【体験談】忘れ物はどう防ぐ? 発達障害のお子さま向け対処法 【体験談】忘れ物はどう防ぐ? 発達障害のお子さま向け対処法

2023.10.11

【体験談】忘れ物はどう防ぐ? うっかりが多いお子さま向け対処法

「うちの子、毎日のように忘れ物をしていて…」
「ものをどこにしまったか、すぐに忘れてしまっている…」
保護者のかたのなかには、忘れ物に加えて、宿題などのやるべきことをうっかり忘れてしまうお子さまが気になる方もいらっしゃるかもしれません。
忘れっぽさの背景には、発達障害の特性や、ワーキングメモリーなどの記憶力の苦手さがかかわっている場合があります。

お子さまと保護者のかたが一緒にできる、忘れ物対策を探ってみましょう。
保護者のかたが実際にやってみて、効果があった忘れ物対策体験談もありますので、ぜひ参考になさってくださいね。

監修者

山﨑 衛

やまざきまもる


マインメンタルヘルス研究所(株式会社マイン)代表取締役社長。マインEラボ・スペース代表。公認心理師。臨床発達心理士。特別支援教育士。

「何度注意しても忘れる…」その原因はさまざま

我が子の忘れ物を見て困った顔をしている保護者

「また体操着を忘れた」「何度言ってもプリントをすぐ出さない」など、気になる保護者のかたは多いことと思います。
お子さまの忘れ物は、単に忘れっぽいというだけでなく、以下のようなさまざまな要因が考えられます。

・進級などによる生活時間、先生の指示内容などの環境変化
・家の中で物の置き場所が決まっていない
・朝、時間がないことが多く、急いで準備している
・他のことをしていて、やるべきことを忘れてしまう
・いくつもやるべきことがあり、そのうちいくつかを忘れてしまう

上記は多くのお子さまに起きるもので、生活時間の見直しのほか、環境を整えたり、一緒に持ち物準備をするなどの経験を通して、年齢に応じ改善を図っていきます。

忘れ物はただのうっかりではないかもしれない?

プリントを出し忘れて母親に怒られている子供と、学校で子供が提出物の期限や宿題を忘れてしまったことに気づくシーン

忘れ物は、多くの子どもに起こりえます。
しかし毎日のように忘れ物を繰り返す場合、単なる忘れっぽさだけでなく、発達障害が疑われることもあります。また診断がつかなくても、また、「ワーキングメモリー」という一時的な記憶力に苦手さが出ていて、すぐに忘れてしまう子もいます。

発達障害のなかでも、ADHD(注意欠如・多動症)の場合、一般的に「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの行動特性があるとされています。この「不注意」の特性から、忘れ物が多くなってしまう傾向があります。

「不注意」の特性を持つ子どもは、細かいことに注意するのが苦手、あるいは集中力を保つことが難しいためにうっかりミスを繰り返したり、なくしものが多かったり。
また、気が散りやすく、関心の対象が移りやすいなどの特徴があります。

そのため、気を付けていても、プリントを出し忘れる、提出物の期限や宿題を忘れてしまうなど、本人の努力とは無関係に困りごとが起こることがあるのです。

また、小学生のうちは、忘れ物をしながらもなんとか対処していても、中学生になって持ち物がぐっと増えたとき、特性がさらに強く出てしまうこともあります。

~ADHDの子どもによく見られる特性・特徴~

・細かいことに注意がいかずミスしてしまう
・活動に集中しにくい、集中が続きにくい
・外からの刺激で気が散りやすい
・人からの指示や説明を最後まで聞ききれず、物事をやり遂げることに支障が出る
・順序立てて物事を行うことが苦手
・人に話しかけられても聞こえないことがある、聞いていないように見えることがある
・ものをなくしてしまう
・物忘れしやすい、忘れ物が多い

【体験談】お子さま向け忘れ物対策

ランドセルの裏のメモを見る子供と、置き時計のアラームで時間が経ったことに気づく子供

忘れ物をしてしまう理由や背景は、子どもによってさまざまです。
ここでは、具体的な対策方法を体験談でご紹介していきます。

・ルールを決める
ADHDの特性として、何をどこにしまうべきかわからなくなってしまうことがあります。
対策として、引き出しなどにしまうものを記した文字やマークをつけるなど「ルールを決める」ことで、忘れ物が少なくなりますよ。

広島県

小1保護者 なな

他のことに興味がある状態で片づけると、記憶に全く残っていません。
そこで、ものの置き場所をあらかじめ決めておくことで、「あれがない!」ということが減りました。
ただあまり細かく決めると守れないので、「この箱の中」などざっくりしたルールにしています。

福岡県

小5保護者 さお

学校のものとおもちゃの収納場所を区切って、混ざらないようにしています。
また、収納の箱は大まかな種類別に分け、箱の中はぐちゃぐちゃでもいい、ということにすると、片付けがスムーズになりました。

・声かけをする
保護者のかたができるときには、声かけも有効です。短い言葉でシンプルに伝えるのがおすすめです。

沖縄県

小5保護者 あやの

忘れ物はしょっちゅうなので、毎朝、毎晩の「◯◯は持った?」「◯◯は出した?」といった声かけを続けています。

香川県

小4保護者 さゆり

指示や説明をする時には、1つずつ伝えたり、集中して聞けるくらいに短くまとめて話をしています。

・学校にスペアを置いておく
忘れ物に困らない対策として、筆記用具のスペアを学校に置いておく、なども有効です。

東京都

小6保護者 れい

何もかも学校に忘れてくる前提で、体育着や給食グッズは1週間分、上靴も2足用意しました。手提げ袋も分けて、月曜日セット、火曜日セットなどとしてスタンバイ。習い事のリュックも習い事の種類分、用意しています。

・チェックシートで忘れ物がないか、確認する
時間があるときに、必要なものを書いてチェックできる「持ち物チェックシート」を作ってみるのもおすすめです。
毎日このシートを見ながら、必要なものがそろっているかを確認。
最初は保護者のかたと一緒に取り組み、慣れてきたらお子さま一人で行ってみましょう。

埼玉県

小6保護者 ナルミ

忘れないようにしたいものはメモに書いて、ランドセルの内側に貼っています。

・アラームやタイマーで時間を知らせる
発達障害のあるお子さまの中には、時間を意識することが難しい子がいます。
また、目の前のことに集中しすぎてしまう場合も。そのため、声かけのほか、アラームやタイマーを利用して、時間を意識させることも有効です。

千葉県

小4保護者 はな

すぐに忘れてしまうので、この夏休みはAIスピーカーに時間を知らせてもらいながら規則正しく「これをやる!」を決めました。

・メモやリマインダーアプリを活用する
忘れてはいけないことなどはメモに取り、目につくところに貼っておくなどするのも良いですね。
中学生や高校生になったら、スマホのリマインダーアプリも活用すると、設定したタイミングでお知らせしてくれるので便利です。

小3保護者 あかね

忘れっぽさを自覚して、最近では常にメモ帳を身に着けています。書いたメモはランドセルの内側に貼ったりしています。

・保護者のかたのその他の工夫

小3保護者 yumar

連絡袋のサイズを小さいものからA4にかえたら、手紙を入れ忘れてくることが減りました。

中1保護者 スケッチ

教科書が入るサイズの道具箱を2つ用意して、学校から持ち帰るものと、明日持っていくものを分けて入れていました。整理は苦手でも手紙などをなくすこともなく、忘れ物も減りました。

まとめ&実践TIPS

忘れ物をせず元気に学校に向かう子供と、玄関から笑顔で見送っている親

忘れ物をしないよう、お子さまも保護者のかたも、毎日頑張っていることと思います。
忘れなかった時にはしっかりほめてあげると、「できた」という成功体験の積み重ねとなります。

とはいえ、人間である以上、うっかりミスや忘れ物をすぐにゼロにするのは、難しいもの。
余裕があるとき、1つずつ、できそうなテクニックからやってみて、「前よりちょっとは忘れ物が減ったかな?」と少しでも気がラクになれば、まずは成功です。

お子さまの成長にあわせて、保護者のかたがムリせず、長い目で一歩ずつ前に進んでいけるよう、私たちの記事が参考になりましたら幸いです。