百人一首の覚え方

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これやこの くも かへるも わかれては 
るもらぬも 逢坂あふさかせき
蟬丸せみまる

上の句|これやこの ゆくもかえるも わかれては

下の句|しるもしらぬも おうさかのせき

2023/11/29

※イラストはイメージです

現代語訳

これがあの、都から旅立つ人も、都へ帰る人も、知っている人も知らない人も、ここで別れてはまた会うという逢坂の関なのだなあ。

解説

近江おうみ国(滋賀県)と山城やましろ国(京都府)の境にある関所「逢坂の関」を行き交う人を見て詠んだ歌。関所とは、人の行き来や荷物を調べていたところです。
「行く」と「帰る」、「知る」と「知らぬ」、「別れる」と「逢う」と3組の対になる語が用いられ関所の様子が伝わってくると同時に、出会いと別れを繰り返す人生の無常まで感じられるようです。

出典

後撰和歌集ごせんわかしゅう

語句解説

これやこの

「これがあの(有名な・うわさの)」という意味。「や」は「〜なあ」という詠嘆えいたんを表す間投助詞。

行くも帰るも

「行く人も帰る人も」という意味。ここでは、京の都から旅立つ人と帰ってくる人という意味を表しています。

逢坂の関

近江国(滋賀県)と山城国(京都府)のさかいにあった関所。逢坂の関を越えた東側が東国とされていました。「逢ふ」と掛けた掛詞です。

作者紹介

蟬丸(せみまる)(生没年不詳)

平安時代前期の歌人。逢坂山の関の近くのいおりに住んでいたとも言われていますが、はっきりとした経歴はわかっていません。

作者に関する逸話

生没年も、経歴もわかっていない伝説的な人物。盲目もうもく琵琶びわの名手であったとか、宇多うだ天皇の第八皇子の敦実親王あつみしんのうに仕えていたとか、醍醐だいご天皇の第四皇子だったといったさまざまな説があります。

決まり字

上の句
これやこの 行くも帰るも 別れては
下の句
知るも知らぬも 逢坂の関

「これ」が決まり字の二字決まりです。

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語呂合わせ

これしる
何かを指差して「これ知る」と言っている人を思い浮かべると覚えやすいです。

イラストレーター

ぬまた こうたろう


監修者

たに ともこ


1959年、徳島県生まれ。大阪大学国文学科卒業、東京大学大学院博士課程単位取得。博士(文学・東京大学)。フェリス女学院大学教授。専攻は中世和歌。
著書に『百人一首(全)』(ビギナーズ・クラシックス日本の古典 角川文庫 KADOKAWA)『古典のすすめ』『和歌文学の基礎知識』(角川選書 KADOKAWA)、『百人一首解剖図鑑』(エクスナレッジ)、『和歌・短歌のすすめ 新撰百人一首』(共編著 花鳥社)、『中世和歌とその時代』(笠間書院)、『和歌文学大系 秋篠月清集・明恵上人歌集』(明治書院・『秋篠月清集』本文・校注・解説)などがある。

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