「学習まんが日本の歴史」我が子の学力が上がるシリーズの選び方
物語に没頭しながら歴史を学べる、学習まんが日本の歴史シリーズ。子どもの学力を上げるのにうってつけですが、各社から出版されていて、どれを選べばいいのやら…。
そこで「学力を上げる」をテーマに、主要6シリーズを吟味・検証してみました。こちらをざっと読めば、各シリーズの特徴・強みがわかり、お子さまにぴったりマッチしたものを選べます。
当記事の監修は、塾講師歴25年超、10冊の教育関連著書がある受験指導専門家・西村創さんが務めます。
そこで「学力を上げる」をテーマに、主要6シリーズを吟味・検証してみました。こちらをざっと読めば、各シリーズの特徴・強みがわかり、お子さまにぴったりマッチしたものを選べます。
当記事の監修は、塾講師歴25年超、10冊の教育関連著書がある受験指導専門家・西村創さんが務めます。
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1.歴史まんがを選ぶ5つのポイント
2.人気6シリーズの特徴を比較
3.テーマ別に選ぶおすすめ歴史まんが
1.歴史まんがを選ぶ5つのポイント
まずは歴史まんがを選ぶうえで、ぜひ頭に入れておきたいポイントを紹介します。
目的によって正解は変わる
たとえば目的が「中学受験に備えたい」と、「初めての歴史の入り口にしたい」では、ベストなものは変わります。そこで、まずは目的がなにかを明確にしましょう。もちろん目的はひとつでなくてもOKです。
「熱中できること」が何より
実際のところ、今回紹介する学習まんがシリーズは、どれも非常によくできています。西村さんも「きちんと読みさえすれば、どのシリーズも成績アップや受験対策に大きく寄与すること間違いありません。巻末の資料や欄外のひとくちメモもしっかり頭に入れれば、それだけでもう大学受験の歴史の勉強は充分というほどです」と話します。ただそこには「きちんと読みこめば」という条件がつきます。
そこでぜひ重視したいのが、子どもが「熱中」できることです。それには絵柄はもちろん、まんがの面白さや読みやすさ、情報密度、資料の見せ方などが本人に合っていることがキモになります。
「私は日本史が好きで大学受験の時もよく勉強していましたが、それでも小学校のころから小学館の『学習まんが 少年少女日本の歴史』を繰り返し読んできた友人には、歯が立ちませんでした。その友人は、日本史の偏差値が75ほどもありました」(西村さん)
そこでぜひ重視したいのが、子どもが「熱中」できることです。それには絵柄はもちろん、まんがの面白さや読みやすさ、情報密度、資料の見せ方などが本人に合っていることがキモになります。
「私は日本史が好きで大学受験の時もよく勉強していましたが、それでも小学校のころから小学館の『学習まんが 少年少女日本の歴史』を繰り返し読んできた友人には、歯が立ちませんでした。その友人は、日本史の偏差値が75ほどもありました」(西村さん)
買う前に子どもに絵柄を見せる
子どもに合ったものを選ぶという観点から、できれば買う前に一度、まんがを本人に試し読みさせたいところです。書店で実際に手に取るのはもちろんですが、どのシリーズも公式Webサイトで試し読みできるので、そちらを見せるのもいいでしょう(※)。
※朝日学生新聞社版のみ公式Webサイトなし
複数シリーズを買うのもアリ
シリーズのどれかを全巻まとめ買いするのが親としてはラクですし、子どもも違和感なく読み進められます。一方でまとめ買いしたシリーズが子どもに合わない可能性もありますし、まとめ買いによる「プレッシャー」や「勉強感」を子どもが負担に感じて逆効果となることもありえます。
それらを回避するために、1冊1冊買い進めていったり、複数のシリーズを横断して読ませるのも一手です。まずはいくつかのシリーズを試しに買い、いちばんよさそうなのをまとめ買い、というのもいいでしょう。
それらを回避するために、1冊1冊買い進めていったり、複数のシリーズを横断して読ませるのも一手です。まずはいくつかのシリーズを試しに買い、いちばんよさそうなのをまとめ買い、というのもいいでしょう。
差が出る項目をチェック
歴史まんがには、好みが分かれる項目がいくつかあります。たとえば監修者や本編まんがの描き手が1人か複数か(1人の方が違和感なく読み進められ、全体の流れをつかみやすいが、時代ごとに監修者が分かれているほうが最新の研究が反映されやすい)、新学習指導要領に対応しているか(対応している方が学校の授業やテストとリンクしやすい)、さらにはまんが以外の資料やコラムの充実度、本の形態(判型や巻数、値段)などです。当記事の最後に、項目を比較できる一覧表も掲載しているので、チェックしてみてください。
・監修者が1人か複数か
・新学習指導要領の対応
・資料やコラムの充実度
・本の判型・巻数・値段
・監修者が1人か複数か
・新学習指導要領の対応
・資料やコラムの充実度
・本の判型・巻数・値段
2. 人気6シリーズの特徴を比較
ここからはいよいよ、6シリーズを個別に紹介していきます。特徴や強みがパッとわかるよう、それぞれに「3大特徴」を挙げました。また、以下の“プロフェッショナル”たちによる、本音コメントも紹介します。
ま=まんが関連のコンテンツ制作に特化したプロダクション「サイドランチ」の代表を務める“まんがプロフェッショナル”、志田隆一郎さん
書=歴史まんがを含めた書籍全般に精通する“書籍プロフェッショナル”、蔦屋書店コンシェルジュ・濱田知佳さん。
子=戦国時代をはじめ歴史が好きで歴史まんがを愛読する“子どものプロフェッショナル”、ばんじくん・小学5年生。
■小学館
『学習まんが 少年少女日本の歴史』
①内容が印象的で頭に入りやすい
小学館版の大きな特徴は、絵のテイストです。保護者世代が懐かしさを感じるような、かわいらしくてコミカルなタッチで、人物や出来事をわかりやすく、象徴的に描いています。それにより歴史が初めての子どもでも、歴史の流れを印象的に頭に入れやすくなっています。それこそが、同シリーズが長く愛され、後にさまざまな歴史まんがが続くことになった最大の理由でしょう。
とはいえ刊行から40年たつので、絵柄を古めかしく感じるかもしれません。抵抗なく受け入れられるかどうかは子ども次第なので、購入前に本人に見せて確認するのがベストです。
とはいえ刊行から40年たつので、絵柄を古めかしく感じるかもしれません。抵抗なく受け入れられるかどうかは子ども次第なので、購入前に本人に見せて確認するのがベストです。
②学習まんがとしてオーソドックス
1981年発売で、累計部数は2060万部超。歴史まんがの「クラシック」であるだけに、学習まんがの本質的な要素をしっかり備えています。具体的には「大判で絵やコマ割りが大きく、子どもが読みやすい」「情報量が多い(巻数は6シリーズで最多の22巻+別巻2巻)」「巻末の資料や学習ページが充実し、受験にもしっかり対応」などです。そうした「安心感」も、同シリーズの強みでしょう。
一方、1998年の大幅改定から、もう20年以上が経っています。そのため、たとえば人物の勧善懲悪がはっきり描かれ、「悪人と思われてきたけど、実はポジティブな側面もあった」というような、最新の人物研究が反映されていない部分もあります。とはいえ、ストーリーがはっきりしているほうがのみこみやすかったりもするので、学習面では大きなマイナスともいえません。
一方、1998年の大幅改定から、もう20年以上が経っています。そのため、たとえば人物の勧善懲悪がはっきり描かれ、「悪人と思われてきたけど、実はポジティブな側面もあった」というような、最新の人物研究が反映されていない部分もあります。とはいえ、ストーリーがはっきりしているほうがのみこみやすかったりもするので、学習面では大きなマイナスともいえません。
③監修者とまんが家が全巻で同じ人
1人の監修者が全巻を担当し、同じくまんがも全巻を1人のまんが家が担当(※)。したがって全巻をひとつの流れとして読みやすく、時代ごとの特徴も浮き彫りになりやすくなっています。
※最新巻の 22巻「平成の30年」のみ別のまんが家が担当
ま「絵柄はレトロですが、元祖だからこその安定感と学習機能の高さ、そして子どもにとっての読みやすさが光ります」
書「『ビリギャル』が大学受験の勉強に利用したことで有名です。ハードカバーなので、中学受験から大学受験まで長く読みたい方にも◎」
子「かっこいい感じの絵ではないけど、人物によって顔がまったく違い、見分けやすい。家系図など詳しい資料もたくさんあります」
■集英社
『学習まんが 日本の歴史』
コンパクト版(ソフトカバー版)全20巻+別巻1(21冊セット) 17,380円
菊判(ハードカバー版)全20巻セット 19,800円(税込)
<3大特徴>
<3大特徴>
- ①近現代史が圧倒的に充実
- ②まんがが読みやすい
- ③超有名漫画家が表紙を担当
①近現代史が圧倒的に充実
西村さんが「ざっくりいえば、小学館版を現代的にしたもの」と位置づけるのが、集英社版です。とくに現代的といえるのが、近年の入試で重視される「近代史・現代史」のボリュームがずば抜けている点。他シリーズの全巻中における近現代史の割合が3割程度なのに対し、集英社版は全巻の約4割を近現代史が占めています。受験に備えて近現代史をしっかり学ばせたい場合は、まず集英社版が候補に挙がるでしょう。
②まんがが読みやすい
まんがの絵柄も、小学館版より今っぽくなっています。また、まんが中の説明が適度に抑えられ、まんが自体が読みやすくなっていたり、全ページの半分をカラーページとすることで、まんがをより印象的なものにしている点も特徴です。そのぶんの情報は、巻頭・巻末の資料にまとめられています。
ただ西村さんは「まんがだけ読んで資料を読まない子どもも少なくないので、まんが中の情報量が抑えられているのは一長一短」ともいいます。
ただ西村さんは「まんがだけ読んで資料を読まない子どもも少なくないので、まんが中の情報量が抑えられているのは一長一短」ともいいます。
③超有名漫画家が表紙を担当
『NARUTO』の岸本斉史さんや、『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦さんなど、有名まんが家が表紙を担当している点も魅力です。それだけで、子どものまんがに向かうモチベーションを、大きく高める可能性があります。ただ、表紙と本編のまんがは別の人が描いていて、巻によって作風も変わるので、そこに違和感をもつ子どもはいるかもしれません。
ま「なんといっても超有名まんが家が描いた表紙が圧巻です。そこはまさに『少年ジャンプ』を手掛ける会社の強みですね」
書「受験界のカリスマ講師・野島博之先生が総合アドバイザーを務めています。巻末には、逆引きできる歴史用語一覧も」
子「ナレーションの文が、これだけ『ですます調』になっていて優しい感じがする。まんがの中に人物名がたくさん出てきます。」
■KADOKAWA
『角川まんが学習シリーズ 日本の歴史』
©KADOKAWA CORPORATION
①2016年から5年連続売上No.1
発刊の翌年から現在まで、5年連続で売上No.1を誇るKADOKAWA版。その実績が示すとおり「現代風の絵柄」「ソフトカバー×コンパクトサイズ」「豊富な情報量と近現代史の充実で受験に対応」など、近年人気の要素をもれなく備えています。また各巻の冒頭で、まずは人物相関図や時代の大まかな特徴を見せてから、まんがで細部を伝える構成も秀逸です。
ただ、情報量が豊富な半面、コンパクトな誌面に情報がぎっしりもりこまれ、コマ割りも細かいです。したがって子どもによっては、楽しく読み進められず挫折してしまうかもしれません。逆にこれを楽しく読めれば、まんが部分を読むだけでも相当な情報量を吸収できます。
ただ、情報量が豊富な半面、コンパクトな誌面に情報がぎっしりもりこまれ、コマ割りも細かいです。したがって子どもによっては、楽しく読み進められず挫折してしまうかもしれません。逆にこれを楽しく読めれば、まんが部分を読むだけでも相当な情報量を吸収できます。
②子どもが入りこみやすい絵柄
表紙のイラストはスタジオジブリの近藤勝也さんや、「ケロロ軍曹」の吉崎観音さん、「DEATH NOTE」の小畑健さんなど人気作家が担当。加えて本編のまんがも、アニメやまんがに強いKADOKAWAらしい現代風タッチで、子どもが入りこみやすいものになっています。ただし巻によってテイストが違うので、それが気になる子どももいるかもしれません。
③別巻を含めれば近現代史も充実
近年の入試で重視される近現代史は全15巻中4巻とやや少ないものの、別巻の『よくわかる近現代史』全3巻を加えれば、18巻中の4割弱を近現代史が占め、集英社版にもひけをとりません。「情報量の豊富さと、高い近現代史比率で、難関中学受験から大学受験までに対応しています」(西村さん)。
ま「表紙を有名まんが家さんが描いていたり、本編まんがも画力やストーリー性が高かったりと、エンタテインメント性が高いです」
書「東京大学教授の山本博文先生が監修しており、歴史の大きな流れをつかみやすくするさまざまな工夫が施されています」
子「いちばん好きなシリーズで、何度も繰り返し読んでいます。絵がアニメっぽく、人物がみんなかっこいいです」
■講談社
『学習まんが 日本の歴史』
①受験を強く意識した高度な内容
講談社版の最大の特徴といえるのが、大学受験までを強く意識したハイレベルな内容にあります。まずは情報量の多さ。各巻が220ページほどもあるので、全20巻の総ページ数は約4400ページにのぼり、他のシリーズを圧倒しています。また欄外には、難関大学入試にも対応するマメ知識もふんだんにもりこまれています。
加えて西村さんは「コストのかかる資料掲載を、各巻32ページにわたりオールカラーで行っているのも強み。入試では、資料とからめた問題がよく出ます」と指摘。さらに近年の中学受験や大学受験では、世界史と地理、公共にまたがった問題も出題されていますが、同シリーズではそれにも対応した内容をもりこんでいます。
加えて西村さんは「コストのかかる資料掲載を、各巻32ページにわたりオールカラーで行っているのも強み。入試では、資料とからめた問題がよく出ます」と指摘。さらに近年の中学受験や大学受験では、世界史と地理、公共にまたがった問題も出題されていますが、同シリーズではそれにも対応した内容をもりこんでいます。
②最新の時代考証を反映
発行年が2020年と新しく、そのぶん時代考証や名称が最新のものになっている点も強みです。「たとえば聖徳太子が厩戸皇子となっていたり、鎌倉幕府が1192年ではなく1185年の説が有力であることなどがきちんと反映されています」(西村さん)。応仁の乱も、近年主流の「応仁・文明の乱」と表記されています。
③各巻を実績あるまんが家が担当
大学受験までを優にカバーした高度な内容だけに、受験が目的ではない場合や、勉強・歴史が苦手な子どもは、“とっつきにくさ”を感じるかもしれません。そのぶん、まんがは実績あるまんが家が担当し、画風も全体的に今風。高度な内容のわりには、入りこみやすくなっています。一方、巻により担当まんが家が変わるので、テイストのギャップを感じる子どももいそうです。
ま「欄外にマメ知識が載るのは講談社版と学研版だけで、とくに講談社版は量が豊富で問題集的な側面を備え、絵もレベルが高いです」
書「古代から令和まで、気鋭の若手研究者たちが各時代を監修しており、歴史の解釈が最新版となっています」
子「ちょっとしたことでも詳しく説明がついていて、読むところが多い。あと絵が細かくて、戦国武将のよろいとかもかっこよく描かれています」
進研ゼミ「電子図書館まなびライブラリー」では『講談社の学習まんが日本の歴史』を期間限定で公開中です。
https://library.benesse.ne.jp/member/
TopPage
※掲載期間は以下の通りです。
①2022年1月25日~2月23日:10冊(1~10巻)
②2022年2月24日~3月31日:20 冊(1~20巻)
※デザイン・内容・閲覧できる作品等は変わることがあります。
https://library.benesse.ne.jp/member/
TopPage
※掲載期間は以下の通りです。
①2022年1月25日~2月23日:10冊(1~10巻)
②2022年2月24日~3月31日:20 冊(1~20巻)
※デザイン・内容・閲覧できる作品等は変わることがあります。
■学研プラス
『DVD付 学研まんが NEW日本の歴史』
①まんがの読みやすさがピカイチ
まんがの「読みやすさ」や「入りこみやすさ」を徹底的に追求したのが、この学研プラス版です。他のシリーズの多くが、カラーページは1巻につき30ページほどであるのに対し、同シリーズはなんと「オールカラー」。またコマ割りが大きく、情報量も抑えられ、かつまんがの絵柄が現代風に洗練されています。これなら歴史まんがが初めての子どもや、小学生低学年の子どもでも、楽しく読めそうです。
②まんが以外の資料が充実
まんが内の情報量を抑えているぶん、巻末の資料がかなり充実しています。また欄外にも、難関受験に役立ちそうな豆知識が載っています。「エンタメ要素の高い本編まんがと、勉強感のある資料。メリハリがきいているだけに、まんがだけさっと読んで“おしまい”ともなりかねません。学力アップや受験を目指すなら、ぜひ資料まで興味をもって読ませたいところです」(西村さん)
③DVD付きで“立体的”に学べる
全巻に資料DVDが付くのも、他にはない特徴です。DVDには歴史に関するNHKの本格映像や、アニメ、オリジナル動画が収録されています。これにより、まんが=絵、巻末資料=文字、DVD=映像という異なるメディアで“立体的”に学べる形になっています。歴史が苦手な子どもには、DVDから見せて歴史に興味をもってもらうのも一手でしょう。
ま「情報量とエンタメ性のバランスがよく、歴史まんがが初めての子どもにも受け入れやすいと思います」
書「各巻ごとに、日本と世界の事象を比べられるなど、新学習指導要領以降のグローバルな歴史学習にも対応した内容です」
子「全部カラーなのがいい。僕が好きな戦国時代の巻は2人のまんが家さんが交互に描いていて、顔が変わるのが気になりました」
■朝日学生新聞社
『日本の歴史きのうのあしたは……』
①歴史の大局をざっとつかみやすい
朝日小学生新聞で連載し、読者から高い支持を得た歴史まんがを単行本化したシリーズ。今回の6シリーズでは、異色の存在です。特徴の大きなひとつは、すべての時代をカバーしつつ、全7巻と巻数が圧倒的に少ないこと。したがって、日本史の流れをざっと大まかにつかむにはうってつけといえます。
②小学生に特化している
小学生向けの朝日小学生新聞だけに、まんがのテイストはシンプルで親しみやすく、設定も2人の子どもが過去へ旅するというもの。これなら小学生低学年でも、入りこみやすそうです。学習のレベルは、中学受験を意識し、教科書より少し高めに設定されています。ただ情報量は他シリーズほど多くないので、これだけで大学受験まで対応するのは難しいでしょう。
③学力アップに役立つ練習帳付き
各章の終わりには、重要語句を正しく読み上げるための「音読シート」や、正しい書き方を覚える「書き取りプリント」、知識を定着させる「確認テスト」が付いています。学校のテストに直結するものだけに、成績アップを後押ししてくれそうです。
ま「小学館版と同じ丈夫な製本で、判型が大きく、コマ割りや文字も大きいので、小学校低学年の子には読みやすい作りです」
子「ところどころに『そのころ外国では…』みたいな説明が入ってわかりやすいです。でも絵柄や内容がちょっと子どもっぽく感じます」
3. テーマ別に選ぶおすすめ歴史まんが
目的やテーマによって、ベストな歴史まんがは変わります。そこで、主要な目的・テーマ別に、マッチするシリーズを挙げました。
受験に効くシリーズは?
まずおさえておきたいのが、「形態の違う朝日学生新聞社版をのぞき、どのシリーズもしっかり読みこめば、受験に十分対応できるほど情報量は充実している」(西村氏)という前提です。そのうえでより受験向きのシリーズを挙げるなら、まずは「情報量の多さ」で小学館版と講談社版が、そして入試で重視される「近現代史」の充実度で集英社版とKADOKAWA版が挙がります。
「ちなみに意外かもしれませんが、高校入試で理科と社会が含まれるのは基本的に公立校だけで、内容が教科書レベルにとどまるため、中学入試で扱われる歴史の内容の方が圧倒的に深く広いです。
それもふまえてしいていえば、より中学受験向きなのはKADOKAWA版と集英社版、より高校受験向きなのは学研プラス版、より大学受験向きなのは小学館版と講談社版といった感じです。もちろん、上記に当てはまらないので不向きというわけではありません」(西村さん)
「ちなみに意外かもしれませんが、高校入試で理科と社会が含まれるのは基本的に公立校だけで、内容が教科書レベルにとどまるため、中学入試で扱われる歴史の内容の方が圧倒的に深く広いです。
それもふまえてしいていえば、より中学受験向きなのはKADOKAWA版と集英社版、より高校受験向きなのは学研プラス版、より大学受験向きなのは小学館版と講談社版といった感じです。もちろん、上記に当てはまらないので不向きというわけではありません」(西村さん)
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中学・高校・大学受験に効く歴史まんがは?
高い学習効果が見込め、「受験対策」にもうってつけな、日本の歴史まんがシリーズ。実際に、学年ビリから慶応大学に現役合格を果たしたビリギャルも、日本史の勉強をほぼ歴史まんがでまかなったといいます。
学校の成績を上げたい
成績を上げるうえで、ひとつの目安となるのが「学習指導要領」に対応しているかどうか。最新の学習指導要領に即している=授業やテストの内容に近いと考えられるからです。6シリーズで新学習指導要領に対応しているのは、集英社版、KADOKAWA版、講談社版、学研プラス版。どれも最新研究が反映され、新たに必修科目となった「歴史総合」をカバーしたページもあります。
一方朝日学生新聞社版では、テストに直結しそうな「音読シート」「書き取りプリント」「確認テスト」のコーナーを設けています。
一方朝日学生新聞社版では、テストに直結しそうな「音読シート」「書き取りプリント」「確認テスト」のコーナーを設けています。
近現代史に強いシリーズは?
前述の通り、近現代史は近年の入試で重視される傾向にありますが、もともと近現代史は高度な内容である半面、社会に出たときに最も実用的といえ、受験する・しないにかかわらず力を入れたい親御さんは少なくないでしょう。そこで、各シリーズにおける近現代史のボリュームを、巻数とページ数で比べてみました(明治維新以降をカウント)。
・小学館版→6巻分×各160P=960ページ
・集英社版→8巻分×各192P=1536ページ
・KADOKAWA版→4巻分×各224P=896ページ
・講談社版→6巻分×各224P=1344ページ
・学研プラス版→4巻分×各152P=608ページ
・朝日学生新聞社版→2巻分×各272P=544ページ
もちろんページあたりの情報量はシリーズで異なりますが、単純にページ数で比較するなら、まずは集英社版が、続いて講談社版が、他社を引き離しています。ただしKADOKAWA版には近現代史に特化した別巻が3巻あり、それを加えるとKADOKAWA版は総計1568ページとトップにおどり出ます。
KADOKAWA版以外のシリーズを買った場合でも、近現代史を厚く学ばせるためにKADOKAWAの近現代史別巻を別で購入する、というのもアリでしょう。
・小学館版→6巻分×各160P=960ページ
・集英社版→8巻分×各192P=1536ページ
・KADOKAWA版→4巻分×各224P=896ページ
・講談社版→6巻分×各224P=1344ページ
・学研プラス版→4巻分×各152P=608ページ
・朝日学生新聞社版→2巻分×各272P=544ページ
もちろんページあたりの情報量はシリーズで異なりますが、単純にページ数で比較するなら、まずは集英社版が、続いて講談社版が、他社を引き離しています。ただしKADOKAWA版には近現代史に特化した別巻が3巻あり、それを加えるとKADOKAWA版は総計1568ページとトップにおどり出ます。
KADOKAWA版以外のシリーズを買った場合でも、近現代史を厚く学ばせるためにKADOKAWAの近現代史別巻を別で購入する、というのもアリでしょう。
戦国時代が充実しているのは?
とくに男子が興味をもちやすいのが、個性的な武将が活躍する戦国時代です。入試や学校のテストでは、戦国時代に大きなウェイトは割かれませんが、まずは戦国時代を入り口にして歴史まんがや歴史そのものに興味をもってもらうというのも、ひとつの方法です。そこで、各シリーズにおける戦国時代から天下統一までのボリュームを比べてみました。
・小学館版→2巻分×各160P=320ページ
・集英社版→1巻分×各192P=192ページ
・KADOKAWA版→2巻分×各224P=448ページ
・講談社版→2巻分×各224P=448ページ
・学研プラス版→1巻分×各152P=152ページ
・朝日学生新聞社版→1巻分×各272P=272ページ
上記のように、ページ数ではKADOKAWA版と講談社版が抜けています。一方、内容に関して西村さんは「KADOKAWA版と学研プラス版は、戦国武将のイラストの個性とかっこよさが際立っている」と話します。
・小学館版→2巻分×各160P=320ページ
・集英社版→1巻分×各192P=192ページ
・KADOKAWA版→2巻分×各224P=448ページ
・講談社版→2巻分×各224P=448ページ
・学研プラス版→1巻分×各152P=152ページ
・朝日学生新聞社版→1巻分×各272P=272ページ
上記のように、ページ数ではKADOKAWA版と講談社版が抜けています。一方、内容に関して西村さんは「KADOKAWA版と学研プラス版は、戦国武将のイラストの個性とかっこよさが際立っている」と話します。
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【伝記まんが】戦国武将人気ランキング
幅広い年代にファンの多い戦国武将。誰が好き?など話題に出ることも多いですよね。小学6年生から習う日本の歴史ですが、学ぶ前から武将が好きな子どもも多く、その理由に歴史コミックやゲームで親しんでいることがあるようです。
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学年別おすすめシリーズは?
まんがのテイストの“とっつきやすさ”で見れば、小学校低・中学年の子には朝日学生新聞社版が向くでしょう。高学年以降になれば、正直どのシリーズでもOKですが、中高生には、朝日学生新聞社版の絵柄はものたりなく映るかもしれません。反対に内容が高度な小学館版や講談社版は、小学校低・中学年にはハードルが高いでしょうが、中学生・高校生以上にも十分読みごたえがあります。
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小学生にオススメの歴史まんがはどれ?
小学校6年生から社会科で学ぶことになる日本の歴史。好き嫌いが大きく分かれる分野のひとつですが、中学受験にも歴史の問題は出題されますし、中学生以降も日本史の勉強は続きます。
歴史の流れをつかみたい
日本の歴史の流れを大局的につかむことを目的とする場合、まず候補に挙がるのが、巻数が少なくて流れをざっと追いやすい朝日学生新聞社版です。一方、監修者が時代ごとに分かれておらず、全巻を1人の監修者が担当していることも、歴史の流れをつかむうえではプラスの要素。1人の監修者が全巻を担当しているのは学研プラス版、KADOKAWA版、小学館版の3つです。
歴史好きになってほしい
歴史に興味をもってもらうことが目的なら、6シリーズで唯一DVD映像が付属する学研プラス版がまず挙がります。NHKの凝った歴史映像や、まんがをアニメーション化した映像などを収録したDVDが全巻に付くため、歴史が苦手な子どもでも、好きになるきっかけをつかみやすいでしょう。一方、子どもの年齢が高い場合は、資料が充実していて読み込みに十分耐えうる講談社版もいいでしょう。
あとは「まんがのテイストが、本人に合っていること」も、歴史にハマるためのキモになりそうです。
あとは「まんがのテイストが、本人に合っていること」も、歴史にハマるためのキモになりそうです。
収納&携帯しやすいのは?
学習まんが日本の歴史は、全巻をそろえるとなると20巻ほどにもなり、収納にはそれなりのスペースが必要です。したがって判型がひとまわり小さいソフトカバータイプは、収納面での利点となります。6シリーズのうちソフトカバーを採用するのは、集英社版(※)・KADOKAWA版・講談社版・学研プラス版。ただ学研プラス版の判型は、他のソフトカバーより少し大きめです。ちなみに全巻をそろえた場合の幅は
・小学館版→全22巻×1冊の厚み約1.5cm=計33cm
・集英社版→全20巻×1冊の厚み約1.2cm=計24cm
・KADOKAWA版→全15巻×1冊の厚み約1.4cm=計21cm
・講談社版→全20巻×1冊の厚み約1.5cm=計30cm
・学研プラス版→全12巻×1冊の厚み約1.5cm=計18cm
・朝日学生新聞社版→全7巻×1冊の厚み約2.5cm=計17.5cm
となります。一方、子どもがかばんなどに入れて持ち運ぶ際にも、判型の小さなソフトカバーは重宝します。なかでも判型と厚みが最も小さい集英社版が、携帯するにはベストでしょう。
※ハードカバー版もある
・小学館版→全22巻×1冊の厚み約1.5cm=計33cm
・集英社版→全20巻×1冊の厚み約1.2cm=計24cm
・KADOKAWA版→全15巻×1冊の厚み約1.4cm=計21cm
・講談社版→全20巻×1冊の厚み約1.5cm=計30cm
・学研プラス版→全12巻×1冊の厚み約1.5cm=計18cm
・朝日学生新聞社版→全7巻×1冊の厚み約2.5cm=計17.5cm
となります。一方、子どもがかばんなどに入れて持ち運ぶ際にも、判型の小さなソフトカバーは重宝します。なかでも判型と厚みが最も小さい集英社版が、携帯するにはベストでしょう。
小学館版 | 集英社版 | KADOKAWA版 | 講談社版 | 学研プラス版 | 朝日学生新聞社版 | |
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書名 | 学習まんが 少年少女日本の歴史 | コンパクト版 学習まんが 日本の歴史 | 角川まんが学習 日本の歴史 | 学習まんが 日本の歴史 | DVD付 学研まんが NEW日本の歴史 | 日本の歴史きのうのあしたは…… |
発行年 | 1981年(改訂増補版1998年) | 2021年(ハードカバー版:2016年) | 2015年 | 2020年 | 2021年 | 2012年 |
巻数 | 全22巻+別巻2巻 | 全20巻+別巻1巻 | 全15巻+別巻4巻 | 全20巻 | 全12巻 | 全7巻 |
近現代史の巻数 | 22巻中8巻 | 20巻中8巻 | 15巻中4巻 | 20巻中6巻 | 12巻中4巻 | 7巻中2巻 |
価格 | 21,758円(税込) | 17,380円(税込)/ハードカバー版・20冊:19,800円(税込) | 16,720円(税込) | 18,700円(税込) | 13,200円(税込) | 9,680円(税込) |
サイズ | 23×16(菊判) | 18.8×12.8(四六判) ハードカバー版:22.6×15.4(菊判) | 18.8×13(四六判) | 18.8×13(四六判) | 21.0×14.4(A5変型判) | 16×22.8 |
装丁 | ハードカバー | ソフトカバー(ハードカバー版もあり) | ソフトカバー | ソフトカバー | ソフトカバー | ハードカバー |
監修者 | 児玉幸多 | 総合アドバイザー:野島博之(監修は各時代の専門家) | 山本博文 | 呉座勇一、舟橋正真ほか | 大石学 | |
新学習指導要領 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
監修者プロフィール
受験指導専門家
西村 創さん
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wings、栄光ゼミナール、明光義塾などで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度で全講師中1位に輝く。駿台香港校では、同校初の20代校長(当時)を務め、過去最高の合格実績を出す。全国の中学・高校でのセミナー講演や、書籍執筆なども行う。著書『中学歴史が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)他多数。「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信中。当記事と連動した動画も配信。
当記事と連動した動画『【買う前に見て】歴史マンガ徹底比較〜小学館・集英社・講談社・角川・学研・朝日小学生新聞』を配信中。
https://youtu.be/poK3yp-YZ8U
当記事と連動した動画『【買う前に見て】歴史マンガ徹底比較〜小学館・集英社・講談社・角川・学研・朝日小学生新聞』を配信中。
https://youtu.be/poK3yp-YZ8U
コメンテーター
サイドランチ
志田隆一郎さん
漫画の優れたノウハウを活用し、あらゆるコンテンツを創造する漫画制作専門プロダクション「サイドランチ」代表取締役社長。日本史まんがや世界史まんが、偉人まんがなどの制作も手掛ける。
サイドランチ
https://www.sideranch.co.jp/
サイドランチ
https://www.sideranch.co.jp/
蔦屋書店コンシェルジュ
濱田知佳さん
本に精通するプロの接客係。蔦屋書店 柏の葉T-SITE所属。子どもフロア担当のコンシェルジュのひとりで、店舗では子どもの『好き』が発見できるようなイベントや、親子で楽しめる体験など、さまざまなイベントを企画・開催。
蔦屋書店 柏の葉T-SITE
https://store.tsite.jp/kashiwanoha/
蔦屋書店 柏の葉T-SITE
https://store.tsite.jp/kashiwanoha/
小学5年生
ばんじくん
戦国武将が好きな東京在住の小学生男子。最も愛読している歴史まんがは、ポプラ社の『コミック版日本の歴史 戦国人物伝』シリーズで、お気に入りの武将は伊達政宗。
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