「中学校の環境に馴染めない」。小学校とのギャップに悩む中学生が増えているようです。中には、親も気付けず一人で悩むお子さまも。親世代には聞き慣れない「中1ギャップ」とは?
教科担任制や定期テスト、部活での付き合い。中学校は、小学校時代とはいろいろな面で変化があります。親にとっては当然のことでも、急激に変わる環境に、戸惑う子どもたちがいます。
神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授。思春期の身体発達や性的成熟が与える子どもやその周囲への影響を研究しながら、小中学校のスクールカウンセラーも行う。
教科ごとに違う先生が授業をしたり、部活が始まったり、定期テストがあったり。中学校に進学すると同時に、子どもたちにはさまざまな変化が急におとずれます。新しい環境は、大人でも不安定になるものです。それに加えて、この時期はちょうど思春期の真っ只中。人間関係に敏感になったり、自分の体が変化したりで、精神的にも不安定になりがちです。学校生活の急激な変化と思春期の発達がちょうど重なり、子どもたちは負担を感じやすくなります。中には、学校での居心地の悪さに心が耐えられなくなることもあるのです。
心も体も不安定な時期、環境の変化に戸惑うのは当然。戸惑い、悩みを乗り越えて、子どもたちは大人になっていきます。おうちのかたも心配になるかもしれませんが、おうちのかたの不安はお子さまにも伝わってしまいます。
まずは、おうちのかたがドンと構え、家庭をお子さまが安心できる「安全基地」にしてあげましょう。ギャップを感じていることを受け止め、「大変だよね」とその気持ちに共感してください。そして親子でホッとできる時間をつくりましょう。食卓を挟んでおしゃべりしたり、一緒に散歩に出かけたり。特別なことでなくとも、その関わりが翌日がんばれるエネルギーになるはずです。
学習面でつまずきがある場合も、まずはお子さまへの理解が必要となります。勉強の仕方を押し付けるのは厳禁。小学生時代のように「毎日コツコツ」だけに縛られると、親子でイライラすることもあります。中学生になると、それぞれ学習スタイルに個性が出てきます。まずは、お子さまの学習スタイルを知り、それに合わせた家庭学習のサポートをすることが大切になります。
集中の仕方で、「毎日コツコツ1時間」「土日に集中して2時間」など、学習スタイルは変わります。集中力を知ることで、「毎日勉強しなさい」などと叱ることなく、お子さまの学習スタイルを見守る姿勢につながります。
お子さまの教科書を開いて、勉強していることをチェック。「今習っている芥川龍之介の小説は面白い?」「『何時ですか?』って英語でどう言うんだっけ」など、生活の中で、勉強の話題を出しやすくなり理解や興味にもつながります。
おうちのかたが先走って手助けをするのではなく、お子さま自身が困っていたら、様子を見て手助けしてあげましょう。「私も〇〇は苦手だったな」などと、おうちのかたの経験も盛り込むと、お子さまも受け入れやすいかもしれません。