2013/12/04

学校外教育活動に関する調査【第2回】母親の「習い事経験」は子どもの「活動選択」に影響するのか?~スポーツ活動・芸術活動の世代間伝承に関する検討~[4/4]

5.おわりに-保護者の経験は子どもに伝承されるか

 以上の分析から見えてきたのは、保護者は自分が経験したことと類似の経験を子どもにも経験させる傾向が見られるということだ。それは、「世帯年収」といった経済的要因や、現在の「嗜好」(その活動が「好き」という思い)ほどは強くはない。しかし、やはり習い事などの具体的な活動を通じて保護者の経験は子どもに伝承される。このことは、家庭ごとの特色(スポーツ好き一家、芸術好き一家など)を生む要因になっていると思われる。
 同時にこのことは、格差が再生産される構造の一端を示してもいる。家庭ごとに特色があることは健全だと思う一方で、保護者の嗜好や経験によって子どもに与えられる経験が違うとしたら、どのような保護者の下でも子どもにとって必要な経験をいかに平等に与えるのか。そこには、大きな課題が内在しているといえるだろう。

参考文献