2017/04/14

[特別編:1] アクティブ・ラーニングの実践における高校現場の課題とは(座談会 前編) [1/4]

 全国的にもアクティブ・ラーニングの視点を活かした授業改善への意識は高まってきているが、学校の状況や生徒の実態などにより現場が抱える課題は様々に異なる。実践を通してどのような課題意識を持つようになったのか、アクティブ・ラーニングの視点を取り入れた授業改善を推進し始めた2校の先生方が語り合った。
参加者:
清水和弘先生 福岡大学附属大濠中学校・高校 副校長
工藤俊玄先生 福岡大学附属大濠中学校・高校 教諭(国語科)
藤井泉浩先生 明星中学校・高等学校 教諭(国語科)進路主任

[調査結果]グループ活動を取り入れた授業への意識が大幅に増加

—— ベネッセ教育総合研究所の「第6回学習指導基本調査」(※)の結果では、「グループ活動を取り入れた授業」への意識が大幅に増加しています。
この結果についてどう思われますか?
Q.あなたは、教科の授業において、どのような授業方法を心がけていますか。
「グループ活動を取り入れた授業」について「特に心がけている+まあ心がけている」の値(%)
※「第6回学習指導基本調査」調査概要

グループ活動が意義あるものになるよう生徒の協働学習を支える土台をつくる

 工藤:先生方が以前よりグループ活動を授業に多く取り入れようとしているというのは、実感としてあります。ただ、アクティブ・ラーニングをしなくてはということで、まずは先生それぞれのイメージでグループ活動をしている状況もあるように思います。何となくグループにして、何となくやっていてもうまくいかないことに気づいている先生も、実際には多いように思います。
工藤俊玄先生
 藤井:指導していて、グループによる学習に難しさを感じることもあります。4、5人のグループ学習を見ていると、積極的に参加できていない生徒や、主体的に取り組めていない生徒もいます。意見のある生徒が次々に話すのを聞いているだけで、時間を過ごしてしまうのです。また、学び合いなどを通して掘り下げて考えさせたい時に、その背景となる知識がないために十分に考えが深まらないというケースもあります。基礎学力や課題に関する情報の活用力が不足している場合は、なかなか自分から取り組むことができません。グループ学習だけに偏った授業が増えると、生徒に必要な基礎学力がきちんと身につくのかという心配もあります。
 工藤:グループ学習に対する生徒の受け止め方は、個々の学力によっても異なるかと思います。学力が十分にない生徒が、発言できずに置いていかれてしまうケースがある一方で、学力の高い生徒の中には、講義型の授業の方が効率的に知識を得られると考え、グループ学習を好まない者もいます。また、グループ活動を行うと、最初は必ず余計なことをしたり、他の活発な生徒に任せきりになったりするような生徒もいます。しかし、そのような生徒でも、他者に説明することで自分の学びが一層深まるといった経験を積めば、グループ学習の意義を理解します。グループ学習が意義あるものになるように、生徒たちの協働学習を支える土台をつくる必要があるでしょう。