最後に発表したのが「チーム『キャリア教育』」です。チーム名の通り、今後のキャリア教育の在り方を正面から議論。小中高12年間を通したキャリア教育の目的を「一生学び続け、社会にコミットし続ける良き市民を育てること」としました。
各学校段階で指導すべきことも以下のように整理。高校卒業後も学びは続くという認識や、小学校段階から自尊感情の育成を重視している点は、テーマこそ違え、他のチームとも共通する問題認識です。
最初は少し緊張気味に丁寧に言葉を選びながら話していた先生方ですが、「なぜ教師になったのか」といった原点を語り合ったり、小中高それぞれの良さや問題を互いに出し合ったりしていくうちに、徐々に信頼関係が出来あがって本音が出てくるようになりました。ただ、他の学校種への不満や要望などいろんな本音が出てくると、今度は混沌の時間が訪れました。中にはしーんと沈黙してしまうグループも。しかし、この混沌を参加者みんなで乗り越えました。互いに相手を理解し合って「一緒に考える」ステージへの飛躍が起こったのです。最後の発表では、学校種を超えた共通テーマが次々出てきました。現場には、学校種の壁を超えた対話の場があまりないと聞きます。「Teachers’ cafe」が、学校種を超えて教師同士で語り合える場となり、教師発のオピニオンが続々と世に発信されていったら、教育の未来はもっともっと明るくなるに違いない!とワクワクしました。
(株式会社もくてき/「Teachers’ cafe」企画・運営協力 與良 昌浩)
ベネッセ教育総合研究所で発刊している教育情報誌『VIEW21』小学版、中学版、高校版の担当者は、日々、机を並べて仕事をしています。会話の中には日常的に、「小学校の取材に行って……」「中学校の●●先生が……」「高校でこんな授業を見た」など、それぞれの学校の話が登場します。学校種を超えて先生方にお会いすることも多い中感じていたのは、「学校種による壁は本当に厚いのか?」ということでした。確かに学校種による違いはありますが、それよりも感じるのは、「子どもを思う先生方の気持ちや姿勢は同じ。きっと率直に語り合い理解し合う場があれば、もっと学校種を超えた接続は円滑になるのではないか」ということでした。今回、その試みが出来たことはとても嬉しいことでした。参加の先生方が「他の学校種の先生方と理解し合いたい」という気持ちで、ワークショップに臨んでくださったからだと思います。心より御礼申し上げます。
小中高の先生方で思いを1つに出来る可能性を感じられたことと共に、今回見えてきたのは、小中高を具体的につなげるキーワードだと思います。5つのオピニオンから見える、「志を持つこと」「学び方」「かかわり合い、伝える力」「教師の専門性」「スパイラルな指導」「学び続ける力」「自尊感情」などがそれです。ぜひ今後は、これらのキーワードについて、それぞれの学校種ではどこまでを目指し、どのような指導で育んでいくのか、などを踏み込んで考えてみたいと感じました。それぞれの学校段階で、このようなことはきっと現状でも大切にして指導をされていらっしゃることと思います。しかし、もし、接続が円滑でない部分があるならば、それは何によるものなのか? 指導する程度の問題? 指導する方法の問題? あるいは別の何かがあるのでしょうか?
もちろん、地域や子どもの状況によって一概にはまとめられない部分があるとは思います。しかし、それぞれの地域・学校で検討する上でのヒント、視点を持ちかえっていただけるような場、同志の先生方との語り合いで教師発のオピニオンをつくり、社会に問い掛けられるような場、そして、何より明日からの活力を養っていただけるような場として「Teachers’ cafe」が意味を持つならば、これ以上に嬉しいことはありません。
「Teachers’ cafe」は、「場」と「ウェブ」両方の利点を生かして進めていきたいと思っています。ぜひ、今回のオピニオンについて感じられたこと、さらに深めるための視点など、率直なご意見をTwitterやFacebookなどでお寄せいただければと思います。全国の先生方のオピニオンが交わされる場として、これからも「Teachers’ cafe」を続けてまいりたいと思います。
(「Teachers’ cafe」事務局)