかもしれません。自分の興味のあるコーナーにはどんな本が並んでいるのかを見るだけでも勉強になるでしょう。