教材としても人気の球体ロボット『Sphero(スフィロ)』の完全ガイド

本書はスフィロ社が発売している5種類のロボットと、それらを制御するアプリケーション「Sphero Edu」を詳しく説明したガイドブックです。
さらには、ロボットとアプリケーションの接続方法や操作方法だけにとどまらず、家庭教育や学校教育で活用していく時の考え方もガイドしています。
単にロボットで遊ぶだけではなく、プログラミング的思考を育む学びへと発展させていくときに、大いに参考になりそうです。

「Sphero」を動かすのはカンタン!

今回は、「Sphero」のシリーズの中から「sphero2.0」というロボットを動かしながら読み進めました。
左に掲載した球体ロボットが「Sphero2.0」です。プログラミング教育の関連資料などで、名前や形は見たことがあるという人が多いのではないでしょうか。

ロボットの立ち上げは極めて簡単です。アプリをダウンロードしたタブレット類(今回はiPhone)との接続はBluetoothで行います。もちろんそれらの手順も本書に詳しく掲載されています。
まずiPhoneにアプリをダウンロードしてから、充電した「Sphero2.0」に近づけ、2本指でトントンとノックして起動させます。すぐに「Sphero2.0」が光って接続完了です。
たったこれだけで、ロボットを動かす準備が整うのです。

3種類のプログラミング方法、さらに手動運転の「ドライブ」モードも

「Sphero Edu」のアプリを使って「Sphero2.0」を動かす方法は色々あります。
お絵描きをしたとおりの形に動く「ドロー」と、命令のブロックでプログラムを作る「ブロック」、そしてJavaScriptでプログラムを作る「テキスト」、さらにiPhoneをコントローラーとして、ラジコンのように手動運転する「ドライブ」で動かすこともできます。
子どもの年齢やプログラミングの習熟度に応じて、様々なアプローチをすることができるのです。

「ブロック」のカテゴリーは9種類

「Sphero Edu」のブロックプログラミングで扱えるブロックのカテゴリーは9種類です。これらを組み合わせて、ロボットを自在に動かし、好きな色で光らせ、また音を鳴らすことができます。

・動作
・色とサウンド
・コントロール
・演算子
・コンパレータ
・センター
・イベント
・変数
・関数

「自在に」とは言っても、そもそも何ができるのかまだ想像できないロボットの動きを設計し、設計通りに動くプログラムをブロックで作り上げるのは困難です。
そんなときの強い味方が、本書で提案されている20のミッションと、各所に掲載されている二次元バーコードでインターネットからダウンロードできるプログラム群です。
たとえば、「アルファベット26文字の形にロボットを走らせる」、「モーターの回転数で音程を変えながらモーター音で演奏する」、「犬や蛙などの動物の動きをまねて動く」など、多彩なプログラム例がインターネットを通じて提供されています。
それらのプログラムをコピーして動かすことで、使い方を覚えながら「楽しさ」を体験し、さらに少しずつ改変しながら自分の思い通りの動きを「追求」していくことで複雑なプログラムへの理解を進めることができます。

学校での活動の場合、「Scratch」などでブロックプログラミングを体験した児童であれば、両方の共通点に気が付いて、すぐに自分の力でプログラミングできるようになることでしょう。

実録!「Sphero」初対面からブロックプログラミングまでの流れ

我が家の小2女子、中2男子を相手にして試してみました。
まずは、ラジコンのように手動運転できる「ドライブ」で自由に操作させ、球体ロボットが光ったり動いたりする様子に慣れさせました。
次は「ドロー」のお絵描きプログラミングです。
ここでは自分の指で描いた星形や三角形の形通りにロボットを動かすことを体験させました。小学2年生でも無理なく理解することができ、速さや色を調整しながら自分が指示したとおりにロボットが動く様子を観察して楽しむことができました。
そして、さらに「ブロック」モードを試してみました。中学生の息子に任せてみると、物にぶつかる、落ちるなど、様々な条件に応じて色や進行方向が変わる「条件分岐」を意識したプログラムをすぐに作成し、実行しては調整するトライアル&エラーを何度も繰り返して、夢中になってロボットを追いかけ回していました。
球体という単純な形のロボットは光る様子や動きがかわいらしく、中学生男子でも思わず「よしよし、ちゃんとできたね」と話しかけたくなるような愛嬌を感じるようです。

実際の授業案や子ども達の反応など、豊富な実践事例も掲載

本書には「Sphero」の操作方法やプログラミング例だけではなく、小学校、中学校、特別支援学校、教育委員会など様々な立場の学校教育関係者による授業実践例が豊富に掲載されています。
中には授業で実際に用いたブロックプログラミングのコードがダウンロードできるようになっているものもあり、手軽に試す事ができるのも本書の大きな特徴です。
教科の単元に応じた授業案の中には算数、理科などの単科のものもあれば、図工と音楽の教科を横断した例もあり、クロスカリキュラムの実践例としても大いに参考になります。
2020年からの授業案を研究中の先生には具体例としてすぐに役立てていただけることと思います。

出版社 小学館
著者 著 Sphero Edu研究会、監修 スフィロ社、協力 平井聡一郎
発売日 2018/6/29
ISBN 9784093886116
価格 2,052円 (税込)
仕様 192ページ

出版社による解説はこちら。「試し読み」ではたっぷり見開き19ページ分が公開されています。内容を「目次」で確認したり、実際に冒頭部分を読むこともできます。
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