2018年の10月15日と11月5日の2回、戸田市立戸田東小学校にて、地域の課題を解決するアプリを設計するための授業支援を行いました。
戸田東小学校の6年生では、戸田市の問題を発見・解決する活動を通して、戸田市の取り組みや環境を知ったり、戸田市に住む人々の思いを知り、戸田市の愛着や地域の理解を深めたりすることを目的に、総合的な学習の時間で、地域の問題を発見しその解決策を考える活動に4月から取り組んでいます。
ベネッセコーポレーションでは、これまで総合的な学習の時間における、問題解決をテーマとしたプログラミング教育を小学校で実践してきました。その経験を生かして、児童がアプリを設計する際に、戸田市の問題を解決可能な課題まで分解するプロセス、そして分解した課題を解決するためのアプリの設計を行うプロセスをお手伝いしました。
アプリを作るためには、1.問題の発見、2.企画・設計、3.開発、4.振り返りの流れを繰り返します。よく3をプログラミングと思いがちですが、1から4の全てが必要です。特に1、2は人間こそが創造性を活かしたり工夫を行ったりすることができる過程であり、この授業では、1と2に重点的に取り組みました。
戸田市の問題を解決可能な単位まで分解する
第1回目の授業では、児童それぞれが前時までに考えた戸田市の問題を、解決可能な課題まで分解することについて取り組みました。
アプリを企画するためには、問題のままでは解決すべきことが見えにくく、問題を小さく分解する必要があります。誰が何に困っているのか、それはなぜかを明確にすることで初めて、誰かの課題を助けることができるようになります。ここに、アプリを設計する、ということを学習活動の中に含める良さがあります。
例えば、児童は初めに、「地球温暖化」「不法投棄」「ポイ捨て」といった問題を考えていました。それらを「日射病を予防する」や「ゴミ箱の場所がわからない」といった具体的な課題にしていきました。具体的な課題になると、誰が困っているのかが明確になるので、誰のためのアプリなのか、どのようにしたら解決できるのかを考えることができます。さらに、児童はワークシートを使いながら分解した課題に対してのアプリの企画を考えました。
分解した課題を解決するためのアプリを設計する
第2回目の授業では、児童が前時までに考えた企画を元にアプリの設計を行いました。まず授業では世の中にあるアプリを児童に挙げてもらいました。児童からは「地図」「検索」「ものを買う」「音楽をきく」「ビデオを見る」「コミュニケーションする」など様々なアプリが挙げられました。
これらのアプリの役割を児童にきくと、「人の役に立っている」「人を楽しませてくれる」「仕事を効率的にする」などの意見が挙がり、アプリを企画するということについての理解を深めていきました。
さらにこれらのアプリは人が作っていること、これからの世の中はコンピュータを使った仕事がますます増えていくので、本時の授業のようにその仕組みを考えたり、企画や設計を行ったりすることが大切であることをお話ししました。
児童は、グループや個人で考えたアプリの企画を画面遷移図にして、アプリの画面の作成に取り掛かりました。自分たちが考えた企画にどのような画面が必要か、それがどのような流れになるのかをディスカッションしながら画面遷移図づくりに取り組みました。このプロセスの中でも、「もっとこういう機能が必要では」などの声が上がり、もう一度企画に立ち返ったり、たくさんの画面や機能を考えることで、誰の何を解決したいアプリだったのかに立ち返ったりし、アプリの企画をブラッシュアップする場面などがグループ・個人で見られました。
画面遷移の作成に取り組んだ後は、プロトタイプアプリを使って、本物そっくりの画面を作成していいきます。今後の進捗が楽しみです。