2013/12/04

学校外教育活動に関する調査【第2回】母親の「習い事経験」は子どもの「活動選択」に影響するのか?~スポーツ活動・芸術活動の世代間伝承に関する検討~[2/4]

4.母親の経験と子どもの活動選択の関係

 それでは、こうした母親の習い事経験は、子どもの活動選択にどのような影響を与えているのだろうか。この点を確認するために、母親自身のスポーツ系習い事の経験の有無別に、子どものスポーツ活動の活動率をみたのが図3である。なお、ここでは、小学生の子どもにケースを限定し、母親が小学校のときに経験していたかどうかで活動率が異なるかを確認した。これとまったく同じ計算を、母親の文化的習い事の経験別に芸術活動の活動率について行ったのが、図4である。いずれも、子どもの性別を分けて数値を算出した。
図3. スポーツ活動の活動率(性別、母親のスポーツ系習い事の経験別)
図4. 芸術活動の活動率(性別、母親の文化系習い事の経験別)
 図3からは、おおよそ次のようなことがわかる。
①スポーツ系習い事の経験をしていた母親のほうが、子どもの性別にかかわらず活動率が高い。やはり、自分が経験していたことをやらせたいという傾向はあるようだ。
②しかし、子どもの性別による違いのほうが影響は大きい。「母親にスポーツ系習い事の経験がある女子」よりも「母親にスポーツ系習い事の経験がない男子」のほうが活動率は高く、男子であることがスポーツ活動をすることにきわめて強く影響していることがわかる。
③さらに子どもの性別に注目すると、男子に比べて女子に母親の経験の影響が強く表われている。母親の経験による違いは、男子で10.9ポイント、女子で14.7ポイントである。母親は同性である娘のほうが、自分の経験を伝えたいと思うのかもしれない。
 では、系術活動についてはどうだろうか。図4を見ると、性別による違いの表われ方はスポーツ活動と反対であるが、似たような傾向があることがわかる。
①文化系習い事を経験していた母親のほうが、子どもの性別にかかわらず芸術活動の活動率は高い。
②しかし、子どもの性別による影響のほうが大きく、女子に対しては母親自身に習い事の経験がなくても36.5%が活動させている。
③ここでも、男子(=息子)に対してよりも女子(=娘)のほうに、母親自身の習い事経験の影響が強く表れている。経験の有無によるポイント差は、女子のほうが大きい。
 検定の結果、母親の経験による差はいずれも有意であり、スポーツを習っていた母親は自分の子どもにもスポーツを、文化的な習い事をしていた母親は自分の子どもにも芸術活動をさせる傾向が見られた。自分がやっていたこととまったく同じ活動を選択しているかまでは本分析ではわからないものの、少なくとも経験したことと同種の経験をさせようとする意向は働くようだ。この意味で、保護者の経験はある程度、子どもに伝承されるといってよい。