もしかしてうちの子も?こんな症状がみられたら「ADHD」セルフチェックを

自分の子どもが他の子どもと比べてじっとしていられなかったり、危険なことに対して注意できなかったりすると、「もしかしてうちの子、ADHDなのでは?」と心配になってしまう保護者もいるでしょう。
そのままでは、保護者もストレスがたまってしまいます。気になる場合は医療機関に相談するのが一番良いのですが、その前にセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか。子どもの行動傾向について、あらためて発見することがあるかもしれません。ここでは、ADHDの特徴や原因、セルフチェックの方法などについて詳しくご紹介します。

子どものADHDとは?どんな特徴や症状があるの?

ADHDは多動性と衝動性、不注意の3つの症状を特徴とする、発達障害の1つです。学齢期の子どもの3~7%が発症すると言われています。(※1)ADHDの子どもは家庭や学校生活でさまざまな困難が発生します。また見た目にはわかりにくいため、周囲の正しい理解が重要となります。それでは、ADHDの概要や原因、メカニズムなどについて詳しくみていきましょう。

ADHDが医学的に注目を集めるようになったのは、1902年に、ロンドン・キングスカレッジ病院のジョージ・スティル医師の症例報告からだと言われています。その時発表された症例は現在のADHDと大きく変わらないものですが、スティル病、MBD(微細脳機能障害、微細脳損傷)など使用する病名が時代によって変化し、1980年代以降に現在のADHDと呼ばれるようになりました。

ADHDの症状は、大きく分けて多動性と衝動性、不注意に分類されます。それぞれの傾向を紹介していきます。

(1)多動性
他の子どもが座ってじっとしているような場面で座っていられなかったり、手足をそわそわ動かしたりします。また、急になにかに駆り立てられるように活動し始めることも特徴です。

(2)衝動性
自分の欲求を抑えられず、順番が回ってくるまで待てなかったり、質問の内容を最後まで聞かずに答えてしまったりします。また、他の子どもの遊びや勉強などのじゃまをしたり、行動をさえぎったりすることも特徴です。

(3)不注意
活動中に注意を継続することが難しかったり、やるべきことを頻繁に忘れたりします。また、集中が必要な課題を避けたり、与えられた役割を最後までやり遂げなかったりすることも特徴です。(※2)

どんな子どもでも、多かれ少なかれ似たような行動をすることはあると思います。ただ、上記のような気になる傾向が6ヵ月以上続いた場合は医療機関などに相談してみましょう。次に、ADHDとよく一緒にテレビや雑誌に取りあげられる、発達障害やアスペルガー症候群(AS)を紹介します。これらの症状は混同されがちなため、違いを確認しておきましょう。

ADHDとアスペルガー症候群は、どちらも発達障害の1つです。発達障害は分類の名称ではなく、ADHDやアスペルガー症候群、自閉症、突発的な発声や運動をくり返すチック障害、吃音(きつおん)などをすべて含めて発達障害といいます。発達障害の共通点は、脳の一部の機能に障害があることです。(※3)アスペルガー症候群は、ASD(自閉スペクトラム症)の1つに分類されます。ASDには、「対人関係の障害」、「興味と活動のパターン化」、「コミュニケーションの問題」という3つの特徴があります。このなかでも、アスペルガー症候群では「対人関係の障害」と「興味と活動のパターン化」がみられます。また、自閉症とは違い、言語発達の遅れがなく、知的発達の遅れがみられる人もほぼいないとされています。ADHDとは違い、多動性や衝動性などはみられません。ただし、ADHDとアスペルガー症候群は併発することがあります。その場合、それぞれの障害の特徴が重なりあうこともあるようです。(※4)

ADHDの児童の数は、増加の一途をたどっています。厚生労働省発行の「社会的養育の推進に向けて」によると、児童養護施設におけるADHDの児童の数は平成20年には791人、平成25年には1,384人と発表されています。つまり1.7倍も増加していることがわかりました。(※5)このように、ADHDの子どもの存在は決して珍しくないことがわかります。

ADHDの発症する原因については、詳しくはわかっていません。遺伝説や脳の機能障害説、環境的要因説などありますが、どのようにしてADHDの発症に至るのかは不明です。いくつかの説のうち、保護者が気になるのは遺伝説ではないでしょうか。ADHDは研究段階なため、遺伝説が正しいかどうかもわかりません。そのため、仮に自分がADHDであり、子どももADHDであっても、自分を責める必要はないのです。
原因がハッキリしていないように、ADHDを完治させる方法も現時点では見つかっておりません。ただ、薬での治療、環境への介入、行動への介入という3つの方法を組み合わせることで、ADHDの症状を抑えることができます。適切に対応すれば、ADHDの傾向がある子どもでも自分らしく生きていける方法がきっと見つかることでしょう。

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プロフィール

監修:岩波 明 (いわなみ あきら)

1959年神奈川県生まれ。1985年、東京大学医学部医学科卒。医学博士、精神保健指定医。都立松沢病院、東京大学附属病院精神科、埼玉医科大学精神科などを経て、2012年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授に。2015年より昭和大学附属烏山病院院長を兼任し、ADHD専門外来を担当。精神疾患の認知機能、司法精神医療、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。『心の病が職場を潰す』(新潮新書)、『大人のADHD もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)、『発達障害』(文春新書)など、著書多数。

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