小学校の授業はどう変わるの?
- 教育
2020年4月から、小学校では新しい学習指導要領による授業がスタートしました。今までの授業と何が変化したのでしょうか。ここでは3つの大きな変化についてお伝えします。
(1)「思考力・判断力・表現力」育成を重視した授業に
変化の激しいこれからの社会を生きていくためには、自分自身が持っている知識を増やしたり、技能を磨いたりすることは不可決です。でもそれ以上に、知識や技能を活用して自ら課題を見つけ、課題を解決していくことが求められます。そのために「思考力・判断力・表現力」が重要になるのです。
例えば学校では「なんでゴミを分別して捨てなければならないのだろう」といった日常的な疑問から出発し、その疑問を「ゴミを減らすにはどうしたらよいのだろうか」という解決すべき課題としてとらえなおし、解決策を子ども主体で考えていく中で、思考力・判断力・表現力を育てていきます。
すでに今の小学校ではそうした授業が行われ始めており、先生が子どもたちに知識を伝達する「一斉型の授業」スタイルから、子どもが主体となって活動するような授業が増えています(図1,2)。
(2)プログラミング教育の導入
これからの社会では、情報技術を活用して、課題解決をする能力が求められるようになります。その基礎的な力を育むために「プログラミング教育」が導入されます。「プログラミング」という教科ができるわけではなく、各教科や総合的な学習の時間の中で学んでいくことになります。
ただし、いきなり「プログラミング言語」を学ぶわけではなく、コンピュータが実行できる命令の組み合わせを考える体験を通して「プログラミング的な考え方」を学ぶことが目的です。
例えば、料理もプログラミング的な考え方を使った活動の一つ。「目玉焼きを作りたい」という目標(やりたいこと)を実現するために、必要な材料を用意し、それらを組みあわせ、手順を決めて作業していく。このプロセスはプログラミング的な考え方に基づく活動そのものです。
(3)英語が教科として導入される
将来多様な人々と関わるうえで必要になる英語コミュニケーション能力を、小学校の段階からしっかり学ぶことになります。暗記や文法中心ではなく、幼児が言葉を覚えるように、早くから英語にたくさん触れながら「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能の力を使えるレベルに押し上げることを目標にしています。
小学校では3,4年生は週に1コマ「外国語活動」として、あいさつや身近な会話などに慣れ親しみ、相手の話す表現を聞き、まねて話したり答えたりする活動が中心です。5年生から「教科」として、週に2コマの英語授業がスタート。「聞く」「話す」のレベルアップとともに、成績評価もつき、「読む」「書く」の活動も始まりますが、中学校のようにつづりを覚えて書いたり、文法を詳しく習ったりといった授業ではなく、コミュニケーションの中で表現を体得していくような授業になります。
保護者のかたができること
お子様の学校の授業参観などを通して、学校の授業がどのように変化しているのかを実感していただけるとよいと思います。保護者のみなさんが経験した授業とはずいぶん変化していることが感じられる機会となると思います。また、お住まいの地域や学校によって、一律に変化するわけではありません。しかし、学びがどう変わっていくかを知っておくことで、授業の見方やお子様との接し方も変わってくるのではないかと思います。
プロフィール
- 小泉和義
- ベネッセ教育総合研究所 主任研究員。全国の小学校、中学校、高等学校などの現場を取材し、子どもたちの実態や学校での指導課題を踏まえ、「今」と「これから」の教育に必要なことは何かを発信し続けている。